青い大地の果てにあるものsbg_第68章_こんな可愛い子が女の子のはずがない

こうして紹介された蔦子の年の離れた弟の義勇はもうそれはそれは愛らしい少年だった。
実はヒーラー系ジャスティスだというが、もうそんなことは関係ない。
可愛いっ!モブ子の中では可愛い事こそが正義である。

当時12歳だった義勇はまだ性差も感じさせない子どもで、優し気なその顔立ちは少年というより少女のようだった。
それもあるのか蔦子の趣味か、彼が身に着ける服はレースやリボンがふんだんに使ってあったりとか、なんならスカートの時さえある。

それが何の違和感もなく似合ってしまうのがすごい。
というかモブ子は彼を見てあの古来から伝わる有名な発言が事実であることを実感する。

そう、『こんな可愛い子が女の子のはずがない』というあの言葉だ。

それからは日々、可愛い格好をした可愛い義勇君をカメラに収め、それを蔦子に送る日々。

ただただ平凡で何の変哲もない日々を送るはずだったモブ子人生は、そのことで随分と楽しく華やいだものとなったのである。


──義勇は可愛すぎるから…ちゃんと守ってくれるような人を見つけて一緒に居て欲しいの
両親を早くに亡くした弟を一所懸命育ててきたということもあってか、蔦子は日々美しい顔に心配そうな表情を浮かべて言っていた。

それを過保護という馬鹿な輩もいたが、モブ子は蔦子の意見に大いに同意する。
だって義勇君は可愛い。可愛すぎる!!

現にブレイン支部長の砂田と言う親父がそんな可愛い義勇に目をつけてさりげに…と言うにはやや露骨な勢いで追い回していた。
もちろんブレイン部員のモブ子としては自分の存在感のなさをフルに発揮して砂田の暴走を妨害していたのは言うまでもない。

それが全く功を奏してないとは言わないが、しかしダメなのだ。
自分では毅然とした態度で堂々と義勇君を守り切ることなどできはしない。

もしもモブ子が腕力も能力も権力もある包容力のイケメンだったら常に義勇君の傍に居てその身をお守りさせて頂くことに全くの異存はないのだが、残念ながらモブ子は名は体を表すという言葉がこれ以上なくしっくりくるレベルのモブの女だ。
義勇君のヒーローになるにはどこをどう転んでも役者不足なのである。

そんな風にモブ子も悩み蔦子もも悩む。
その悩みは義勇君の可愛い写真と共に医療部とブレインの一部の女子部員達にも広がっていった。
そして結成される『義勇君にナイト様をみつけたい乙女たちの会』略して【ギユ騎士会】

義勇君の方にもナイト様に目をかけてもらえた時のため…と、せっせと家事を仕込みつつ、己の持つ純度の高い少女趣味を伝授していく蔦子。

布教用の可愛い写真をモブ子が撮れば、それを綺麗に編集するブレイン部員。
それを冊子にして水面下で仲間を増やしていく乙女達。

そうしていつのまにか同志は海を越えて本部まで。

蔦子の新人の頃の研修で仲良くなって以来の親友だと言う現ブレイン本部長から広まっていったらしい。

結果…元々は『今日の可愛い義勇君の様子』がメインだったそれらの布教用資料には、義勇君のお相手候補になるなら…と日々支部や本部のイケメン達が追加、さらにどうせなら義勇君だけじゃなく他にも同性CPが居た方が義勇君も恋バナとかが出来て楽しいかもしれない…などと、同性CP候補情報なども追加されて、『乙女ジャーナル』という月刊誌になって乙女たちの間に出回り始めたのである。

今ではブレイン本部長の胡蝶カナエの元、本部の方に秘かに編集部が設置され、そこでは本部ブレイン部員の乙女達を中心に編集作業が行われるようになった。

もちろん情報はネットで極東支部からも日々送られている。
やはりコンテンツが増えてもやはりメインは義勇君なのだから。

そうして趣味と仕事に忙しく過ごしているある日、いきなり極東支部のジャスティス二人の本部行きが決まった。

本部いわくジャスティスを全員本部に集めて、任務に対して適切な組み合わせにして本部から直接各現場に送るとのことである。

しかし極東支部に二人しかいないジャスティス…。
それが二人とも極東支部を離れると言うことに不安を抱く部員達。

どこか皆落ち着かない中、モブ子は突然蔦子に呼び出されたのであった。










2 件のコメント :

  1. お久しぶりです?細かい点を何点か「腕力も能力も権力もある包容力のイケメン」→腕力も能力も権力も包容力もあるイケメン「役不足なのである」→役者不足or力不足…ではないかと思います。ご確認お願い致します。(__) ちなみにギユ騎士会をギュナイトと私は読みました(V)o¥o(V)💑

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    1. ご指摘ありがとうございます。
      者が抜けてましたね💦💦
      修正しました😀

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