青い大地の果てにあるものsbg_第80章_報告

──すごいわっ!義勇君との相性もばっちりねっ!

フリーダムへの報告は本部長の不死川が一緒だったのでやっておいてくれると言うことで、錆兎は義勇を伴ってブレイン本部に行くと、蔦子が満面の笑みで迎えてくれる。
出発前の空気を消し去るようにやや過剰にはしゃぐ部員達。

「まあ…義勇の能力があれば俺だけじゃなくて皆助かるんだけどな」
と一応錆兎がそう言えば、カナエは
「義勇君が一番望む場所に…と言ってあげたい個人的感情とは別に、全体を考えるべきブレイン本部長としてもね、皆を底上げできる能力を誰に使うかと言えばやっぱり一番強くて功績をあげられる錆兎君なのよね」
とそこはかなり理性的な様子で言う。
それに対してそんなことは…と謙遜するのもあまりに白々しいので錆兎は黙って流すことにした。

それを了承と捉えたカナエは
「どちらにしても単なる底上げなら人数を増やせばいいことだしね。
重要なのは義勇君に瞬時に回復してもらえるなら第三段階を使っても問題なくなるということよ。
そう言う意味では今の段階では錆兎君と真菰ちゃん以外はうちの子達は第三段階どころか第二段階までも到達していないしね。
いずれ皆が第三段階を使えるようになれば色々考えるけど、今の時点では義勇君は錆兎君専用ってことで…。
真菰ちゃんの方を少人数で使うと色々な子達の調整役がいなくなっちゃうから」
と、一応ね…と、真菰ではなく錆兎な理由もそう説明を加える。

なるほど。
さすが事務方のトップだ。
判断が的確で早い。

「天元君から聞いたところによると極東組はもう第三段階まで目覚めているらしいから、本部の子達のジュエルとの共鳴率を上げるのが急務になるわ。
だから不死川君とも相談するけど、もしかしたら他の子達はそちらの訓練を優先で錆兎君と義勇君は少し忙しくさせちゃうかもしれないけど、色々めどがついたらその分休んでもらえるようにするから、ごめんなさいね」

たおやかで優し気に見えて、言いにくいことはそれこそ錆兎と交友の深い不死川に言わせても良いのに自分がしっかり言うあたりが、胡蝶カナエがトップとして信頼のおける人物だと思える点だと錆兎は思う。

「ああ、わかった。一時的なものだし義勇も良いよな?」
と念のため振り返って聞くと、義勇もコクコクと頷いた。

忙しいと言うことに関しては元々支部で一番に広い担当地域をたった二人で受け持ってきた極東組は本部組の比ではない。

──錆兎と一緒に居られるならなんてことない…
とスリっと錆兎の腕をとって頬を摺り寄せて言う。

「じゃ、これから実弥と打ち合わせで忙しいよな?
俺達は部屋に戻らせてもらう」
と、双方意思確認が済んだところで、最終的に錆兎がそう言って、義勇と揃ってブレインの部室をあとにした。









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