「おかえりなさい、3人とも。無事で何より」
カナエはいつもの笑顔で錆兎から報告書を受け取って言う。
「姉さん、宇髄さんの攻撃、本当にすごかったわ」
真っ先にしのぶが姉妹の気楽さで勢い込んで言うが、カナエはしのぶを軽く制して報告書に目を通し、
「まあ、大方は報告書でわかったけど…ちょっと話も聞きたいからかけてもらえる?
しのぶは後で話し聞くから今はちょっと下がってて」
と、錆兎と宇髄に席を勧めた。
しのぶは少し不満げにぷ~っと頬を膨らませるが、渋々下がっていく。
20体あまりを全部一掃できるなんて本当にすごいわ」
しのぶが下がるとカナエはまず宇髄の能力を賞賛した。
そしてその後少し間をあけて、チラっと二人を見比べる。
「だけど…限定条件がなかなか厳しいわよね。
攻撃発動まで要する時間が約10秒。効果範囲10m。
さらに範囲内のもの全部に攻撃が及ぶってことは…敵の分散範囲が10m以上の時は10mの範囲に敵をひきつけて、10秒以上の時間持たせて、さらに敵に気づかれないように攻撃が及ぶぎりぎりに効果範囲外に脱出できる囮が必要になるって事になる。
これは…錆兎君か真菰ちゃんが必須になるわね。
他の子じゃ死んじゃうわよね…やっぱり…」
「…そういう事になるな」
カナエの言葉に宇髄がうなづいた。
「ってことは…宇髄君が出動の時は錆兎君、義勇君をベースで、あと必要に応じて足すって感じかな。
宇髄君と錆兎君が組むと鉄板になるから、残りのチームの方を底上げして平均化したい気もするんだけど…
義勇君はこっちのチームの方が精神衛生上よろしそうだしね。
なんだか蔦子ちゃんの所に錆兎君についてのメールがいっぱい送られてきたらしいから。
錆兎君のこと大好きらしいから出来れば一緒にしてあげてねって頼まれてるのよねぇ…」
と頬に片手を当ててニコニコ言うカナエに錆兎は片手を額に当てて
「そんなんで組み合わせ決めて良いのか?」
とため息をつく。
「あらぁ…だって蔦子ちゃんとは研修時代に同室になって以来の仲良しなのよ?
錆兎君か真菰ちゃん、どちらかは宇髄君に必須として…もしそこに義勇君をいれないとしたら、真菰ちゃんと宇髄君の組み合わせにするだけなんだけど…。
出来れば非常時に対応できるスペックの班を作りたいから、そうなると義勇君もいれたいし、それなら真菰ちゃんよりも錆兎君をいれてあげようと思うだけよ?
決して…親友の頼みだからとか、義勇君が錆兎君大好きオーラ出しているのが可愛いからとか、そんな理由じゃ…」
「…普通にありそうじゃね?
てか駄々洩れなんだけど」
と、そこで笑いながら突っ込む宇髄に、カナエは開き直ったのか
「そうとも言うわね。
でもそういうわけで問題はないのよ?」
と認める。
「まあ…そういうわけでこれからは基本的に宇髄君と錆兎君と義勇君はできる限り重い任務の時にでてもらう感じで行く事になるから。
軽めの任務は他の面々でね。
まあ…本格的にはじめる前に一度義勇君も交えてまた軽めの任務で慣らしてもらうことになるけど。大丈夫かしら?」
「…わかった」
「了~解っ」
カナエの言葉に二人がそれぞれ了承する。
「じゃあ、そういう方向で。
宇髄君か錆兎君、どちらでも良いから義勇君にもそう報告しておいてくれる?」
カナエの言葉に宇髄はきっぱり
「錆兎任せたっ」
と錆兎に振った。
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