…と、それが今日の朝の出来事だった。
その後アントーニョは前々からスケジュールにあった収録に出かけることに。
そんな状態だったのでアントーニョ自身は強固にアーサーを連れて行くことを主張したが、まだ見出したばかり契約したばかりでなんの準備もできてないからと事務所からストップが入って、不承不承一人で出かけた。
マスコミかて今回のドラマの相手役とか注目しとるし、変なとこ見られたり言わされたりして、天使ちゃんのイメージが傷ついたら大変やからな」
と、くれぐれもと念を押される。
そのあたりはわかる。
事務所もアーサーの売り出し方、もっと言うなら今回のドラマの相手役の売り出し方を熟考中なのだ。
そんな時におかしなスキャンダルを起こされてはたまらないと思うのは当然だ。
「連れてくつもりでおったから簡単なモンしか出来ひんかったけど、お昼作っておいたから、ちゃんとチンして温めて食べてな」
と、まるで子どもに言い聞かせる親のように頭を撫でてそう言うと、アントーニョは仕事に出かけていった。
いってらっしゃいと見送ってアイドルオーラから開放されて初めて冷静に我に返ったアーサーは気づく。
事務所の看板スターの大先輩に後輩で新人の自分がここまでさせてちゃまずいだろう。
普通は逆だ。
…ていうか、やれよ、自分。
ということでアーサーは決心した。
幸いにして冷蔵庫には食材もたくさんあることだし、夕飯は自分が作ろうと。
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