真菰が言うまでもなく、不死川が流したデマはすでにかなりの乙女の耳に入りその怒りを買っていたが、なかには知らない人間も居るだろうと、真菰は最初から説明を始めた。
「今回緊急会合を開いた理由は、すでに知っている人も多いとは思うけど、不死川実弥と言う壬の隊士が、自分には前世の記憶があって前世では義勇と恋人同士だったから今生でも恋人になるんだとデマを流していて、義勇がすごく嫌がって迷惑しているからです」
とまず口にすると、会場からは非難の嵐。
──確かに義勇ちゃんは可愛いけどそんな方法でモノにしようなんて万死に値するわっ!
──今生での人生終わらせて来世に送ってやるっ!!
──水柱様にお世話になっておきながら、恩知らずにもほどがあるわよねっ!!
──少なくとも社会的人生は終わらせてやるべきよっ!
などと殺気立った声があちこちからあがる。
しかしそこで真菰がコホンと咳払いすると、一瞬で静かになるのが素晴らしい。
「最初はね、錆兎にその話をして協力をさせるつもりだったらしいんだけど、錆兎から義勇が嫌がっているからって却下されて、今騙されて協力してくれる人を募集している感じみたいなのね。
で、まあ結論から言うと、当たり前だけど、前世で義勇とって言うのは大ウソ。
根拠は呼び方。
奴はこの家に出入りし始めてからずっと、錆兎が許可したのもあって、よく接する機会があったあたしや錆兎のことは名前で呼んでるんだけど、あたしが近づくことを許可しなかったから距離があった義勇だけは冨岡呼びなのね。
前世とは言え恋人同士なら名前で呼ぶよね。
もちろん元々どういう関係であれ苗字でよぶ人間がいないとは言わないけど、義勇だけ苗字呼びっておかしいでしょ。
じゃあ逆に親しい場合だけ苗字予備の変わり者?って考えてみても、あたしと錆兎以外の隊士はほぼ苗字呼びだしね。
ってことで、その事実だけ考えてもデマだなと判断したのよ」
──さすが才女、真菰様っ!!理にかなったご指摘。
──でたらめで他人を騙して義勇ちゃんを手に入れようなんてヤバすぎだよね。
──ヤバい事しそうな感じの男だもん、さもありなんだよっ
──あいつさ、自分の不始末指摘されて女性隊士殴って怪我させたんだよっ
──サイテ~~!!!
場はまた怒りの空気に包まれた。
しかしそこでまた真菰が咳ばらいをすると、口を閉じて話を聞く態勢に戻る。
「で、不死川のデマを聞いた宇髄さんがね、あたし達に忠告に来てくれたわけなんだけどね。
そこで宇髄さんだけが知っている、不死川のデマが本当に嘘だってわかる理由って言うのを話してくれたの。
で、それをみんなに共有しておいた方が良いなと思ったんだけど、どうせならあたしが話すよりも本人に話してもらう方が伝え間違いがなくていいでしょ。
それで忙しい合間を縫って足を運んでもらったというわけです。
というわけで…宇髄さんお願い」
と、真菰が宇髄に振ると、一斉に沸き起こる拍手。
それにまた手を挙げて笑顔で応えると、宇髄は壇上に立ちあがった。
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