学園警察S&G_第19章_罠

(夜中にこっそりなんて、ホント怪しい奴みたいだよね…)
(仕方ないだろう。見つからないようにやらなければならないし)
(…こんなもんでいいか?)
(…ああ、そんなもんか…)
(植木鉢…もってきたよ)
(よし、それに土少し入れてくれ)

(あとは…朝を待って、外出許可取るだけだな…)




「しっつれいしま~す」
金曜日の朝、宇髄は職員室へと向かった。
手には一枚の紙、外出許可申請書。
週末でも校外に出るときにはこれが必要となるのだ。

それを1年の学年主任の三上に提出。

「買い物か…。どうした?欲しい参考書でもあるのか?」

基本的に宇髄はあまり外出はしない。

勉強に必要なものに関してはたいてい学校に揃っているし、日常に必要なものは親が送ってくれるし、学校は全寮制で少しばかり不便な場所にあることもあって、ネット通販で取り寄せることも認められているので、たいていはそれでなんとかなっている。
あとは宇髄も他の生徒と同様に、その他にはこれといって取り寄せられないほどの特殊な物品が必要になるような趣味を持たないので外出する必要があまりないのだ。

なので、今回はそれを珍しく思った教師がそう言うと、宇髄は少し考え込んで、チラリとドア側の担任のデスクとは遠くにある地理の教師で園芸部の顧問大沢の様子を伺う。

「どうした?大沢先生が何か?」
「あ~…あの…」
「…何かやらかしたのか?」
割合と砕けた性格で有名な三上は、ばつの悪そうな教え子の様子に、苦笑しつつ
「黙っといてやるから、言ってみろ」
とうながした。

「いや、実は…植物って冷たいもんとかかけたら枯れるって知らなくて…なんか俺、11月頃に氷をぶちまけて食堂裏の花壇の花枯らしちゃったみたいなんだよな。
謝る前に枯れた花とかは取っ払われてて今冬だからなんも植えてないみたいなんだけど、こっそり土だけ植木鉢にもらってきて部屋においてあるから、種買ってきて来年植えられるようなもん育ててそれ手土産に謝ってこようかな~と思って。
やっぱ手ぶらでってのは性に合わねえから」
その告白に三上は笑って言う。

「あ~そうなのか。先生も知らんかったわ。
しかしお前もいいかげんに見えて実は結構律儀な奴だよな。
11月ならどうせ花も枯れる時期だっただろうしお前のせいでもないだろうが、なんなら俺が一緒に謝ってやろうか?」

「いや、とりあえず自分のやったことだし、種の事も育つまで秘密にしときたいんで、内密に頼むわ」
「おう、頑張れよ」
そんなやりとりのあと、最終的にドン!と背中を軽く叩かれ、送り出された。


「これで仕掛けは完了だな」
職員室を出てくる宇髄に、錆兎がにやりと笑って声をかけた。
「…今晩は二手に分かれるか?」
「そうだな…。
じゃ、俺と義勇は花壇に行っとく」
「じゃ、俺は村田と俺の部屋待機だな」

などと言いつつ、二人はパンと互いに片手を叩くと、そのままそれぞれの教室へと帰っていった。

これで今日明日中くらいには全てがはっきりするだろう。











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