朝…食堂に行くと好意と敵意、両極端な視線が向けられる中、どちらもさして気にせずに宇髄は朝食を摂っていた。
と声をかけると、もぐもぐと飯を咀嚼中だったがそれでも片手を挙げて応えてくれることにホッとして、善逸はその隣に陣取る。
それを少し不思議そうな目で見てくる宇髄。
──ごめん。隣ダメだった?誰か来る?
とそこで善逸が空気を読んで聞いてみると、宇髄は、んにゃ…と首を横に振った。
──ただ…物好きな奴だと思っただけだ。
──へ??
──ヘタレのくせになんでわざわざ揉め事になることすんだよ。
──へ??
──俺と居るとフリーダムの奴らがうるせえだろうが。
──ああ~~~!!!!
そこでようやく合点がいったというように善逸は手を打った。
──もしかして宇随さん、俺のこと心配してくれたんだ。ありがとねぇぇ。
──ちっげえよっ!お前頭大丈夫かっ?!なんでそうなるっ!!
それまで淡々としていた宇髄の表情がニコニコと言う善逸を前にどこか焦ったようになる。
そして遠巻きに宇髄を見ていた極東のフリーダムの面々がそんな滅多にみられない宇髄の顔に驚いた視線を向けた。
「ああ、うん…確かに極東では周りが怖かったよねぇ…。
俺、宇髄さんと話したあといきなり極東のフリーダムの人に怖い顔で注意されたし。
でも本部ではね、ブレインのカナエさんと、ジャスティスの古参コンビの錆兎と真菰ちゃんがむちゃくちゃ強いから、俺がよほどのことしても守ってもらえるから。
宇髄さんもジャスティス仲間だからね。
もう嫌がらせされたりすることはないと思うよ?」
と、そんな宇髄、極東フリーダムどちらの様子も気にすることなく、善逸はにこにこと言う。
その言葉に宇髄は少し考え込むように俯いて、そして顔を上げてどこか探るように聞いた。
──…錆兎は…どんな感じの奴だ?ボス…みてえな感じか?
やや緊張気味な宇髄に対して善逸はのんびりとした様子でうんうんと頷く。
「そうそう。
すごく強くて頼りになる奴。
なんのかんので面倒見も良いし。
実質ジャスティスのリーダーだね」
「…そっか……」
何故か自分の言葉に少し嬉しそうな表情をする宇髄を善逸は不思議に思うが、その時、
──善逸さん、そちらが極東からいらしたジャスティスです?
と、小柄な美少女が声をかけてきたことで、聞く機会を逃してしまった。
が、とりあえず今は真菰もカナエも居ないので新しい仲間の紹介が優先である。
──うん、そう。宇髄さんね。二人いるうちの遠距離魔法アタッカーの方。
としのぶの方に向き直って言うと、しのぶは
──そうなんですね。近距離アタッカーの胡蝶しのぶです。よろしくお願いします。
と宇髄にむけて言うとニコリと綺麗な笑みを浮かべた。
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