──うわぁぁ~可愛いっ!
ドアを開けて中に入るとそこはレースとリボンとフリルの世界である。
と、義勇がヘッドドレスとセットになった青地に白いリボンのついたワンピースを手に取って自分にあてて蜜璃を振り返った。
「どうかな?」
「うん!すっごく可愛いわっ」
蜜璃はウンウンと頷く。
意外なことに蜜璃が身構えていたほどには店内で蜜璃達を奇異な目で見る人間はいなかった。
むしろ店で同じく服を物色していた中学生くらいの女の子の二人組が
「お姉さん、もしかしてここの服に合うように髪まで染めてるんですか?
すっごいオシャレっ!
あたしも染めようかなぁ」
などと話しかけてきてくれた。
ああ、そう言われれば、色とりどりの可愛らしい服にはカラフルな蜜璃の髪も似合うかもしれない。
そんな会話をしているのを耳に挟んだのか、義勇が
「蜜璃これっ!蜜璃色っ!
お揃いで着る?」
と、さきほどのワンピースの明るいピンクの色違いを見つけてくる。
「うあ~!似合うっ!超可愛いっ!!
てか、お姉さん、弟?彼氏?
いいねっ!一緒に着るんだっ!
二人とも美人さんだもんねっ、絶対に似合うよっ!
おそろで着るって超あがるっ!!」
と少女達がきゃらきゃらはしゃいだ。
蜜璃の髪にも少年の義勇にも全く引く様子もなく好意的な言葉をくれる。
そんな彼女たちの様子に蜜璃は今まで身構えていた自分はなんだったのかと肩の力がぬけてしまった。
その後はその二人にも意見をもらいながらジャスティスの高給に物を言わせて爆買いをして、そのうち最初に選んだワンピースとヘッドドレスを義勇と二人でお揃いで着て、色違いでお揃いのやっぱりレースのついたニーソックスと手袋を購入してそれも身に着けた。
着てきた服は包んでもらって持って帰ることにする。
買い物のあとは付き合ってもらったお礼にと隣のティールームで二人にお茶をご馳走して、その時になんと少女二人と思っていたうちの一人は少年と判明。
義勇の他にもD-shopの服を着ようなんて男の子が居ることに驚いてしまった。
──うちら中学の同級生なんだけどね
と屈託ない様子で語る二人。
「今度さ、女子の制服もスラックスとか導入されるらしいんだけど笑っちゃうのがさ、スカートも選べる女子はタイトなタイプとゆったりタイプの2種類のスラックスできるらしいんだけど、男子のスラックスは1種類だけなんよ。ひどくね?」
「そそ。女子はスカート色違い2種類にスラックス2種類で男子はスラックス1種類って、なにそれどこの女尊男卑だよって。
女子にスラックス導入すんなら男にもスカート履かせろってんだよねっ。
いいじゃん。俺絶対にそのあたりの女子より足綺麗だし、可愛いスカート似合うって」
「だよね~!
スカート履くなんて女々しい奴なんて誰が決めたよっ。
今どきパンツ履いたらガサツな女なんて言わねえべ。
なのになんで男のスカートはダメなん?」
「正直、俺バトルったら学年5指に入ると思うし、体育祭では圧倒的な速さのアンカーでヒーローなんだけど?
でもスカート履きたいんだけど?
スカートいいじゃん。似合うもん着たいじゃん」
「だよなっ」
「っつ~ことでさ、制服ダメなら私服なら文句言わせねえってことで、買いに来たっ!」
と、そこでドヤヤっと胸を張る少年は正直可愛い。
というか、彼らと話をしていると、これまで可愛いものは自分は着られないと悩んでいた自分が馬鹿みたいに思えた。
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