諦めが悪い2人の人生やり直しバトル_22_水柱屋敷ときつねっこ

敵地に行くような気持ちで水柱屋敷の門をくぐる実弥。
まあ敵ではないが、自分の行動次第で匡近の命までかかっていると思えば、そのくらいの緊張感はある。

だからさすがの実弥も何も考えずにいたわけではなく、この時までに一緒になった隊士達…主に女子達が話していたきつねっこ達とも呼ばれる鱗滝左近次の3人の弟子について脳内で整理をしていた。

まず水柱の渡辺錆兎は元剣術家の名家のぼっちゃんらしい。
前世でいうところの煉獄みたいな感じだろうか…。
そう言えば雰囲気が似ている気がする。
実家は鬼に襲われて無くなったらしいので、挫折を知った煉獄というところかもしれない。

基本的に善意で強く優しく正しい正義の味方なところは似ているが、煉獄よりはやや静かな印象だ、
自分に対する態度については大らかな性質で、先日もそうだったが多少アレでも気にしないが、大切にしている兄弟弟子に関してはかなり厳しいということである。

目上は立て、同僚には親切で、目下には優しい。
任務では厳しいこともあるが、頼れる柱として皆に好かれている。
そして…最高位の柱となって継子とした現在も、姉弟子を敬い忠告をよく聞き入れ、弟弟子の義勇のことはよく守ってやって義勇の絶対的な信頼と愛情を勝ち取っているとのことだ。

実弥が任務で一緒になった女子達は、彼と義勇の仲の睦まじさを題材に小説や絵を描いているらしい。

………本当は自分のはずだった。
そうやって強くて皆に尊敬されて義勇との仲の睦まじさを周りに知られているのは自分のはずだったのに……
苛立たしさと悔しさと…とにかく辛い気持ちがグルグルと渦を巻いて癇癪を起したくなるが、今は匡近の命までかけられてしまっているので、とにかく水柱屋敷で大人しくしているしかない。

まあ何度も言うが、そこに義勇が居るのは救いだが、しかしそれもまた、ある面では辛いのである。

今生の冨岡義勇はこれまた実弥が覚えている彼とはずいぶん違うらしい。
前世では無愛想で頓珍漢で他人に少しばかり距離を置かれるような男だったが、今生では末っ子特有の庇護欲をそそる愛らしさで、前世では現役時代はほぼ光がなかった綺麗な青い目はキラキラと輝いて表情もくるくるとよく変わる。

もともと愛らしい顔をしているのだから、そんな風に可愛い弟っぽさを全開にしていたら、そりゃあ人気者にもなるだろう。
惚れたひいき目を別にしても、きつねっこと呼ばれる3人の中で一番キツネの面が良く似合っていると思う。

元々義勇の特別な存在になりたいとは思って居たが、その相手がさらにそんな風に本来長男で世話好きな実弥の好みのど真ん中のような要素を追加してきたのだ。
惹かれないわけがない。

しかし彼の一番に!と思えば、今生ではそんな感じの人気者なので競争相手が多すぎる。
実弥よりも階級が上で実弥よりも現状強く、実弥よりも問題を起こさない品行方正な隊士達がやまと居るその中でも、最大の高い壁は前述の義勇の兄弟子の水柱だ。

2人に会ったのは一度きりだが、明らかに水柱に対して他とは比べ物にならないほど大好きという空気を醸し出していた義勇に心が軋む思いがした。
あれを超えなければならないのに、その相手に助けられて、あまつさえその館に引き取られて面倒を見られるとか、なんの罰だと思う。

さらに最後の一人…きつねっこの一番上。
水柱と義勇の姉弟子の少女は明らかに自分のことを敵対視しているように見えた。
まあ…初対面が可愛い弟弟子に助けられておきながら暴言を吐いているという状況だったので、良い印象なんて持たれるはずもないのだが…。

それでも義勇と恋人になるには、まずこの姉弟子を味方につけなければならない。
しかしそれは水柱を出し抜くよりも難しい気がした。

ズケズケと…しかし、言い逃れができないような正論をぶつけてくるきつねっこの長女は水柱よりも近寄りがたい。
水柱屋敷でこの少女の存在が一番憂鬱だった。










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