寮生はプリンセスがお好き2章_9

こうしてシャマシューク学園に入学。
ウェルカム寮での寮生活も3日目の最終日。

名前のあとに金狼寮の副寮長と言われて意気揚々だった。

副寮長の言葉にアルの姿を確認した同級生達が不思議そうな、一部不満そうな顔をしたが気にしない。

内部生と違って自分の能力を知る人間がいないのだから、その価値があるのかどうか判断できないとしても仕方ない。

でもそんな彼らも納得せざるを得ないくらい、自分は副寮長として活躍するのだ!!
…と、そんな事を思っていた時期も彼にはあったのであった………


そして今……

なんでプリンセスなんだいっ?!!話が違うじゃないかっ!!!

副寮長のなんたるかを聞いて、それが寮生のからかいでも嫌がらせでも嘘でもなく、本当にそうなのだと知って、アルは自分がこの学園に編入して副寮長になれるように手配をしてくれた育ての親に血相を変えて電話をかけている。


電話の向こうでは養父のため息。

『我はそんなにいいもんではないと言ったし、プリンセスでないとは言ってないあるよ?』

「いっ…言ってないけどっ!!普通そんなのだと思わないよっ!!!
第一、 ギルベルトも副寮長だったって言ってたじゃないかっ!!
彼がプリンセスなんてやってたっていうのかいっ?!!」

『あー…あれも一応は役職的にはやってたあるよ?
ただし当時の慣れない寮長の補佐がメインで、長髪のウィッグに派手めの軍服で麗しき護衛とか言われていたそうあるが…
ま、なりたいと言ったのはお前ある。
一度任命されれば3年間やるしかないから諦めるあるよ。
我も中学でやったあるが、ま、命じれば周りがなんでもやってくれるし、そう悪い事ばかりじゃないある』
と言うと、これから人と会うから…と電話を切られた。

こうなると、もう仕事なので王と電話は繋がらない。
いくら拗ねても怒っても…拒否権など彼には与えられない。

こうして金狼寮のプリンセスとなった少年は、ふくれっ面でお披露目の日を迎える事になるのである。



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