青い大地の果てにあるものsbg_第46章_お姉ちゃんと一緒

「おい…あれ見ろよ!あれ!」
「蜜璃ちゃんと…もう一人は?すっごい可愛い子じゃん」
「蜜璃ちゃんも今日はなんだか可愛いなぁ…二人揃うと10倍可愛い!」

二人が例によって手をつないで食堂に入っていくと、その場に一斉にざわめきが広がる。

いままでブルースター本部ではその明るい性格から慕われてはいたものの、”可愛い”の称号はたいてい一緒に居る真菰やしのぶといった小柄な少女達にのみ向けられていたのもあって、蜜璃はその反応に少しびっくりしてしまった。

そしてわたわたと慌てながら赤くなっている蜜璃に、隣の義勇は
──蜜璃は可愛いよ?D-shopの服も似合ってるし
とにこりと言う。

──え?え?そうかしらっ?だったら嬉しいわっ。ずっと自分で着てみたかったから…
と、少しはにかんだ様に…それでも嬉しそうな笑みを浮かべる蜜璃に、おお~!とさらに周りの男性陣の可愛いの声が飛んだ。

義勇の方はと言うと、今まで極東で過ごしてきた時には女性が若干多めのブレインとの関係は宜しかったものの、男性中心のフリーダムとの関係が最悪だったため、蜜璃に関しての賞賛の声は素直にうなずくものの、自分に対して向けられる男性陣の注目の視線に対しては警戒心マックスである。

慣れた手つきでトレーを取り、義勇にもトレーを渡してくれる蜜璃から離れないように、必死に色違いのワンピースを着るその友人にぴったりと寄り添った。


「マグロのカルパッチョとパンプキンスープとフランスパンとシーフードサラダと…カルボナーラとポロネーゼ、マルゲリータピザとグラタン、あとカプチーノとプリンとティラミスお願い♪」
次々注文していく蜜璃のトレイに乗った料理の量に義勇は目を丸くする。
自分と大して上背も変わらない蜜璃のどこにこんな量が入るのだろうか…。
ちなみに義勇のトレイにはトマトサラダとハーフサイズのエビドリアとミルクティのみだ。
蜜璃の方はと言えば逆に義勇のトレイを覗き込んで
「義勇君…それだけしか食べないの??足りる??」
と、驚きの声をあげる。

「うん。美味しそうだけど食べきれないから」
義勇がそれに蜜璃のトレイに目を向けると
「ああ、それなら…」
と、すっと空の取り皿を数枚自分のトレイに乗せ、
「わたしの少しずつ味見する?」
と言ってくれるあたりが、彼女は本当に”お姉ちゃん”だと改めて思った。

今まで何かと世話を焼いてくれた姉や極東ブレインの女性陣と離れて本部に来て、一緒に来た宇髄も色々思うところがあるのか単独行動が多く独りでどうなることかと思ったが、本部で接することの多い面々は圧倒的な長子率、長子気質でホッとした。

そんな風に思っている間にも蜜璃は食堂を軽く見渡して
「窓際いきましょうっ」
と、テラスに出るガラス戸の側に空席を見つけて足を向ける。
義勇も当然のようにそれに続いて窓際の席にストンと座る蜜璃の隣にトレイを置いた。

すると…

「…おいっ…」
「…行ってみるか?」
「早い者勝ちだよなっ!」
蜜璃の横に義勇も腰を下ろした瞬間、食堂のあちこちで一斉に男達が立ち上がって窓際に向かってダッシュする。









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