ペナルティらぶアナザーSBG_13_ふわふわとした気持ち_義勇視点

そこからの錆兎はちょっと変わっていた。

──これ…確認して変えたいところがあれば言ってくれ。
と出されたのは表紙を含めて3枚ほどの計画表。

最初のページをめくってみると、これから半年ほどのスケジュールが見やすくまとめられている。
そう、まるで仕事のように。
あえて義勇が仕事で見ているそれと違うのは、ところどころ色や文字の大きさが変わっていたり絵や図が入っていたりと、見やすいものである点だ。

──すごいな。システム部のうちと違って、営業企画部はこんなにカラフルで見やすい物を作っているのか…。

と思わず感心して言うと、錆兎はちょっと困ったように笑う。

「まあ…そうだな。
客にも見せるから書類を作る時は見やすさを結構重視している。
だが今回は外観より内容を精査してほしい。
俺はとにかく義勇は気持ちから入ってないからな。
無理はさせたくない。
でもずっとお試しなのも今度は俺が辛いから、一定期間試しでつきあってもらって、このまま継続可能かどうかを判断してもらいたい」

そう言われて改めてもう一度見ると、確かに1か月後に交際継続確認とあり、その後、3か月、6か月に同じくで、6か月後には義勇の身内に挨拶とある。

──あの…この、身内に挨拶っていうのは…?

正直わけがわからない。
義勇の身内と言えばもう姉一人なのだが、いい年の男が姉さん姉さんとみっともないと不死川にからかわれたため、あまり周りに家族の話はしていないのだが…。

そんな思いでじ~っと錆兎を見上げると、彼はきょとんと
──きちんとした付き合いに家族への挨拶は欠かせないだろう?
と、当たり前のように言う。

──家族と言っても…もう両親も亡くなって姉が一人居るだけなんだけど……

確かに蔦子姉さんには伝えたいとは思っている。
年が離れているため義勇のことを親に準ずる存在くらいな勢いで可愛がってくれた姉は自身の結婚で一人きりになってしまう義勇のことをずいぶんと心配してくれていた。

だからもし錆兎がこのまま本当に付き合ってくれるのだとしたら、姉には報告したいとは思っていたのだが、大切な大切な姉との関係だけに、それを伝えて不死川のようにからかわれるのは絶対に嫌だった。

なので自分で報告するだけのつもりだったのだが、錆兎はふわっと暖かい笑みを浮かべて
「それならば余計にだろう?
双方この世に一人きりの家族ということなら、お姉さんも義勇のことを心配するだろうしな。
義勇が俺とそのまま付き合っても良いと思えるようになって、義勇が嫌でないなら、俺は義勇と付き合っていて大切にしますという報告と挨拶をきちんとしておきたい」
なんて、嬉しいことを言ってくれる。

蔦子姉さんが大好きで安心してほしいという義勇の気持ちを錆兎は否定しないどころか肯定してくれるらしい。

そのことになんだか胸がいっぱいになって、なんだか涙があふれてきてしまった。

すると錆兎は慌てて
「すまん!それは俺がそうしたいというだけで、絶対と言う事ではないから。
義勇がしたいようにしよう」
と涙を拭いてくれるが、義勇は違うのだ、と首を横に振った。

「そうじゃなくて…姉さんと仲がいいことをからかわれたりしてたから…
それを肯定してくれるのが…すごく嬉しい……」

義勇からすると率直な感想だったのだが、錆兎はうっと一瞬言葉に詰まったあと

──お前…可愛すぎだろう…
と、何故か真っ赤になってそうこぼした。

同じことを言っても錆兎は不死川のようにからかったり嫌な顔をしたりせず、むしろ真逆な反応をするのにすごく驚いたが、とにかく嬉しい。
ふわふわした気持ちになる。

このあと昼食をということで二人でスーパーに買い物に行ったのだが、錆兎は当たり前に重い方の荷物を持ってくれるし、帰ってから料理が得意ではない義勇のために実に手際よく美味しいランチまで作ってくれた。

「実は俺は恋人と言うものを作った事がなくて慣れていないから、何か不快なことやおかしなことがあったら遠慮なく指摘してほしい」

なんて信じられないことも言われたが、こんな至れり尽くせりな相手に対して不満なんてあるわけがない。

というか、むしろ義勇の方が1,3,6か月の交際継続確認の時に不満を持たれてたら怖い。
そういうと、錆兎はびっくりした顔をしたあと、苦笑。

「あ~、それは義勇の側の意志確認な?
俺は大丈夫。
お前のことを嫌になることはない。
こう見えて人を見る目はある方だし、交際を続けられないと思うような相手なら最初から声はかけないから」
なんて言ってくれてホッとした。

それで、出来れば半年を待たずに交際を決めてしまいたいのだとおそるおそる言うと、
「そうか。じゃあとりあえずステディリングでも買ってつけるか。
あとは1,3か月の確認は削除で、半年後に義勇のお姉さんに挨拶に行った上で一緒に暮らすか」
とテーブルの上に美味しそうな料理を並べつつ錆兎は
「俺は料理は得意だから、胃袋からがっちりと気持ちを掴みたいしな」
なんていたずらっぽく笑って言った。








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