諦めが悪い2人の人生やり直しバトル_25_進まない関係

仲が良くなるどころか、睨まれてるよなぁ……

実弥が水柱屋敷に来て半年ほどが過ぎていた。

その間、真菰が組んだ鍛錬計画に従って錆兎が裏庭に用意してくれた物を使って日々鍛えている。
それで筋力もあがって体も出来てくれば、呼吸の型については師範がしっかり教えてくれていたのもあって、それなりに強くもなってくる。

そうして強くなってくれば頼りがいのある人間だと思ってくれるかと思えば、義勇は
──不死川ももう一人でやっていけるんじゃないか?
などと、さっさと出て行って欲しい感が満載の言葉を吐いてくるようになった。

錆兎は鍛錬や外での礼儀についてはめちゃくちゃ厳しいが、普段の生活での態度はおおらかで親しみ深く接してくれるし、真菰は言葉はきついがなんのかんのできちんとした態度や言葉を崩さず真面目に色々手伝ったりして居れば普通に接してくれる。

なのに肝心の義勇にだけはすごく嫌な顔をされるのが辛い。
というか散々暴言暴力を繰り返していた前世ですらこんな風に迷惑顔をされたことはなかったので、戸惑ってしまう。

原因は…まあ、わかっているのだが……

──なんで俺が留守番なんだ…
と、今日も任務で出かける錆兎と実弥に玄関先で義勇がぷくりと頬を膨らませる。

──大勢必要なほど大変な任務じゃないからな
とそれに当たり前に答える錆兎。

──大変じゃないなら不死川じゃなくて俺を連れて行けばいいと思う。
…と、これがまあ義勇の本音なのだろう。

──いや…実弥を早急に鍛えるために受けている任務だからな?こいつを置いて行ったら意味がない。

……ということだ。
そう、自分がおいて行かれるのに実弥が錆兎と任務とはいえ一緒に出掛けるのが面白くなくて毎度毎度義勇が不機嫌になる。

そして実弥が邪魔だと言わんばかりの義勇の様子に実弥の方も気分が急降下。

──面倒くせえ束縛女みてえなこと言ってっと嫌がられるぞォ
とついついチクリと言って、義勇が泣いて真菰に殴られる。

まったく…泣きたいのは実弥の方だ。
何が悲しくて、好きな相手が惚れている人間と同行することで、その好きな相手に嫌われなければならないんだ。
まあ…そこで余計な事を言ってさらにひどい状態に陥るのは自業自得なのだが…

そして…義勇が泣いて真菰が怒ってと収拾がつかなくなりかけたあたりで、錆兎が大きくため息をついて、両手で義勇の頬に触れて自分の方を向かせる。

「義勇…実弥が一人前にならないと、俺はいつまで経ってもお前と一緒に出掛けられない。
コツを忘れないうちに時間を空けずに鍛えた方が早く終わるだろう?
俺だって早くお前と一緒に出掛けたい。
だから頑張っているんだ」

と、なんとも甘い目で甘い声音でそう言って、コツンとその額を額に軽くぶつけたりするものだから、義勇がまた少し頬を赤くしてキラキラした目をしたりするんだと、実弥は内心ため息をつく。

そう、水柱様は山育ちの無骨者だからと言うのが口癖のくせに、兄弟弟子相手にどこぞの可愛い女とでも対峙するような色男っぷりを発揮したりするのだ。

例え柱になるほど強くなったとしても、実弥にはこんなことは出来ない。
…というか、したとしても似合わない。

──帰りは昼前になるだろうし店も開くだろうから、お前に似合いの何かを土産に買って来るから

なんて、兄弟弟子に言う言葉じゃねえよ…と、実弥は自分と兄弟弟子の匡近との関係と比べて、突っ込みを入れたくなる。

もちろん…鉄拳を食らうのも追い出されるのも…これ以上義勇に嫌われるのも嫌なので、口には出せないわけなのだが…。


というかむしろ女の真菰に対してよりも義勇に対する方が空気が甘い。
絶対に甘い。

まあ…実弥も色々と周りに毒されているのかもしれないが…。

なにしろ水柱屋敷の母屋にはちょくちょく真菰の同期やら友人と言う名の特殊な趣味の女たちが集まって、怖いもの知らずにも水柱とその継子の恋物語を題材にした小説や絵を描いていたりするのだ。

普段は食事の時くらいしか母屋に来ない水柱様は全く気付いていないようだが、義勇の方は実は知っている。
そしてそれを嫌がることもなく嬉しそうにしているのに、実弥的には頭を抱えたくなるのだが…。

どうせなら義勇の相手は自分にして欲しい。
そう思ってダメもとで、たまには相手を変えてみたらどうか?…例えば俺とか?と一心不乱に文字を書いている女の一人に言ってみたが、

解釈違いですっ!
錆兎様の相手は義勇ちゃん、義勇ちゃんの相手は錆兎様ただ一人ですっ!
戦争を仕掛けてくるなら受けて立ちますっ!
なんなら不死川総受け本書きましょうかっ?!!」
血走った目でそう言われて、意味はわからないが怖すぎて見事に玉砕。

ということで…隊士としては少しずつ向上はしているものの、義勇の保護者兼恋人になるという目標に関しては自覚があって気を付ける気があるにもかかわらず、前世よりも今生の方が数十倍はハードモードになっている気がした。







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