青い大地の果てにあるものsbg_第55章_帰路に語る役割の可不可

車が発進すると、
「でも宇髄さんの攻撃すごかったです。
善逸さんも火力では敵いませんよね、たぶん。
あんなにたくさんの敵がホントに一瞬でしたから」
と、しのぶが待ちかねたように口火を切る。

「ああ、確かに…正直驚いたな。
ちまちま刀振っているのが馬鹿馬鹿しくなるくらいだ」
しのぶの言葉に錆兎も頷いた。

「俺は…錆兎の方がびびったけどな…」
二人の言葉にまだ半分ぼ~っとしながら宇髄がつぶやく。

「正直…俺の力は発動が遅いし避けられたら終わるからさ、攻撃当たるまでに敵を一定範囲にひきつけておいてもらわんと駄目なんだけど、それやると大抵の奴は巻き込まれて死ぬから。
一人であれだけの時間ひきつけておいて、攻撃当たるぎりぎりで攻撃のほぼ中心地点から脱出なんて芸当できる奴いると思わなかった」

「そんなの当たり前ですよ、錆兎兄さんですからっ!」
宇髄の言葉にしのぶが誇らしげに言った。
「だから姉さんも錆兎入れたんですよ。
炭治郎君ならひきつける事は余裕ですけど、跳躍力ないので脱出できずに死にますね」
しのぶは少し考えて本来なら防御が必要な際に投入される後輩の顔を思い浮かべる。

錆兎はそのしのぶの言葉に
「それ…炭治郎には言うなよ?
言ったら今度は盾持ったまま跳躍力あげるんだとか無茶なこと言い出すから」
と小さく首を横に振った。

「…今度はって?」
とその言葉にきょとんと眼を丸くするしのぶ。

それに錆兎は
「今朝…食堂でちょっと揉め事があって、興奮して言葉が耳に入らないであろう輩達をすこしばかり剣圧で吹き飛ばしたら、盾でそれをやりたいとか言い出して……」
とため息をつく。

──馬鹿ですね
──馬鹿だなっ
と、錆兎のその言葉に容赦ない二人がきっぱりと断言した。

「…まあ…馬鹿の話は良いとして、他は?」
「そうですね…たぶん脱出できる跳躍力あるのは私と蜜璃さんと錆兎兄さんと真菰さんなんですけど、私や蜜璃さんだとひきつけてる間に死にますね。
それにそこまでシビアに脱出するタイミングをはかれません。
善逸さんは両方だめです。
ということで、火力、移動力、防御力が揃ってるから、何か不確定要素ある時は錆兎兄さんか真菰さんを入れたがるんです、姉は」

「まあ…火力だけなら善逸の方があるし、防御力なら炭治郎にはるかに負けるけどな」
しのぶの言葉に錆兎は言うが、しのぶはそれを否定した。

「そうでもないでしょう?
善逸さんの弓も一撃は確かに大きいかもしれませんけど攻撃スピードが遅いし、炭治郎君は打たれ強いけど避けないから、総合被ダメージ、総合与ダメージだとわかりませんよ。
まあ…宇髄さんの攻撃は圧倒的過ぎてあれには負けるかもしれませんけど」
「確かに…あれにはどうやっても勝てないだろ」
「いや、単純に瞬間火力だけじゃ力の優劣ははかれねえよ。
2人以上と戦った事はないが、あのレベルの力は俺単体だと2発限界だから、雑魚やってイヴィル一人やったらあとはフォロー入らないと終わる。
もちろん…最初にイヴィルやってる間に雑魚ひきつけておく囮が必須だしな」

「まあ、そのあたりは本部にはジャスティスもそれなりにいますしね」
しのぶがそうしめくくったところで車は鬼殺隊本部についた。

今回は3人でフリーダムに帰還報告を終えた後、ブレイン本部に向かう。
受付で錆兎が報告書を受け取ると、参加ジャスティス名、敵の数、種類、殲滅手段等、必要事項を記入して、それを手にカナエの元へ向かった。








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