青い大地の果てにあるものsbg_第90章_出動は怖い

そうして初めての組み合わせの3人で現場。
真剣な顔のしのぶと青ざめた善逸を背に宇髄が飄々とした様子で車を転がしていた。

「本部はあれだな、イレギュラーに慣れなさすぎじゃね?」
と、逆方向に緊張を深めていく本部組二人に苦笑しながら言えば、しのぶがやはり真剣を通り越して怖いくらいの顔で
「確かにそうですね。
これからは錆兎兄さんも真菰さんもいない戦闘にも慣れていかないと。
私達もいつまでも新米の子どもじゃないんですし。
そう思えば今回のこれは良い機会ですよね。頑張ります」
と決意表明をする。

ああ、もうそんなことに慣れたくはない。
なにしろ善逸は攻撃を受けないことが前提の遠隔アタッカーなので撃たれ弱い。
敵の攻撃なんて当たった日には一撃で死ぬ自信がある。
だから正直錆兎や真菰が居ても専業盾の炭治郎がいない戦いには行きたくないくらいなのだ。

炭治郎は仲間を守ることが仕事なだけにきっちりと守ってくれる。
でも他二人は敵を倒すほかに余裕があるからついでに守ってくれるだけなのである。

いや、錆兎は少しは後ろを気にしてはくれるが、真菰は普段はすごく周りを見ているのに戦闘となったら何かタガが外れたように攻撃寄りになるので、彼女と一緒で無事なのは正直守ってくれるからではなく、こちらに攻撃が向く前に真菰が敵をなぎ倒してしまうからなのだ。

アタッカー連中は一応前に出る前提のジャスティス達なのでそれで多少逃げ出した敵が自分の方に来ても問題ないかもしれないが、善逸は死ぬ。
絶対に死ぬからやめて欲しい。

宇髄を人間的に信用していないとかではなく、同じ遠隔のアタッカーとしての優秀さはよく見聞きして知っているが、盾としての能力はどうなのか…
それがわからない以上、本当に不安なのである。

「宇髄さん、俺さ、本当にダメだから…。
攻撃受けたら即死するから本当によろしくね。
俺の料理もお茶も好きでしょ?
俺死んだら掃除洗濯炊事やる人いなくなるからね?
全身全霊で守ってね?」

男としての矜持など元々ないが、今は本気でどうでもいい。

…ここにきてまで女々しいことをっ!
と隣の美少女に舌打ちをされた気がするが、それをも今はどうでもいい。
情けないと言われてもヘタレと言われても痛い思いをするのもましてや死ぬのも怖いし嫌だ。

「…お前なぁ…今までどうやってたんだよ?
現場出るたび泣きわめいてたのか~?」
と呆れ顔の宇髄に
「ええ、いつも息をするように泣きわめいて炭治郎君に引きずられて来てました」
と、しのぶがきっぱりと断言する。

そんな言葉にも別に腹も立たないし事実だし…と善逸は欠片も言い返すことはない。
というか、ヘタレと言われて車で待ってろと言われたらラッキーなのに…と思うくらいだ。

そして
──怖い、怖い、怖いよぉぉぉ~~!!!
と言う善逸の絶叫と共に、3人は無事に?現場に辿り着く。

しかししかし、善逸の災難はこれで終わらない。
敵は十数匹の犬型の魔導生物と1体の特殊生命体イヴィルと聞いていたのだが、実際に現場に居たのは魔導生物は報告の通りだったが、プラス1体、計2体のイヴィルだった。









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