青い大地の果てにあるものsbg_第51章_案内役

そうして炭治郎に引っ張られて廊下に出た先では

──じゃ、俺は仕事戻るわ
と不死川が錆兎に手を振ってフリーダム本部にもどって行くところだった。

──ああ、じゃあまたなっ!
とそれに手を振る錆兎。

そしてそのままクルリと振り向いて炭治郎と善逸に目を向けると、
──ちょうど良かった!善逸、ちょっと付き合ってくれっ!
と善逸の腕をとる。

それに少し不満げな顔の炭治郎に
──炭治郎、すまないな。少し善逸を借りる。鍛錬相手が欲しいなら真菰が今第二鍛錬室だ。
と言う錆兎。

しかし炭治郎が不満だったのは善逸を連れて行かれることではなく、錆兎に呼ばれたのが自分ではなく善逸だったことの方であったらしい。

──…善逸じゃなくて俺じゃ役に立てませんか?
と聞いてくるので錆兎は察して苦笑した。

「ああ、単に宇髄とコミュニケーションを取るのに善逸が最適かと思っただけだ。
一度に大勢だと何か不具合が起きた時に俺が対処しきれないから。
善逸に慣れたら今度はお前もな。
順番に引き合わせるつもりだからその時は頼むな?」
と説明を受けて炭治郎も納得したようだ。

「わかりました。
俺も仲良くできるように頑張りますのでいつでも呼んで下さい。
じゃあ真菰と鍛錬してきますっ!」
と手を振って鍛錬室へと駆け出していく。

こうして錆兎に連れられて向かったのは中庭。
宇髄はなんとそこの木の上で昼食をとっているようだった。

──宇随さんっ、なんてとこで食べてんですかっ?!

錆兎に促されるまもなく思わず声をかけてしまう善逸。
それに気づいた宇髄は笑って
──お前も食う?
とおにぎりを一つ投げてよこした。

それを慌てて受け止める善逸。
食事はもう炭治郎と摂ったのだが、おにぎり一つくらい入らないことはない。

──もう…降りてきてくださいよっ!俺は登れませんっ!
と言いつつそれをかじると、宇髄は
──仕方ねえなぁ
と笑って降りてきた。


──んで?何かご命令でも?

そうして降りてくるなり胸に片手を当てて恭しく礼をする宇髄にいや~な顔をする錆兎。
きょとんとする善逸。

──お前…わかっててやってるだろ。やめろ、そういうの。俺はもういちジャスティスだ。
──…あんまわかりたくねえけど…ま、いいや。でも何か用なんだろ?

二人の間に漂う微妙な空気に一人蚊帳の外な善逸は少し困ってしまう。
それに視線だけで詫びながら、錆兎は宇髄に言った。

「義勇の方は…まあ俺や真菰が介入できない時は蜜璃がついてて色々教えてやるみたいだからな。
お前は善逸で。
同じ遠隔だし細やかな奴だから」

と、そこで善逸は初めてなるほど、と思った。
そのために今自分は連れて来られたのか…と納得していると、なんだかお見通しのようで
──おいおい、こいつにそれ言わずに連れて来てんだろ。今納得しましたってツラしてんぞ。
と笑う。

そこで錆兎は
──あ~…言ってなかったな。悪い、善逸。そういうことだ。
と今初めて気づいたように目を瞠った。

──ううん、大丈夫。錆兎ってたまに色々抜けるよね
と善逸も笑う。

そう、ジャスティス一の忙しさを誇る彼はしばしば些末な確認を忘れることがある。
まあいつも笑顔で抜けがない真菰に比べると、そんな少し抜けたところがあるのもご愛敬と言ったところだ。

「こいつはお館様で方針は決めるが些末なことは下のモンがやるからな。
まあお育ちってやつだ」
と、なんだか嬉しそうに補足する宇髄。

それに錆兎がまたいや~な顔をして見せた時、突然館内放送が流れた。

「現在待機中のジャスティスは至急ブレイン本部まで急行してください」
その言葉に笑顔が引っ込む宇髄と善逸。

互いに手にしたままのおにぎりを口に頬張ると、ハムスターのような顔になった二人にあきれ顔の錆兎と共にブレイン本部に向かった。









2 件のコメント :

  1. お久しぶりの誤字?報告です^^;「目を見張った。」→瞠った。「フリーダム本部に」→ブレイン本部に ご確認お願い致します_(_^_)_

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    1. ご指摘ありがとうございます。
      修正しました😊

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