彼女が彼に恋した時_13_幕間10

普段は弟妹達が飛び跳ねている大き目のソファ。
そこに義勇が座っていた。

薄手のTシャツは制服より体のラインが出る。
首から肩にかけては頼りないほど華奢だが、意外に豊かな胸のふくらみ。
それがさきほどまで読んでいた少女漫画のヒロインと重なった。

漫画では主人公の不良少年が少女を絨毯の上に押し倒す。
そして片手で抵抗を封じてヒロインのシャツを下からまくりあげると、可愛いブラを口でずらして、ぽろんと零れ出る白い柔らかな胸に口づけるのだ。

この、取っ払うよりもずらすという行為にまず興奮する。

そしてその後、少女の両手首を掴んでいるのとは反対側の片方の手はたくし上げたスカートの中へ…というのが、最初のそういうシーンで、実弥はそれに自分と義勇の姿を重ねながら何夜も過ごした。

そこは胸のように見える形ではなく、スカートの下で主人公の手が、指が、動いている描写なのだが、じゅぷっ…とか、くちゅっ…とか言う音と共に、ヒロインのか弱い悲鳴や拒絶の声と共に涙にぬれた顔が羞恥にそまる様子が描かれていて、実際にその部分をあからさまに見せるよりも、興奮する。

漫画では文字だが、現実ではヒロインがすすり泣きながら小さく漏らす拒絶の声を、あの、義勇の可愛い高く細い声で聞けるのだろうか…。

…しなずがわ…やだっ…やだっ…いやぁっ…
力なく抵抗しながらすすり泣く義勇の姿が脳裏に浮かぶ。

顔を近づけたらきっと甘い香りがするのであろう柔らかそうなふくらみ。
その頂きにある、ツン…と固くなった先端に口づければ、漫画のように表面積の小さい布地は溢れ出てくるもので濡れてくるはず。

それを知らしめるように指に絡ませて、それが湧き出る中に指を入れれば、嫌がりながらも揺れる細い身体。

抵抗しつつもこらえきれず、実弥の手で達した瞬間の細くか細い、糸を引くような悲鳴まで、そのシーンを想像すると、下腹がズシン!と重くなった。


そうして長い時が経って、最初は嫌がりながらも義勇も徐々にほだされていき、身体も何度も重ねた後、結婚するより先に二人の愛が実を結んで、まだ大きくはなっていない腹を抱えて、二人で手を繋いで籍を入れに役所に行く道々。

──あの時は本当に怖かったんだから…
と、可愛い上目遣いでそんなことを言いつつ、過去の己の所業に焦る自分に

──お詫びに一生大切にしてよねっ
と、言う義勇に、生涯大切にするから…と言う自分の姿まで想像する。

義勇の中に注ぎ込んで、それが実を結んで子どもが…という妄想をすると、暴発しそうになって、実弥はリビングの入り口で何度も深呼吸をして、気持ちを宥めた。

まだ…まだだ。
まだこれからだからなっ。

そう自分自身に言い聞かせてみても、さきほど寸でのところで貞子に邪魔をされたので、身体が収まらない。

まあもういいか。
どうせ部屋に入って捕まえたら終わるんだから…と、そこでそう思い直して、実弥はリビングへと足を踏み入れた。






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