寮生は姫君がお好き1025_金の竜からSOS

「銀狼寮、恐ろしいな。
勝てる気がしてこねえ」

茂部太郎達の説明を受けたあと、宇髄は驚きを隠せないように小さく首を横に振りながら言った。

「統率取れすぎだろ。
他の寮でも優秀な寮生は居るが、これだけ優秀なのに自己主張がほぼなくて、皇帝ファーストな寮生なんて見たことねえよ。
しかもただ指示を待つだけじゃなく、皇帝に必要になるかもしれないと思えば自主的に動くし…。
不死川だけじゃなく俺も欲しいわ、こんな部下」
と言う宇髄の言葉には全く興味なさげだが、それに対する錆兎の
「いいだろっ。
俺のお気に入りだっ」
には、やはり3人は揃って感激して涙する。

「まあとりあえず宇髄と不死川のとこの連絡待ちか…」
と、そんなやり取りをしながらも、今日のところはここまでか…と解散前にしつこいようだが大切な姫君が用意してくれたお茶だからと、義勇が準備していった紅茶を飲んでいると、なんだか廊下をバタバタと慌ただしく走ってくる足音が聞こえてきた。

しかし部屋の前まで来ると、あれだけ慌てているようだったのに平常時のままの節度ある強さのノック。
これに対しても、──銀狼、もう全員訓練され過ぎてね?…と宇髄が感心したようにため息をついた。

とりあえず他寮組はまだ居ることを知られない方が良かろうと、錆兎は宇髄、不死川、無一郎に寝室に居るように言いおいて、リビングを出るとドアを開ける。


「…こんな時間にどうした?何か非常事態か?」
今の状況が状況なので、つい自然に非常事態という言葉が口をついて出て、一瞬しまったか?と思ったが、伝えに来た寮生は
「はい。非常事態ですっ。
金竜の姫君がうちに助けを求めてきましたっ!」
と、驚くべきことを伝えてきた。

「へ??美和が?一人か?」
夜中に他寮の姫君が訪ねてくるなんて、確かに尋常じゃない事態だ。

通常なら寮長の護衛もなく出歩くこと自体がありえないわけなのだが、それなら金竜の姫君がではなく、金竜の皇帝がというところだろうから、少なくとも寮長の小郎は一緒ではないのだろう。

…となると、理由は一つか…

「わかった。すぐ会うからここへ通せ」
錆兎が言うと、寮生は敬礼して部屋を出て…そして少し離れたあたりで走る足音が聞こえる。

──すげ。てか、挨拶敬礼って…
と、こっそり寝室のドアの隙間から覗いていた不死川が笑って言うと、錆兎は

──当然。返答はJa!かサー・イエッサー!のどちらかだ。
と当たり前に答える。

それに宇髄も
──ここは本当に訓練された軍隊か…
と、呆れたように軽く首を横に振った。











2 件のコメント :

  1. 誤記かどうか微妙なところですが「金寮の姫君がではなく、金寮の皇帝」報告のところでは「金竜の姫君」になってるのでご確認ください(*- -)(*_ _)ペコリ あと、金竜の皇帝と姫の小郎と美和は苗字かと思いますがなんて読むのでしようか?

    返信削除
    返信
    1. ×金寮=〇金竜、ご報告ありがとうございました。修正しました😊
      皇帝は斎小郎(サイコロウ)で、美和は苗字は考えてませんが読み方は(ヨシカズ)です

      削除