ショタペド戦士は童顔魔術師がお好き【第一章】12

――アーサーが熱を出した。

最初…いきなり赤い顔で倒れた時には動揺した。

医者を呼んでオロオロ部屋の中を歩きまわって…もしあの子に何かあったら腹いせにフランとギルを八つ裂きにして、自分も死のうと思うくらいには…。

そんな状態だったので、無意識に殺気を放ちまくっていたらしい。
ビビった医者が秘かに呼んだらしいエリザが部屋に飛び込んできた。

自分のこんなに可愛い可愛い大事な半身が、弱ってしまって庇護欲をそそることこの上ない状態になっているのを他の男の目に触れさせるなんてとんでもない事だし、たぶん他の二人なら遠慮無くサンドバッグにした挙句に叩き出すところだったので、その人選は非常に正しいと言える。

そんな状態でエリザになだめられながら、診察の結果を待ち、結局過労による体力低下から来る発熱だと診断され、1週間の安静を下された。

1週間…そう、1周間はこの子は”絶対”安静だ。

「これ…つまりずっとベッドで大人しく寝かせておかんとあかんいうことやんな?
親分が全部やってやらんとあかんやんな?!
食事もベッドに運んでやって食べさせたって、薬湯飲ませて…熱高いうちは身体かて拭いてやらなあかん。
下がってきたら風呂に湯を張ってやって、そこまで抱っこして運んだって、身体も頭も全部親分が洗ったって、頭のてっぺんからつま先まで全部綺麗に拭いて、着替えさせたらなあかんやんな?」

キラキラした目でなんだか変態くさい事を言うアントーニョに、エリザも同じくキラキラした目で
「ええ、もちろんよっ!疲れさせないように全部やってあげないとねっ!」
と、大きく頷く。

ここにギルベルトでもいたら
『え?いつのまに”絶対”が追加されたんだよ?!普通の”安静”じゃなかったか?』
とツッコミをいれて蹴り飛ばされ、フランシスがいたら

『ちょ、そこまでやれって誰も言ってないよね?
ていうか…普通しないよね?!
なんかお前怖いよっ!本気でショタペドっぽいよっ!変態くさいよっ!』
と、もっともな指摘をして、腕の一本くらいは折られていたかもしれない。

が、双方にとって幸いなことに、その時その場にいたのはエリザだけだったので、今後1週間のアントーニョの行動とアーサーの扱いについては、非常に平和的に確認、決定がなされたのである。

もちろん一瞬足りとも目を離すのは心配なため、食事はエリザが部屋まで運んでくれるという好意に甘えることにした。

「他にも必要な物とか相談したいこととかあったら水晶球で連絡頂戴ね。
ホント何でも言ってね」
と、自室に戻り際に言ってくれるその優しさに感動する。

これが悪友達だと、こんな時なのに自分の事をショタペドだの変態じみているだの、色々うるさい事をいうところだ。
やっぱりそのあたりエリザは良い。

こうしてエリザが食事を持ってきてくれるまで若干時間がありそうなので、ベッドに寝かせているアーサーの側に戻った。






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