諦めが悪い2人の人生やり直しバトル_27_前世の嘘

──俺なァ…前世の記憶があんだよ…

どうあっても協力を得たくてそこに触れることにしたが、正直自分で口にしたにもかかわらず信じないだろうと実弥は思っていた。

それでも仕方なく実弥が口にすると、なんと錆兎は合点がいったとばかりに、
──あ~!だからかっ!!
と、ポンと手を打つ。

──はあぁ??何がだからだァ?こんな胡散臭え話いきなり信じんのかよォ!!
と、あまりにあっさり言われて、実弥の方が戸惑ってしまった。

──え?嘘なのか?
──…嘘じゃねえけどよォ…

信じさせるところから難関だと思っていたのもあって、一気に力が抜けて、実弥はその場にしゃがみこんだ。
すると錆兎も隣にしゃがみこむ。

──え~とな、根拠もなく信じたわけじゃないぞ?
とそのままの姿勢で実弥に視線を向けて言う錆兎に、実弥は首をかしげた。

「まずお前のちぐはぐさが気になっていた。
ありていに言うなら、最初のお前の印象は、勝てないのに危機感がないというものだったんだ。
初めて鬼に対峙するならわかるが、何度か鬼と戦っていて自分の攻撃が相手に通用しないという経験をしているのに、鬼の力に対する恐怖心がなさすぎる。
別に臆病だとか傲慢だとか性格の問題じゃなくてな、動物というものは普通は本能的に死を恐れて無意識にそれに直結するようなものを避けようとするのに、お前にはそれがなさすぎた。
上の階級になると恐れていても周りへの影響を配慮して理性でそれを見せないようにふるまうことはあるが、お前はそうじゃない。
見せないようにふるまっているんじゃなくて、心底感じていない…そんな風に見えたんだ。
それが前世で成長した時の記憶によるもので、全盛期の頃の感覚が抜けなかったのだと言われればなるほどと思う」

考えるのは真菰の仕事と言いつつ、水柱様も実は観察眼が鋭くかなり頭がいいのか…と実弥はまさに自分の状態を言い当てられて驚いてしまった。

「その時は自己評価が高い原因は不明ではあったが、お前はおそらく自分では普通に出来るはずのことが出来なくて苛立っていて揉め事を起こしているのだと思った。
だから自認している実力に現実を近づけてやれば落ち着くだろうと思って礼儀と同時に武力についても鍛えることにしたんだ」

錆兎は淡々と言うが、本当に実弥の悩みも苛立ちも全てを理解した上で解決してやろうと動いてくれていたことに関しては、もう感謝の気持ちしかない。
本当にいい奴なんだと心の底から思う。

しかし…しかしだ。
そう思ってなお、実弥には譲れないものがあるのだ。

ここまで世話になっためちゃくちゃいい奴を騙すのは本当に心苦しいのだが、それでも実弥は諦めきれなかったのである。

「まじ…お前が言った通りなんだよ。
俺は前世っつ~か…いったん24まで生きて死んだんだが、その時は全盛期には風柱になって、21ん時に最終的に無惨を倒したんだけどなァ…冨岡が水柱やってて、二人して生き残ってて、まあ、なんだ…俺らは恋人同士ってやつで…。
だから今生でも取り戻してえっつ~か…」

「ふむ…そうか……」

ドキドキしながら嘘をついてみたのだが、錆兎の表情は変わらない。
だから信じてもらえたのだろうと実弥は思った。

「っつ~ことで…別に俺と一緒になったって不幸になんざなりゃあしなかったって実績があんだよ。
俺らは確かに幸せだったんだァ。
だから協力してもらえねえか?」

そう言ってちらりと視線を向けると、錆兎はやはり表情を変えることなく、淡々と言う。

「俺はさきほども言ったが家族が一番大切なんだ。
だから家族を頂点としてあとは親しい順番に優先していく。
ということで、まずは義勇がお前を好きだと言うことで真菰が反対しているということなら真菰を説得するのもやぶさかではない。
義勇は当事者で真菰は当事者ではないからな。
だが、今の時点ではすまないが、同じ当事者だとしてもお前の気持ちと義勇の気持ちだと義勇の気持ちを優先させてもらう」

「いや、だから冨岡も俺の事が……」
「今の…お前のいうところの今生の義勇の気持ちな?
だからどうしても義勇に好かれたいという事なら、好かれるよう努力しろ」

真菰のように反対している様子もなく、かといって協力してくれそうな様子もない。

しかし、それならと思って
「じゃあ…好かれるように一緒に居る機会を…」
と、言うと、
「義勇が望むならな」
と即答されて終わった。

これは…もう水柱屋敷に居座るしかないのか…と腹を決めて
「しばらく水柱屋敷に厄介になってもいいか?」
と聞くと、
「ああ、さっきも言ったがそれは全然構わないぞ。
まあ…今までのように任務に同行させてやるとかはできないが。
飽くまで暮らすだけな?」
と、それは断られることない。

だがこれも
「ただし最初に真菰に言われた規則は守れよ?
真菰の許可なく義勇にちょっかいをかけるのは厳禁だ」
と当たり前に釘を刺された。


ああ、結局真菰を納得させるしか義勇と一緒になる方法はないのか…。
道のりは険しいぜェ…と内心ため息だが、それでも全く接点がないよりは同じ建物ではないにしろ同じ敷地内で生活をできるだけまだ絶望的と言うまでではない。

少なくともここに来る以前よりは実弥も強くはなったし他の人間の心証も良くなっているはずだ。

だからとりあえずはさらに男をあげるため、最低限前世と同じように目指せ風柱!である。









2 件のコメント :

  1. 不死川、嘘ついた!
    ウフフ〜😁これからの真菰ちゃんの攻防が楽しみでたまりません❗️

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    1. この嘘が実質の宣戦布告となってバトルが本格的に始まるのです😁

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