──来週の金曜日にお前ん家集合な。それまでは二人とも静観してろ。
それは日曜の午後に錆兎から来たメッセージだ。
金曜の夜中に帰ったから、土曜の朝までには計画を練って午前中には動くだろうと思っていたら案の定である。
その最終報告が今日ではなく金曜になのは何か意味があるのだろうか…
とっかかりはつかんだもののそれを強固にするための猶予期間が欲しいのか、あるいは結果を出したあとに揉めるのを予測して、その対処がしやすいように休日にしたいのか…
どちらにしてもこちらの都合で巻き込んで許容してもらっているので、宇髄には相手の条件に否という権利はない。
──了解。
とだけ返して、実弥に結果は次の金曜になるから、それまでは絶対に動くなと念押しをしておく。
まあそれだけで止まる人間ではないので、錆兎には自分達が錆兎を動かしたかったのがあらかじめバレていて、彼は敢えてそれに乗ってくれたのだということ、そしてそのために自分は錆兎からの信頼を失うリスクを抱えていたことを説明。
こちら側としてはそれだけの事をしているのだから、この静止を聞かないのであれば、もう自分は縁切りをするとまで言っておいた。
実弥にしてみれば宇髄は義勇の事に関して相談できる唯一くらいの人間なので縁切りはされたくないだろうし、ここまで言ったらさすがに自粛するだろう。
──金曜になるのはいいけどよォ…どうなってんだァ?
とは聞かれたが、それは宇髄にもわからない。
気にはなるがこれ以上錆兎を刺激したくはないので大人しく待つことにしたのだ。
──俺も気になるけどな。金曜日までのお楽しみっつ~ことで。
と言っておく。
幸いと言うかあいにくというか、錆兎の部署も義勇の部署も宇髄と実弥の部署とはフロアが違うので、互いに目に入ることはない。
きになりつつも強引に脳内から追い出して仕事に没頭すればなんとかなる。
そして逆に実弥とはフロアが一緒なので監視ができるので暴走も防げるは幸いだと思う。
錆兎の方もそんな宇髄の努力に対して配慮してくれているのか、その週は昼休みも一度も社食に顔を出さなかった。
そうして胃がキリキリする一週間。
実弥は週末まで動けないことに焦れているようではあるが、機嫌よく過ごしてはくれていた。
普通ならそれは良いことなのだろうが、安易に喜ぶことはできない。
監視の意味もあって毎日共に社食で昼食を摂る時に、
──初めてのデートっつ~のは、やっぱりDランドとかだよなァ?
などと機嫌よくスマホを見せられたりするたび、宇髄は週末後を思って頭が痛くなる。
確かに錆兎は罰ゲームとして義勇に告白をしたのだろう。
だが、だからと言って、それで実弥の計画通り、義勇が落ち込んでそれを実弥が慰めてそこから二人が付き合い始めるという結果になるとは限らない。
それどころかその可能性は限りなく低いと思う。
なにしろ今回のことで錆兎の実弥に対する評価は最底辺だ。
当然その計画に協力する気などさらさらない。
というか、むしろ計画を粉々に粉砕する気すらあるんじゃないだろうか…。
そうするにはもう面倒くさく難しいあれこれはいらない。
この罰ゲームの発案者が実弥だとバラすだけでいい。
錆兎がそれを義勇に伝えたところで問題はない。
それを口留めもしなければ他の誰かに言われたのだと言えとも言わなかったのは完全に実弥のミスだ。
そして義勇はそれを聞いた時点で普通なら実行した錆兎より命じた実弥の方により強い悪意を感じるだろう。
そんな相手が慰めようと寄ってきたところで、何の嫌がらせかと思うのが普通だ。
…ということに気づいていないのがすごい。
とにかく週末が来れば落ち込んだ義勇を慰めて、そのまま付き合えると思い込んでいる。
確定時効のように思い込んでいて、それを楽しみにしているがゆえの上機嫌だけに、それが叶わないとなった時の暴走を思うと宇髄は本当に頭が痛くなった。
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