青い大地の果てにあるものsbg_第25章_真菰姉さん登場

──ま、真菰さん、良かったぁ…

思わず漏れる安堵の言葉に真菰は
──戻るの遅れてごめんね。
と苦笑交じりに謝罪する。

そして
──二人とも罰として5分そのままっ!
とピシッと言い放つと、
──とりあえず説明ね。
と蜜璃の方に向き直った。


「カナエちゃんからね、こういうことが起きるだろうからって対応を頼まれてたんだ。
で、あたしと錆兎だけで良いかなって思ってたんだけど、巻き込まれてわけわかんなかったら蜜璃ちゃんだって気持ち悪いだろうからね。
情報共有する。
極東支部は昔は近接アタッカーも居たんだけど、今は遠距離の魔法アタッカーの天元君とヒーラーの義勇ちゃんの二人だけなのね。
で、物理の遠距離アタッカーの善逸君と違って魔法だとタメが必要なのよ。
だからその時間稼ぎをフリーダムがするしかないんだけど、範囲の魔法だから逃げてる暇がないの。
…ということで毎回足止め役のフリーダムは魔法の巻き込まれで死ぬしかないって感じだったわけ。
…そのへんの事情は元フリーダムであっちこっち飛ばされてた善逸君は知ってたんだよね?」
と、そこで善逸に話を向けると、善逸はコクコクと頷く。
それを確認後、真菰はまた蜜璃に視線を戻して続けた。

「でね、その犠牲になったフリーダムの中に不死川君の弟君もいたの。
だからこんな感じに揉めるんじゃないかなと思ってたんだけど…」
と、そこまで話すと真菰は今度は床に座り込んでいる男二人に視線を落とす。

「今回は不死川君が悪いよ。
弟君の死にかたに納得できなくて文句言うなら相手は命令に従った天元君じゃなくて極東支部の責任者達か当時の本部の責任者!
方針決めたのはそのあたりだし、権限がある人間が責任も負うのは当たり前っ!
逆に権限ない人間に責任おっかぶせるのは違うでしょっ。
現場の人間はそれこそ天元君自身だって死ぬような命令を下されても拒否権ないんだからね。
天元君に怒りをぶつけるのはただの八つ当たりだよっ!
こちとらそれでなくても数少ないジャスティスで連携して戦うんだから、無駄に疲弊させるのはやめてくれる?
どうしても八つ当たりたいなら、相手を見てよく知ってて影響されないってわかってるあたりにしといて。
…錆兎とか、錆兎とか、錆兎とか…」

びしばしと容赦なく続く真菰の言葉にどこかやりきれないような硬い表情でうつむいていた不死川だが、最後の言葉にプっと噴き出す。

──錆兎ならいいのかよォ
──いいんじゃない?君たちちょっと八つ当たりされたくらいで壊れるような仲じゃないでしょ
と、そんな真菰の返しに不死川の表情が少し穏やかになった。

言わなければならない正論は容赦なく伝えてその上で深刻になり過ぎる空気をそうやって散らして終えるあたりが真菰は上手いと蜜璃と善逸は二人で顔を見合わせてうんうんと頷く。

そうして不死川に対して言わなければならないことは言い終えたので、真菰は最後に
「これで不死川君はOK。
てかね、さっき錆兎からメッセ来てたんだけど、極東のブレイン支部長の砂田ってオジサン、ちょっと危ないセクハラ野郎らしいから、被害が出ないようにフリーダムの方で警戒させておいてよ」
と依頼した。

本人的にも少しばかり気まずかったらしい。
そうやって仕事の依頼が来たことにホッとしたように、
「おお!トンでもねえ奴だなっ!この会場内はフリーダムでいくつかチーム作って警護に当たらせてるが、その範囲を会場外にも広げとくわっ」
と請け負って立ち上がる。

「うん、お願いね」
と、ヒラヒラと手を振る真菰に軽く手を挙げて応えると不死川は駆け出していった。










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