そんな話をしていると、意外に早く村田がやってきた。
そして部屋へ入るなり苦笑。
被害者に訴えたところで、被害者が引き起こしてるわけじゃないんだから、意味ないでしょ。
冨岡もバシっと言っちゃっていいからね、うるさい!って」
どうやら義勇だけではなく錆兎からも連絡が行っていたらしい。
状況をしっかり把握している村田は開口一番そう言った。
それに
「言ってくれるな。今猛省中だったんだ」
と、それに気まずそうに頭を掻く杏寿郎。
社内でも有名なエリートコンビの友人としては随分地味な感じだが、村田は本当に二人とはいわゆる気の置けない友人というもののようだ…とそのやりとりに義勇は錆兎の人選に納得する。
「そうなの?ま、いっか。
とりあえず錆兎からの伝言ね~。
『不死川の説得は終了。今後は変な絡み方はしてこないだろうと思う。
義勇も杏寿郎もこの2日間の諸々は全て記憶から消去して他言しないように。
無駄に騒げば逆に新たな火種になるし悪化する。
特に杏寿郎、特に杏寿郎はなっ!』
これ原文のままね」
「二度も繰り返さなくても…」
とそこでさきほどの勢いが嘘のようにしゅんとしょげかえる杏寿郎に、笑う村田。
義勇は笑っていいやらどうやらわからなくて微妙な表情になってしまったが、こちらもまた空気が読める男なのだろう。
「とりあえず、俺もお茶もらっていい?
司会引き継いで声はりあげてたら喉が渇いちゃったよ」
と、にこやかに声をかけてきてくれる。
「う、うん!」
と、指示をされたことにホッとして村田の分もお茶を煎れる義勇。
そして湯呑を村田の前に置くと、
「ありがと~!」
と礼を言ってそれを一口飲むと、
「じゃ、杏寿郎が落ち着くまで錆兎の昔話でもする?」
とふわりと場の空気を持っていった。
「えっと…勝手に聞いていい話?」
錆兎の話なら聞きたい。
全て余すことなく聞きたいのだが、それで嫌われたくはない。
なので義勇がおそるおそる確認すると、
「大丈夫!自分自身の行動についてなら、言われて困ることをするのが悪いが信条の男だからっ!」
と請け負う村田。
その隣では杏寿郎がうんうんと頷いている。
その発言自体がすでに聞いて楽しい錆兎情報で、義勇は思わずにっこり笑顔になった。
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