諦めが悪い2人の人生やり直しバトル_31_噂対決開始

──すまないが俺は寝かせてくれ。連勤が長いから集中が途切れそうだ。

藤の家で食事を終えたあと、柱合会議やら真菰や義勇を伴わない任務やらで多忙を極めていた錆兎はそう言ってあくびをしながら離れに戻っていった。

──俺も添い寝するっ!
と張り切ってそれを追って行く義勇。

その二人を見送って、真菰は渡り廊下を渡って母屋へ。
そして最近では鬼殺隊女子瓦版組合と名付けられた同志の集まるその部屋に足を踏み入れた。

そこには新人から甲のベテランまで、大勢の女性隊士達が冊子を読んだり、己の想いを熱く語り合ったりして過ごしている。

──あ、真菰様、おかえりなさいっ。
──錆兎様と義勇ちゃんもお戻りになられてるの?

真菰の姿を認めた女性達からかけられる声。
それに真菰はコホンと咳払いした。

「えっとね、今日はあと1時間ほどしたら特別なお客様が来て、皆に大切な話をされることになってるの。
だから手の空いてる人は出来るだけそれを大勢に伝えて欲しいんだけど…」

そう、相手がすでに話を広めているのなら、時間の勝負になる。
後続になってしまっているハンデは人海戦術でっ。
と判断して真菰がそう言うと、それまでは思い思いに過ごしていた女性陣は、パッとそれまでやっていたことを中断して、一斉に筆を執って鎹鴉に手紙を託す。

11時より重要な会議。
手の空いている者は鬼殺隊女子瓦版組合に集合。
なお、この手紙を受け取ったら、思いつく限りの同志に連絡を!

皆が皆、示し合わせたわけでもないのに同じ内容の手紙を書くのがすごい。

そうして鴉を飛ばしたあとは、誰からともなく20畳ほどのその部屋と同じく20畳ある隣の部屋の襖を開け放ち、机の上の冊子を全て棚にしまうと机を片付け、その代わりに押し入れから出した座布団を並べていく。
このあたりの連携具合がすごい。

あっという間に出来た客席。
そしてその前方には重要な話をするという客用に、一段高くなる台と椅子、そして机が並べられた。
さらにその横には、今回来られない同志のために議事を取る仁美と、進行役の真菰の座席もある。

「みんなさすがだねっ!」
と笑顔で言う真菰に、グッと親指を立てて良い笑顔を見せる同志たち。

さらにすごいのは、その内容の予測をしたらしく、
「今、鬼殺隊衣装部に連絡入れたっ。
で、例の暴言野郎はそっちで隊服の採寸をし直したいって言って引き留めてもらって邪魔が入らないようにしたから安心してっ!」
と言う百舞子だ。
伊達に最古参ではない。

「百舞子、天才っ!」
「推しのためならっ!!」
と、互いにグッと拳を握り締める真菰と百舞子。
それに拍手をする女性達。

そんなやり取りの間にも続々と人が集まって、同期女子3人組の指示のもと、前から順番に間を開けずに行儀よく席についていく。


そうして10時50分。
20畳を2部屋、合わせて40畳の空間に、おおよそ50人強の女性隊士達が集まって大人しくゲストを待っていた。

誰一人としてふざける者もなく皆真剣な顔を前方に向けていると、やがて10分たって11時ぴったりに真菰が玄関に客を迎えに走っていく。

そうして戻ってきた真菰の後ろにいる人物を見て、女性隊士達は絶叫した。

──いやあぁ~~!!!宇髄様ぁぁ~~!!!
──きゃああぁぁ~~!!!

まるで人気役者が舞台に上がった時のように一気に盛り上がる広間。
みな拳を握り締めて前のめりになるが、そこは訓練された同志たち。
自分の席から立ちあがることはない。

そんなものすごい反応に錆兎あたりなら引きそうだが、宇髄は慣れているのか笑顔で手を挙げて歓声に応える。

そしてそれだけ大騒ぎになっても、司会席についた真菰が一言、
──静粛に!
と一言言えば、皆とたんにシン…と口を閉じて姿勢を正した。

そこで宇髄が主賓席に着くと、真菰が始める。

「本来はそれぞれ楽しんでもらうのがこの団体のやり方なんだけど、今回、義勇に関してとんでもない噂が流れていて本人もすごく嫌がっているんで、それをきちんとした根拠を示した上で否定するとともに、音柱の宇髄さんにそれに付随する重要な話をしてもらうためにご足労願ってます。
ということで先に私から状況説明と迷惑な噂、それにデマであるという根拠について説明させてもらいます」

そう言って中央に立つ真菰に大きな拍手が送られて、乙女達の会合…もとい噂合戦の幕が切って落とされた。






0 件のコメント :

コメントを投稿