青い大地の果てにあるものsbg_第72章_ジャスティス最強と義勇

「なあ、義勇…」
「ん~?」
「なんでこの体勢なんだ?」
「あ~…せっかくお集まり頂いてるお姉さま達に対するサービス?」

いつもの鍛練室。
錆兎はいつものように鍛錬に訪れていて、義勇は鍛錬をするわけではないがそれについてきている。
錆兎の一休み用にミネラルウォーターのペットボトル。
それにタオルも持参だ。
そうして鍛錬室の片隅でちょこんと正座をしてニコニコと錆兎の鍛錬風景を眺める。

何故居るのか?なんのための居るのか?…と聞かれれば確実に『そこに錆兎が居るから』と笑顔で答えるだろうと思う。

そんな風に鍛錬と見物?と時間の使い方は違うものの錆兎と義勇が同じ鍛錬室にいると、わらわらと部屋の入口にはカメラを構えたレディ達。

最初はその人数と勢いに驚いていた義勇もだいぶそれに慣れたらしい。
今では鍛練の休憩に入った錆兎にお茶とタオルを渡したあとに寛いでいる……錆兎の足の間に座って……

ペタンと座った錆兎の身体を背もたれ代わりにして、錆兎の手から錆兎が飲んでいたミネラルウォータのボトルを奪い取って一口。
錆兎が首から下げていたタオルを引っ張って当たり前に自分の首に巻く。

「なあ、義勇…」
「うん?」
「極東の人間ってパーソナルスペース広い人種かと思ってたんだが…お前は意外に他人が側にいるの平気だったりすんのか?」

錆兎的には別に拒む理由もないのでしたいままにさせている。

だが、そもそもが錆兎自身も極東の出身で、極東という地域自体があまりスキンシップが密な地域ではない事も知っているので、余計に不思議に思って聞くと、義勇は、ん~…と、視線を天井に向けて考え込んだ。

「くっついてるって意味で言うと、ちっちゃい頃から姉さんや天元といつもくっついてたから気になんないな。
もちろん相手によるけど。
世界中の男の9割くらいは半径2mの範囲内に近づいて欲しくないくらいで…」

「9割なのかっ!」

「敵意にしても欲望にしても、勝手に強い気持ちを募らせてぶつけてこられることが多いから楽しくない」
「まあ…そうだろうけど……」

カナエからくれぐれも義勇の世話と護衛をと頼まれているのもあって、どうやら自分はその勝手にぶつけてくる男に入っていない事にホッとしながらも、女なら良いのか?と少し疑問に思う。
本部だと女性の方がテンションが少しばかりアレな奴が多い。

「本部は…女もアレだぞ?」
と思わず言うと、
「お姉さま達は少なくともぎゅってさせてくれって言ってぎゅってするだけならって言ったらいきなり押し倒してきたりしないから」
などと恐ろしくもありえない発言をされて、
「男でもそれはないぞ、普通」
と錆兎は絶句した。

「とりあえず…男でも女でもお前にそんな事しようとする奴いたら、本当に俺に言えよ?」
と割合と真面目にそう言うと、
「うん、もちろん!思い切り期待してるよっ。
ジャスティス最強の総帥様だって天元も言ってたしね」
と、満面の笑顔が返ってきた。











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