──宇髄…頼みがある。一生の頼みだっ!
錆兎達の部屋を出て宇髄が不死川達の部屋まで不死川を迎えに行くと、思いつめた顔で出て来た不死川はいきなりその場で土下座してきた。
と宇髄は驚く。
しかし驚いたのは不死川の土下座に対してではない。
正確には…土下座されるであろうことを予測できていたことに対してである。
それでもそれをおくびにも出さず、土下座する不死川の前にしゃがみこんで視線を向けると、不死川はそれでも頭をあげることなく
「今回だけっ!一度だけでいいっ!冨岡と二人で話してえっ!
だから無理を承知で頼むっ!協力してくれっ!脳筋コンビを引き受けて欲しいっ!」
と言う。
なんというか…あれだけ色々話したにも関わらず、結局正面からぶつかるつもりらしい不死川を見て、本当に根回しもできなければ計画も立てられない人間なんだな…と、宇髄は改めて思った。
そして単純な脳筋コンビと思われている錆兎と煉獄よりも、不死川の方こそ良くも悪くも裏表がない男だと再認識する。
しかし考えてみれば、だからこそ宇髄はこれだけよく問題を起こす不死川なのに、ずっと友人をやっていたのだ。
なまじ顔が良くて何でも卒なくこなす宇髄は、表面上にこにこしながら裏でぼろくそに落とす輩にさんざん接してきた。
でも不死川だけは宇髄相手でも不快なら目の前で不快さを表明するので、なんだか安心してつきあえたのである。
宇髄が本当に信用している数少ない友人だからこそ、破滅はさせたくはない。
何度も呆れて何度も怒りはしたものの、やっぱり幸せになって欲しいのだ。
改めてそんな自分の気持ちに向き合って、宇髄は両手を腰にあてて、はあぁ~とため息をついた。
「お前…まだそれ言うのか」
と暗に無駄だからやめておけと忠告をしてみたが、
「やらずに諦めることは、やっぱりできねえ!」
と不死川の決意はどうやら固いらしい。
「………冨岡がNoと言ったら、そこで引けるか?」
と、それでも宇髄は確認を取る。
ここでYesというなら、本当に見限るつもりだった。
何故なら、不死川は絶対に諦めるつもりはない、そんな目をしていたからだ。
これまで寄り添い続けてきた自分を騙してまで己の欲を通すというのなら、宇髄もさすがに手を引く以外の選択肢はない。
しかし不死川の答えはNoだった。
それで宇髄に断られる可能性が高くなったとしても、そこは嘘をついたりごまかしたりはしない。
「いや、そこで諦めるようなら初めから頼んではいねえよ。
冨岡は諦めずに説得を続けりゃあ絶対に落ちる!
もちろんそこからは俺も本当に反省してるからめちゃくちゃ大事にするからよォ。
お前の厚意を仇で返すような真似はぜってえにしねえっ!
頼むっ!宇髄!!」
と、いったんは宇髄の目を見てそう言ったあと、また床に頭を打ち付けるようにさげる。
「あ~、もう、仕方ねえなぁ。
どういう結果になっても俺を恨むなよ?
俺はお前に頼まれて、しばらく脳筋コンビを冨岡から引き離すだけだ。
それ以上は期待すんな」
と、宇髄は結局それを了承した。
(まあ、確かに鱗滝にはこちらが用心している期間に動いてもらった方が良いと言われているしな…)
と、それは口には出さずに心のうちだけで呟きながら…。
更新ありがとうございます☺️
返信削除この後、義勇さんはどうなってしまうのか、ドキドキします😱錆兎〜!。:゚(;´∩`;)゚:。
何があっても脳筋コンビがついているので大丈夫なのですっ😁
削除結局は実弥って好きと言いつつ馬鹿にしてるんですよね義勇のこと。ぼっちだとか、組む奴なんていないだろうとか、押しに弱いから流されるだろうとか、好きな人への評価とは到底思えない言い種で、呆れます。本当に恋心抱いているのか甚だ疑問です。顔以外に好きな所挙げろって言われて答えられますかねこの男は。ボロクソにけなすことしかしてこなかった癖に。っていうか流されて付き合うような主体性のない相手を手に入れて嬉しいって相当ヤバいと思うんですけど。自分の思い通りに支配できる綺麗なお人形さんがほしいだけにしか見えません。
返信削除自分が考えること感じる事と他人が考える事感じることが違うと言うことを理解できないがゆえですね、全て。
削除好きな相手を守ってやって、相手から頼られたいという感じですか。
自分の側が好意的に接するようになれば、相手も自分に好意を持って頼ってくるはずと悪気なく思ってます💦💦
義勇さん、脳筋コンビがついているので大丈夫だと思いますが心配です。
削除実弥に関しては、どなた様か分かりませんがきっちりと私の思いの丈を投稿して頂いたのでスッキリしました。
ありがとうございます。
あんな自分本意な人が何をもって優しいと言えるんだか甚だ疑問に思います。
まあ…原作の玄弥に対しての態度とかを見ていても、相手のことが大切ではないわけではなく、思い込みが激しすぎて相手の気持ちを察することができない人なのかなと思いますね😅
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