残った面々がそんな話をしている頃…義勇と蜜璃は蜜璃が運転する車で街に向かうべく第八区に向かっていた。
人見知りの強い義勇だが、大家族の長子でお姉ちゃんオーラ満載の蜜璃には緊張しないようである。
蜜璃の方もどこか末っ子オーラが滲み出る義勇に楽しそうに話しかけていた。
まだ基地内に不慣れで迷いがちな義勇の手を取ってつないだ手を楽しげに揺らしながら蜜璃は駐車場に誘導し、車のドアを開けて義勇を中にうながした。
「じゃ、とりあえず街につくまで他のみんなの事でも教えておくわね？」
義勇が乗ると蜜璃は静かに車を発進させる。
車は二人を乗せて鬼殺隊本部を出て一路街に向かった。
「女の子から…。
まずはお花の髪飾りつけた方が真菰さん。
さっきも義勇君に頼ってねって言ってたけど、義勇君だけじゃなくて皆の頼りになるお姉ちゃんなの。
ジャスティスとしても最古参の一人だし、ブレイン本部長のカナエさんだけじゃなくて、もう一人の最古参の錆兎さんや医療本部長の村田さん、他にもたくさんの人と仲良くて人脈もすごいから、何かあれば彼女に言えばたいていはなんとかしてもらえるわ。
見た目はあんなにちいちゃくて可愛いのに武器がすごく大きな大剣でね、それを軽々振りまわしてガンガン敵を倒す様子はめちゃくちゃカッコいいのよっ。
で、もう一人の女の子はしのぶちゃんね。
彼女もちいちゃくて可愛いんだけど、お姉さんが研究集団のブレインの本部長だけあって、しのぶちゃんもすっごくしっかり者で頭が良いのよ？
ジュエルはブーツでキックメインなんだけど、本部の男性陣の中にはしのぶちゃんにブーツで踏まれたいとか言う人も少なくないの。
古参組のことはどちらも敬ってるけど、特に錆兎さんのことは錆兎兄さんって呼んでて本当のお兄さんみたいに慕ってるみたい。
これであとは私でジャスティスは女3人。
男性陣は…まずは絶対に錆兎さんね。
真菰さんと共に古参組でみんなの頼れるお兄さんなの。
真菰さんがブレイン本部長なら錆兎さんはフリーダム本部長の不死川さんと仲良しよ。
戦闘では一応近接アタッカーなんだけどオールラウンダーで、状況によっては盾役もこなすし、アタッカーとしても超一流。
だからちょっと難しい戦闘とかだと真っ先に駆り出される忙しい人なの。
あとは…たぶん本部の数少ない女性陣の半数くらいは彼に片思いしてるんじゃないかしらと思うくらいには女性に人気で、でも情に厚い性格だから男性からも好かれているから、真菰さんには本部一の人たらしとか言われてるわ。
真菰さんもなんだけど、最古参の二人組はどちらもすごく有能で忙しい人だけど、みんなに優しくて気づかってくれる素敵な人達よ？
私もお姉さんお兄さんだと思って頼りにしているの。
あとは…ジャスティス唯一の専属盾役の竈門炭治郎君ね。
彼は私と同じ大兄弟の長子らしいわ。
すっごく真面目で頑張り屋さん。
あとは…長子らしく庇護欲が強い人…かな？
戦闘では主に強いけど撃たれ弱い遠距離アタッカーの善逸君を背に守って戦う感じね。
最後の一人は我妻善逸君。
とってもとっても細やかで優しい人。
わたしね、女子の中で唯一大きいし大食いだし色々からかわれたりするんだけど、そんな時いつも気遣ってかばってくれるの。
遠距離アタッカーで撃たれ弱いせいか少し怖がり屋さんなところはあるけど、本当に鬼殺隊の中で一番わたしを女の子として扱ってくれる良い人なのよ？
あとは…今の本部のジャスティスの中で唯一、最初からジュエルに選ばれてジャスティスをやっているんじゃなくて、元フリーダム部員だったの。
だからかしら、顔がとっても広い人のよ？」
蜜璃の人物紹介は優しく柔らかい感じがする。
全員のことをとても好きなんだなとわかる気がした。
極東支部だと人間関係がわりあいとギスギスしていたので、そんな本部の雰囲気にホッとする。
なにより蜜璃自身がとてもふんわりとした雰囲気で話しやすい。
だから人見知りが強く話すのがあまり得意じゃない義勇も自分や宇髄のことを話して知ってもらいたいと言う気分になったのだが、あいにく義勇が
「じゃあ今度は俺が俺と宇髄のことを…」
と口を開いた時にちょうど街についてしまった。
それに少し残念に思って肩を落とす義勇だが、蜜璃はあらあら…とよく蔦子姉さんがそうしてくれたように義勇の頭を撫でながら、
「D-shopの本店の中には可愛い喫茶室があるの。
お店をみたあとにそこでお茶をしましょう？
その時に義勇君の話もきかせてね？」
と言ってくれた。
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