ストーカーとは何をされるかではなく誰にされるかである
…頼む……ちゃんと無事でいてくれよ… タクシーに飛び乗って1万円札を運転手に渡して急いでくれるように頼むと、ギルベルトは頭を抱えてマンションに着くのを待つ。
貧血の兆候を感じてまずいと思ったが手遅れで、そのままキッチンに倒れたのだが、もうあれだ、アーサーの願望が見せたのだろう。 意識を完全に失う前にギルベルトの幻を見た。
いつもはやるべきことをきちんとこなすうちに淡々と進む時間が、今週は本当にいつのまにか終わっている。
「掃除良し、茶器良し、湯も沸かしたっ!」 その日は朝からドキドキしていた。 なにしろ友人と言えるような相手がほぼいないアーサーの家に初めて客が来る。 それも…相手はあのリーマン、ギルベルトだ。
「ギルちゃん…それ犯罪やん。ストーカーやん。 YesロリショタNoタッチ言う言葉知らんの?」
ガタン…ガタンと音がする。 揺れる電車。 学校までは電車で1本。 乗車時間は30分ほどで長くはないが、都心に向かういわゆる登り電車なため、混雑がすごい上、まず座れない。 よく満員電車の比喩で使われるすし詰めという言葉を造ったのは絶対に関西人だ。 スシはスシでもちらし...