とりあえずまずは不死川に悪意がなかったことの説明から。
先に宇髄が話す。
不死川が義勇を追い回すのは悪意からではなく、実は仲良くなりたいと思っているからなのだ。
義勇に自分が義勇を嫌っていると誤解されていること、その誤解がなかなか解けないことにイライラしてああいう態度になってしまっているのだと。
「お~い、冨岡、聞いてるかぁ?」
とあまりに反応がないので宇髄が義勇の顔の前で手をヒラヒラふると、義勇は団子の串をいったん器の上に置き、もぐもぐごっくんと口の中の団子を飲み込んだ後、
「…聞いてる」
と、言ったあとにお茶をすする。
本当に感情が読めないその表情に、それ…どんな気持ちの時の顔?と聞きたくなって眉尻を下げる宇髄に、錆兎が苦笑交じりに助け舟を出した。
「で?それについてはどう思う?」
そう聞かれて、義勇はコテンと小首をかしげて考え込む。
「どうと言われても…嫌いじゃないなら怒鳴ったり殴ったりしないで欲しいとしか…」
戸惑ったように言う言葉のもっともさに、宇髄も、そうだよな…としか言えない。
「あ~…これからはそれを改めるつもりらしいんだが…」
と、宇髄が投げ出してしまったやりとりを、何故か錆兎が続けてくれる。
ほんと、こいついい奴だよなぁ…と、それに宇髄は改めて思った。
「不死川が態度を改めたとして、お前はこれまでの諸々を水に流して仲良く出来そうか?」
と、さらに尋ねる錆兎。
正直、あまりに義勇のやる気のなさが見て取れて、宇髄はだんだん面倒になってきているのだが、錆兎はそれでも投げ出さず、話を進めてくれているのがありがたくもすごい。
その錆兎の質問に義勇は
「無理」
と一言。
絶句する宇髄。
錆兎はそこで
「何が無理なんだ?水に流すことか?それとも仲良くすることか?」
とさらに突っ込んで聞いてくれた。
「不死川がもう怒鳴らない殴らないと信じることが無理。
水に流すと言うことが、これまでのことを怒るか怒らないかと言うことなら、別に怒りはしない。
でも仲良く出来るか出来ないかと言えば、また殴ってくるかもしれないから友人づきあいをするのは無理」
この答えは希望があるんだろうかないんだろうか…判断がつきかねる。
どちらにしてもこんなに長く義勇が話しているのを見るのも初めてなきがする。
それを引き出せる錆兎はすごいし、それと張り合おうなんて思っていた自分はとんでもなく無謀だったと宇髄は心の底から思った。
そんな宇髄の評価に違うことなく、錆兎はさらに
「物理的に殴ってくることができない環境だったとしたら?
絶対に殴ってこれない不死川だとしたら、友人づきあいは可能だと思うか?
それとも過去があるから感情的に嫌か?」
と、掘り下げていく。
宇髄は義勇が無理と言った時点で本当に諦めていたのだが、そこで義勇は
「それなら普通の同僚やクラスメートくらいの付き合いは出来ると思う。
例えば…錆兎や杏寿郎が居れば絶対にかばってくれるから、そこに不死川が居ても問題はない。
怒鳴られるのは気分が良くはないけど、錆兎が居れば大丈夫っ!」
と、なんだかキラキラした目を錆兎に向けながら言った。
更新ありがとうございます😊楽しみにしてました。
返信削除「無理」ときっぱり言う義勇さんを褒めてあげたい。私的に錆兎のカッコ良さは鬼殺隊1番であり、義勇さんは鬼殺隊1番の美人と思っています🥰
義勇さんは必要なことは端的に物申す子だと思ってます。
削除そうそう、義勇さんはカッコいいというよりも綺麗なイメージですよね😊