ショタペド戦士は童顔魔術師がお好き【第一章】14

こうして医者が安静と言った期間が終わると、今更ながら新メンバーとの交流を図ったほうがよかろうということで、ローマ主催で歓迎会が開かれる事が決まって大騒ぎだ。

1週間世話をし続けてすっかり元気になったアーサーは、元々の性質なのか、最初はひどく人見知りをしているように遠慮され続けたが、ようやくだいぶアントーニョに打ち解けてきて、可愛さMAX
アントーニョの庇護欲を容赦なく引き出してくれる。

うちの子可愛え最高に可愛え…と思うと同時に、こんな可愛え子ぉやったらおかしなちょっかいかけたなってくるアホも絶対出てくるやんな、例えば変態髭男とか髭とか髭とか…と、脳内では美しければ男でも女でもという、やたらと脱ぎたがる性癖の悪友の姿がクルクル回る。

間違っても可愛いこの子にあんな変態を近づけてはならない…と、半ば使命感のようなものを感じて、アントーニョはエリザに相談することにした。

そして……アーサーにそんな話を聞かせて不安を感じさせないように、アーサーが寝静まった夜中に旧友を呼び出す。


「エリザ、歓迎会までにフラン殺れんやろか?
あんな変態を近づけたら、可愛えあの子が怯えてまうんちゃうかな」

アーサーが寝静まってから相談があると言うのでエリザが指定された時間にこっそりアントーニョの部屋を訪ねてみれば、いきなりこれである。

近づけないようにという相談だったはずのものが、アントーニョの脳内ですでに抹殺計画にまで進化を遂げていたのはご愛嬌だ。

もちろんアントーニョの辞書にジョークなどという文字はない。
目は真剣そのものだ。

基本面白がりなエリザもこれには困った。
いきなり抹殺計画の片棒はさすがに担ぎたくない…というか、近づけない=抹殺はさすがにまずいんじゃないだろうか…。

「えっと…それはさすがにまずいんじゃないかしら?」
と言えば、
「なんで?」
と、エリザの方がおかしな事を言っているとばかりの不思議そうな表情で聞いてこられる。

「え~っと……」
ショタが関わった時のアントーニョの思考はほとんど宇宙人だ。

生半可な理屈など通用しない。
それは子どもの頃からの付き合いで思い知っている。
なのでエリザは考えこんだ。

考える…考える……考える………
ひらめいたっ!


「だって、魔人倒せる伝説の武器の使い手が減ったら、アントーニョ達だってお休み取れなくなるし、そうしたら二人でゆっくり過ごせる時間がなくなっちゃうわよっ」
と思わず口にした理由はアントーニョ的には正論だったらしい。

「あ、そうやなっ!」
ポン!とアントーニョが手を打った。


――え?ええっ?!なにそれ?!お兄さんの命ってその程度のものなのっ?!!

と、本人がいたら間違いなく言いそうだが、幸いにして今この部屋にはアントーニョとエリザ、そして少し離れたベッドに眠るアーサーしかいない。

もしいてそんなセリフを言ったとしても

――あたしのおかげで命拾いしたわよねっ?

と、エリザに何か強引に貸しにされそうなので、その場にいないのはお互いのために幸いである。


「とりあえずね、以前も言ったけど、あたしのパートナーのキクは以前アーサーの家にも商人として出入りをしていて、今回伝説の武器に選ばれたからということでこのサンサークルを目指すのに協力した友人でもあるから、彼も言えば協力してくれると思うし、あたしとキクで出来る限りフランは引きつけておくから」

だからアントーニョが実力行使に出たりするのは避けるように…と、エリザに説得をされてアントーニョは安堵し、了承する。


とりあえず…こうしてフランシスの命がエリザによって守られた事を知るのは当のエリザとアントーニョだけだ。




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