青い大地の果てにあるものsbg_第34章_全員集合

──あ~、錆兎来てたんだ。義勇君も。無事全員顔合わせ終わった感じ?
錆兎と義勇が席に着いたところで蜜璃を伴った真菰が皆より少し遅れて食堂入りした。

──ああ。あとは義勇と蜜璃とお前が顔合わせれば全員て感じか。
と錆兎はちらりと義勇に視線を向けたあと、真菰を見上げる。

それににこりと笑顔で応えると、真菰は
──というわけで…本部古参組の一人の真菰ね。よろしく義勇君。
といったん食事のトレイをテーブルに置くと、人懐っこい様子で握手の手を差し出した。

それにおずおずと手を伸ばす義勇に真菰は
「ここのブレイン本部長は私の友達でね、さらに君のお姉ちゃんの友達だから、私と君のおねえちゃんは友達の友達なんだよ。
だからなんでも気軽に頼ってね」
と驚くべき事実を明かす。

──蔦子姉さんのっ?!
と、とたんに義勇も元気になって身を乗り出した。

真菰はうんうんと笑顔で頷くと、私についてはそんな感じね、と言ったあと、今度は隣の蜜璃にチラリと視線を移す。

「で、私の隣が蜜璃ちゃんっ。
近接アタッカーのジャスティスで、彼女も長女で面倒見のいい子だから、何かあったら気軽に頼って良いからねっ」
とにこやかに言った。

ヒーラーであまり攻撃らしい攻撃をしないせいか16歳という年齢の割にはまだ体が出来ていなくて小柄で幼い印象を受ける義勇に大兄弟の長女である蜜璃はやはりお姉ちゃん魂を刺激される。

「よろしくね、義勇君」
と少し身をかがめて笑顔で言えば、まんまるな青い目で見上げてくるのが愛らしいと感じた。

真菰が姉の蔦子の友人の友人であるとか、隣に錆兎がいるからとか、色々安心材料があるせいか、不安げな様子はみせないものの、じぃぃ~~っと凝視されているようでさすがに少しきまずくてどうしよう?と蜜璃が思い始めた時、義勇が初めて笑顔を見せた。

え??と不思議に思った瞬間、彼が嬉しそうに言う。

──その髪留め…D-shopの??

いきなりの言葉に蜜璃以外は意味がわからず首をかしげるが、蜜璃はそれに頷いて、しかし
「そう。すごく可愛くて大好きなの。
家族で住んでた頃は妹に着てもらってたんだけどね。
私ほら、大きくて似合わないから…。
でも髪留めくらいだったら目立たないから良いかなって…」
と、少し困ったように笑った。

それを聞いてしのぶと真菰はそれを否定しようと口を開きかけるが、それより早く義勇が身を乗り出して
──そんなことないっ!!
と叫ぶ。

普段は大人しくて声も小さな義勇のその勢いに、彼をよく知る錆兎と宇髄の二人が目を丸くした。

「俺は蔦子姉さんのお供でD-shopにはよく通ってたし、なんなら姉さんに言われて着てたりもしたけど…俺もD-shopの服が好きだし誰が何と言おうと好きな服を着れば良いと思ってるっ。
別に誰かのためじゃなく自分のための服なんだから、自分が着たいと思う服が自分に一番似合う服だよっ!
…似合う似合わないで言えば俺より蜜璃の方がまだ似合ってると思うけど…」

拳を握り締めてそう力説する義勇に異性にはしばしば辛辣なしのぶが
「…真理ですね。
ちょっと湿っぽすぎるところのあるお子さんだと思ってましたが見直しました」
とパチパチと拍手をする。

それに
「うん。そうだよね。
美的感覚なんて人それぞれでこれが正しいっていうものがあるわけじゃないんだから着たい服を着るのが一番だよね」
と真菰が続き、

「でも蜜璃ちゃん、髪とかふわふわだし目がおっきくて可愛いし、D-shopの服を着てもすごく似合って可愛いと思うよ」
と、善逸がさらに続いて拍手。

そこでその手のことに疎い錆兎が
「話の腰を折って済まないがD-shopって?服のブランドか?」
と片手をあげて問う。

それに義勇が
「うん!フリルとかレースとかリボンとかをふんだんに使った可愛い系の服がウリの蔦子姉さんが大好きなブランドっ。
極東には店舗がないからオンラインで取り寄せてたけど、こっちには大きなブティックがあるんだっ」
と目を輝かせて言った。

そこで真菰が
「今本部には8人のジャスティスが集合しているし、イヴィルが出ても余裕で対応できるから、なんなら二人で買い物に行って来たらどう?」
と提案する。

「あ、いいねっ!
義勇君も錆兎以外とも交友深めた方が良いよね」
とそれに善逸が賛同の意を表すると、炭治郎が
「じゃ、俺、護衛兼荷物持ちに行きますっ!!」
とピシっと手を挙げるも
「だ~めっ!
どう見てもD-shopの服着るわけでもない炭治郎が店に居ると他の客の邪魔」
と、容赦ない真菰の返しに撃沈した。

それに生温かい笑みを浮かべる一同。

一方で
「えっと…じゃあ良ければ俺は宇髄さんに基地の案内をするっていうことで?」
と苦笑しつつもソロソロと手を挙げて言う善逸には
「あ~、うん!さすが善逸君。気が利くねっ」
と真菰は笑顔で了承した。









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