青い大地の果てにあるものsbg_第44章_無事和解

──最初のだけは大前提がアレだからおいておいて…その後は双方悪いよ

揉め事になる膿は全部出してしまおうと真菰ちゃんの話は続く。

「さねみん、ちょっと情報吹っ飛びすぎ。
今回極東から来た二人は両方男の子だって情報は当然入ってるよね?
でもって蜜璃ちゃんと二人で敵さん倒して来ての報告なんだから、見覚えがないジャスティスなら当然極東の子って判断すべき。
ぜんっぜん悪気なくて労わったつもりだったんだろうけど、実戦部隊ではあるものの諜報も司ってるフリーダムの頭でもあるさねみんが見た目くらいで惑わされてたらヤバいよ?
勤務時間中は常に冷静にフリーダムの頭としての自覚持ってね?
ジャスティスに何かあった場合、直接フォローに入ってくれるのはブレインよりもフリーダムなんだし、頼りにしてるんだからさ」

「お、おう。わりい…」

いきなりのさねみん呼びに青ざめたブレイン部員一同だが、彼は意外に細かいことは全く気にしない男らしい。
自分的に注意不足だったと思えば素直に謝るあたりが錆兎の親友らしく潔いと皆が感心した。

「ってことでさねみんの方に対する注意はあとは一フリーダム部員じゃなく本部長になったんだから熱くなりすぎて判断を誤らないようにねってくらい?
で、次は義勇ちゃんだ」

不死川が忠告を受け入れる態度を示すと、真菰は今度は義勇を振り返った。

「極東ではどうだったかお姉さんも大方聞いてるんだけどね、その関係を本部に持ち込まないようにね?
逆にフリーダムの方からそういう態度をされたと思ったらいったん引いて真菰ちゃんか錆兎に言うっ!
そうしたらわざとかどうか判断して、わざとだったら真菰ちゃんパンチしに行くから。
本部ではね、ジャスティスも多いし、苦情その他はいわゆる古参組って言われてる真菰ちゃんと錆兎にあげてもらえばちゃんと処理するし守るから、個人で戦おうとしないでね?
みんなには良い状態で戦いに臨んで欲しいし、もう一つにはね、古参組は古参って言うだけあって本部の生活も長ければ他の部の職員との関係も長いから、ある程度色々わかっているのもあって、良い方向に解決しやすいのね。
今回は言ってなかったから仕方ないんだけど、お嬢ちゃんって頭撫でられた時にね、そこで色々思うところがあっても黙って引いておいて真菰ちゃんに報告してもらえれば、真菰ちゃんはさねみんがたくさんの弟妹がいるお兄ちゃんとして育っているから、どことなく末っ子オーラが出ている義勇ちゃんがまだ慣れてない本部周辺で頑張って敵を倒して来たから、大変だったな、偉かったなって褒めてあげたかっただけって教えてあげられたしね」

と、そこまで言った時に義勇は
──え?…そうだったのか…
と目を丸くした。

そして
──…意地悪言われてるんだと思ったんだ…。ひどい言い方してごめんなさい
と、こちらもかなり素直なお子様らしく困ったような顔で不死川に頭をさげる。

そんな風にされるとこちらもお兄ちゃんな不死川が引きずることができるわけがない。

「いや、そもそもが極東が両方男だったこと忘れてた俺が悪かった。
それに…一人前のジャスティスなんだからガキ扱いはむかつくよなァ。ごめんなァ」
と同じく頭を下げたが、義勇はぶんぶんと思い切り首を横に振って言った。

「別に甘やかしてくれるなら子ども扱いは全然構わない。
優しくされるのは好きだから」
「ああ、そうかよォ」

いつもながら、拳で物を言わせると宣言しつつ上手にまとめる真菰の手腕に、一同ホッと力を抜く。

──じゃ、そういうことで…
と落ち着いたところで帰りかけた不死川はそこでようやく思い出したようで

──あ~これ、甘露寺のサイン抜けてんぞォ。サインは参加者全員なァ
と蜜璃に書類を差し出した。

そこで蜜璃はあっ!と気が付く。

──ごめんなさいっ!普段はしのぶちゃんとか真菰さんとか一緒した人が書いてくれてるから…
と、慌ててサイン。

不死川はそれを確認後、
──いつも誰かと一緒とは限らねえから書類にも慣れとけよォ
と、受け取った書類をヒラヒラさせながらフリーダムのフロアへと戻っていった。










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