青い大地の果てにあるものsbg_第12章_全てから逃げるべし!

最悪なことに二人が本部に移動になる際に同行して送ってくるのはブレイン極東支部長の砂田になった。

まあ…彼は天元のことがとても苦手なので、天元の傍に居ればいいわけなのだが、天元は天元で妙に機嫌よく本部に来たと思えば、部屋に落ち着くなり

「ちっと野暮用があるから、今晩の歓送迎会はソロ活動なっ!」
などと言うではないか。

待ってくれ!ちょっと待ってっ!!
と、義勇は異議を唱えようとしたのだが、おそらくそれを察知したのであろう天元に早々に部屋から追い出されてしまった。
なので義勇は仕方なくいったんは自分の部屋へ。


まあ…砂田も支部での仕事もあるので明日には帰る予定らしいし、今晩の歓送迎会を乗り切ればもう大丈夫だと思うのだが、今までずいぶんと追い回されたので今日いっぱいのつきあいだということを考えれば大人しくしていてくれる気がしない。

そして…砂田が苦手意識を持っていて一緒に居れば避けてくれる天元も、過度にまとわりつかれた時にかばってくれる姉やブレインのお姉さん達もいないのだ。

どう乗り越えよう…と、義勇は途方にくれてしまう。


とりあえず…砂田は歓送迎会の最初に極東支部を代表して極東支部ブレイン支部長として挨拶をするらしいから、その隙に会場を抜け出して逃げ回るしかないか…。

そんなことを考えつつ義勇はフォーマルな場に出る時のためにと姉が用意してくれたという礼服の入った箱を開けて…そして頭を抱えた。

肩口からウェストにかけてはかっちりとしていて、しかし腰のあたりからは裾広がりの儀礼服。
両肩には大き目の飾りがついていて、軍服を華やかにしたようなそのデザインは確かにパーティーに身に着けてもおかしくはない。

そう…デザインは全く問題はない。
問題なのは色だ。

淡いピンク色…。
何故この色を選んだ?

正直義勇も可愛いものは大好きでピンクも嫌いではないし、それどころか幼い頃から姉の趣味で姉のおさがりの服を着せられたりすることすらあった。

だが、全く知り合いの居ない全員が初対面の本部の公式の場でいきなりもう16にもなる男がこんな可愛らしい色の服を身に着けたら、引かれるんじゃないだろうか…と、普段はあまり周りを気にしない義勇でもさすがに思う。

だが今から他の服を用意する時間はない。
これを着るしかない。

うん、逃げよう、即逃げよう。
砂田からも本部の人間たちの目からも即逃げよう。
歓送迎会が始まったら即バルコニーに直行で、そこから庭に出て隠れて居よう。

義勇はこの時点でそう決意した。


そして夜…逃げる気満々で乗り込んだ歓送迎会会場で義勇はまた想定外の事に頭を抱えることになる。

そう…予想に反して会場は即庭に出られる1階ではなく2階で、バルコニーに出ても庭に逃げるにはかなりの高さから降りなければならないという事実に……








0 件のコメント :

コメントを投稿