捕獲作戦_進行_捕獲失敗

初日から邪魔が入りまくったが、やっと…やっとチャンスが巡ってきた!
今度こそ暴言を吐かない、暴力を振るわない、義勇と仲良くやっていきたいのだという意思表示をする!

不死川はもう一度脳内でやるべきこと、やるべきではないことを整理しつつ、軽い足取りで廊下を進む。

そんな不死川の隣を歩く宇髄もようやく肩の荷が下りた気分でホッとしていた。
いや、まだ義勇との交流がうまくいったわけではないので、安心するのは早いのだが、色々があまりにうまくいかなさ過ぎて、義勇と話す時間が持てるというだけで、もう目的を達成した気分になってくる。

そうして二人して目的地、義勇の部屋の前へ。

まず宇髄がコンコンとノックしながら
「冨岡、俺だ、ちっといいか?」
と声をかけた。

そして待つ事数分。

………返事がない。

その時点で嫌な予感がしたが、もう一度ノックして同じように声をかける。
それでもやはり反応がない時点で、宇髄は少し悩む。

もしかして義勇が一緒に居るのか錆兎に電話をかけたいところだが、もし単に義勇が旅館内で風呂にでも行っているだけなら、藪蛇になりかねない。
なので、とりあえずフロントに行って確認をすることにした。

「おい、どういうことだァ?」
と同じく焦る不死川に、
「部屋にいねえってことは、脳筋コンビと一緒に出掛けてるか、旅館内でぶらついてるかだが…旅館内でぶらついてるなら下手に電話かけて戻ってこられたらまずいだろ。
フロントに聞く方が安全だ」
と、説明をしつつ宇髄は急ぐ。

普通なら教えてもらえないところだが、今回は幹事なので
「幹事の宇髄だ。ちと確認したいんだが、7号室って外出中か?」
と聞くと、フロントは少々お待ちください、と、後方の鍵を確認。
「はい。鍵をお預かりしています」
と返って来て、
「まじかっ…」
と宇髄は片手を額に当てて天井を仰いだ。


「どういうことだァ?!」
と隣で怒鳴る不死川に、
「確認取るから、お前はちと黙ってろっ!
絶対に声出すんじゃねえぞ!!」
とこちらも想定外すぎてやや大声で言い放つと、宇髄は悩んだ末、錆兎に電話をかけた。

『はい、鱗滝』
と返ってくる返答。
「ちと確認したいんだが…今…」
と言いかける宇髄だが、錆兎に
『すまん、今運転中なんで、一緒に居るし状況説明なら杏寿郎の方にかけてもらえるか?』
と言われて
「ああ、わかった。かけなおすわ」
と、いったん通話を切って煉獄の方にかけ直した。

そうしてかけ直して1コール。

『煉獄杏寿郎だっ!!』
と、無駄に大きな声に、宇髄は思わずスマホを少し耳から離した。

「あ~、悪いんだけどよ、確認させてくれ。
今日お前、もしかして鱗滝と二人きりじゃなくて他もいるのか?」

あえて義勇の名を出すのは避けて聞くと、

『そうだなっ!今は村田と冨岡が一緒だっ!
不死川も誘ってみたんだが、今日は宇髄と出かけるからと断られたっ』
と、なんだか絶望に頭を抱えたくなるような返答が返ってきた。
というか、不死川は実際隣で頭を抱えている。

──なんだよ…俺も一緒に行きゃあ良かったってやつかァ…
との不死川の呟きを目で制して、宇髄は必死に次の言葉を探した。

とりあえずもう時間がない。
ずっと2人きりになるのは難しくとも、少しでも楽しい時間を共有して心を開いてもらう方向で動いて、出来れば少しでも他から引き離して二人きりになれるように画策をする。

そう脳内で計画を立て直し、
「そっか。今日の予定は?」
と聞いてみる。

おそらく全く他意がなく偶然そうなったのであろう。
煉獄は特に隠す様子もなく
『村田に蕎麦を奢る約束をしているから、昼に蕎麦を食いに行く!その後は決めていないなっ!』
と、教えてくれる。

合流したい…そう言うべきなんだろうか…
本当に他意がないなら合流したい旨を告げた方がより確実に合流できる。
…だが万が一他意があったなら??

あの脳筋コンビに限って、と思わなくはないのだが、今回あまりに彼らの行動で不死川を義勇に近づける計画が阻害され過ぎている。

「そうか。とりあえず昨日の事もあるし、車が混むことも考慮に入れて夕食に遅れないようにしてくれと鱗滝に伝えておいてくれ」
と、宇髄は結局それだけを言って通話を切った。

「おい、場所は?!なんで聞かねえんだよ!!」
とその対応に不満げな不死川に、宇髄は大きく息を吐きだした。

「なんだかな、合流すると口にしたらなんのかんので合流できねえ気がすんだよ。
店の場所はこれから調べるから」
「…わけわかんねえ。
でもどうやって調べんだよ。信州なんて蕎麦屋いっぱいあんだろうが」
「蕎麦屋はいっぱいあるけどな、朝飯の時に煉獄が言ってただろ。
あいつらが行く予定なのは平日の昼は天ぷらの食べ放題がある蕎麦屋だ」
「あ~~!!!」

なるほど、宇髄は情報分析がすごいと不死川は感心した。
これだけ敏い男が協力してくれているのだから、絶対に自分は目的を達成できるに違いない。
そう思えば冷静になってきた。

「とりあえず街の方だろ?
車ん中で俺が調べるわ。
ってことで着替えてくる」
と言いおいて、自室に戻って着替えてくる。
宇髄も早々に着替えて二人で車に乗り込んだ。









2 件のコメント :

  1. 更新ありがとうございます😊
    よもやっ!天ぷらの食べホでアシがついてしまうのでしょうかっっ(汗)
    どうか可愛いぎゆゆが逃げ切れますように〜(⁠*⁠﹏⁠*⁠;⁠)展開が気になりすぎます!

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    1. 読んで下さってありがとうございます😊
      次回で明らかになりますが、天ぷらの件も無敵の脳筋コンビなのでちゃんと計算済みなのです✨

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