いきなり飛んでくる拳。
準備もなく避ける余裕もない。
──ストップ!何度も言うが自分自身が加害者になるのは下策だぞっ!
と言う声がした。
それにおそるおそる目を開ければ、むぅ!と若干不満げに…しかし手を止める煉獄。
そして彼の手首をしっかり掴んでいる錆兎のおかげで、一般よりも大きく硬そうな煉獄の拳は実弥の顔のすぐ前で止まっている。
「後先考えずに行動するのはお前の長所でもあるが短所でもある。
とりあえず今回は俺に任せる約束だったよな?」
と、錆兎が言えば、
「…わかっている。
この件に関しては君が正しいな」
と飲み込みたくないものを飲み込むような、いかにも我慢していますといった表情でだが、それでも煉獄は拳を下ろした。
相方がそうやって少し落ち着いたところで、錆兎は苦笑。
「義勇、杏寿郎と一緒に居てやってもらっていいか?
うるさく暴れるようなら村田を呼んでくれ。
学生時代からの長い付き合いだ。宥め方は心得ているから」
と、さりげなく義勇と煉獄を遠ざけて、青ざめて固まっている宇髄に
「申し訳ないが、宇髄は俺と不死川の楽しい話し合いにつきあってもらっていいか?」
と声をかける。
それに宇髄はやはり無言のままで頷いた。
こうして面々は宴会場へ戻る煉獄と義勇、そして部屋に残る実弥と宇髄、そして錆兎と、二手に分かれる。
「ここで話すのもなんだし、入れてもらっていいか?」
と、この後に及んでも飽くまで穏やかにお伺いを立てる錆兎に、自分の立場を考えれば否と言えるはずもなく、実弥は黙って頷くと、彼らが入れるように少し自分の身体をずらした。
「ありがとう」
と、笑顔まで浮かべて言う錆兎が怖い。
それとは対照的にやはり無言でそれに続く宇髄の緊張した様子に実弥はハッとした。
考えてみれば自分が依頼したせいで、宇髄も共犯にさせてしまったのではないだろうか。
夕食前の錆兎の【刑事罰を与えられても仕方のないこと】という言葉が頭のなかをグルグル回った。
実弥自身は確かにもう犯罪と言われても仕方ないやり方でここまで義勇を連れて来たので、罪に問われても諦めはつくが、宇髄まで連座をさせるのはさすがにダメだと思う。
なので実弥は
「すまねえっ!!俺は犯罪者でも構わねえが、宇髄は俺が無理やり引きずり込んだんだっ!こいつは悪くねえんだっ!!」
と、錆兎の後ろ姿に土下座した。
そこで奥に向かいかけていた足がぴたりと止まり、錆兎が振り向く。
そして少し目を丸くしたあとに破顔一笑。
「ああ、良かった。
そこのところの意識を持っていてくれると話もしやすい。
まあとりあえずは話をさせてくれ」
と実弥にも座って話を聞くことを求めた。
強姦一歩手前でしたし殴っても良かったと思うんですけどねえ。私人逮捕という形で。
返信削除まあそこまでの手をまだ出してないので、殴ると逆に杏寿郎が犯罪者になってしまうので💦💦
削除部屋の中に監視カメラがあった訳でもなし、無理矢理拉致して部屋に引き摺り込んで二人きりになっている時点で強姦未遂からの救助のためって理由付けには十分すぎると思うんですが。
削除逆に拉致その他諸々の証拠もないので、あまり強引な手段に出れない感じですね😅💦
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