ヒロイン絶賛奮闘中09


「んでな、もうこれそいつヒロインにするしかないんじゃね?ってなんか盛り上がっちまってな、マジでその男の子をヒロインにすることになったんだ。
本人もびっくり。俺様もびっくり。
びっくりしてねえのはプロデューサーとトーニョだけだ」


「え~、だってあの役のイメージは絶対にあの子やってんもん。
他にも演技上手い子は仰山おったんやけどな、あの緊張っぷりがなんやイメージやってん」

と、そこで入るアントーニョの他の候補者に対するフォロー。

そしてそれを最終的につなげるのはフランシスだ。


「他はちゃんとオーディション受けるつもりで来てるからねぇ。
坊っちゃんは俺が無理無理頼んで協力してもらってただけだから。
緊張の度合いと演技力のなさが違うよね」


「相変わらず…あんた達無茶苦茶よね」

と、呆れたように大きくため息をつくエリザベータの言葉で、なんとなく話は丸くおさまったようだ。

そこからはアントーニョの独壇場だ。


「ほんでな、親分後輩の世話任されたんとか初めてなんやけど、後輩めっちゃ可愛え~。
もう今家に一人で置いとるんも心配で嫌なんやけど。
親分の留守中に変な奴来て誘拐されてもうたらどないしよって思うたら、料理なんか手につかへんやん」

「ちょっとね、坊っちゃん童顔だけど、あれでちゃんと15歳、高校生だからね?」

「え~でもあの子まだちっちゃいやん。
皆もイジメんといてやってな。
親分のファンに弱いものイジメするような子ぉおらんと思うけど…。
もうほんま一人で置いておくのも外に出すのも心配で心配で心配で……」

お前は過保護な親か~!!
いい加減仕事に戻れぇぇ~~!!!


と、そこでエリザのフライパンを素早く奪ったギルベルトがスッパ~ン!とアントーニョの後頭部を張り倒した。

沸き起こる爆笑につぐ爆笑。

「大丈夫だよ~!と~にょぉ!!」

のファンからの声。

相手が女でなければファンも寛大だ。

「おおきに~!可愛がったってな~」

とぶんぶんと手を振るアントーニョ。

「良いから、仕事に戻れぇぇ~~!!!!」

との再度のギルベルトの絶叫で、ようやく番組は通常モードに戻っていった。



「…あれ…あのままでいいんです?」

袖でプロデューサのお伺いをたてるスタッフ。

「うん、良い絵柄が取れたんじゃないかな?

ね、あんな感じで天使ちゃん売りだしてけば面白いんじゃない?」

と、プロデューサが事務所の担当に促したことで、アーサーの売り出し方針が決まっていったのだった。



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