人魚島殺人事件_36_プチ飲み会のあとに…

「結局さ、恋愛ってどこまで相手を許容できるかだと思うんだよね」
と、語る高田。

夜中のリビング。
なんとなく手持ち無沙汰組が集まってワインやジュースを飲みながらの雑談中。
未成年なので酒は飲めないものの、炭治郎や善逸もそこに加わっている。

「う~ん、俺はちょっと違うかな。
許容できるから恋愛できるじゃなくて、愛してたら気に障る事でも愛しくなっちゃうんですよね」
と、善逸も恋愛観を語る。

「俺は…逆にある程度きちんとしてない相手は対象範囲外かな…。
相手に対してもきちんと恥ずかしくない人間でありたいし、相手もそうあって欲しい。
自分にとって尊敬できる人間であることが、まずそういう対象に見る最低限だな」
松坂は几帳面な彼らしい恋愛観を語った。

「なんか…男性陣みんな堅くない?
恋愛なんて、条件とかで始まるんじゃなくて、落ちるものっていうか…なんとなく始まる気がすんのは私だけ?」
3人それぞれの恋愛観に綾瀬が苦笑する。

「あ~、それはそうなんですけどね。俺も感情先行型です」

と、それに善逸が同意すれば、今度は別所が

「あー、感情先行は同意なんだけど、なんとなくなんて始まりじゃない気がするっ。
いきなりぱーっと視界がひらけるっていうか…運命の相手との出会いっていうのは、もっとドラマチックなものじゃね?」
と、実に超感情型の彼らしい主張をし、

「あー、確かにね。非日常だと心開きやすいってあるよね。」
と、それにも高田は同意する。

しかし松坂はそこで
「吊り橋効果で都合よく勘違いしてるだけって事もあるけどな」
と、シニカルな笑みを浮かべた。


「その他、夏の海とかだとなんとなくそんな気分になって、でも街に帰ったらがっかりとかな」
と、高田はそちらに同意して笑う。


「そう言えば…海といえば、この別荘ってこんなに海近くてプライベートビーチまであるのに、海と逆側にはプールもあるんだな」

そう言う松坂の言葉に、体を動かすことが大好きな別所が目を輝かせた。

「cooool!!それはいいよなっ!
ね、みんなでこのままスイミングってどうだ?」

「おいおいおいおい…勘弁してくれよ、別所。
今何時だと思ってるんだよ」

友人だけあって別所のこんな脳筋発言にも慣れているのだろう。
成田は呆れたように肩をすくめて拒否するが、別所はぷくりと頬を膨らませる。

「まだ10時じゃないかっ。全然ありな時間じゃないか?
海はさすがに危ないけどプールだぞ?」

「はいはいはい、もうお前は言い出すと聞かないからな。
俺は付き合ってやるけど、他には薦めんなよ?
特に大学生組は酒入ってるから、マジ洒落にならない」
なんだか我儘な弟をなだめるような口調でそう言って、成田は立ち上がった。

「高校生組はどうする?」
と、おそらくそのままプールサイドでパンツだけになって泳ぐつもりらしく、特に着替えを取りに行く様子もなく一応とばかりに唯一あと酒の入ってない炭治郎と善逸に聞いてくる別所だが、炭治郎が苦笑して、

「俺は妹の様子も見に行かないとなのでやめておきます」
と言ってちらりと二階に向かう階段の方へと視線を向けた。

「じゃ、私達はプールサイドに酒宴場所を移しますか」
そんなやりとりにクスクス笑いながら綾瀬が高田の分と2脚のワイングラスとワインのボトルを手に取ると、
「若者を肴に昔話でもしようかね」
と、高田も笑ってツマミの皿を手に立ち上がる。

と、その時、一足早くリビングを出た別所の悲鳴に、大学生組と炭治郎達は驚いて各自手にしたものをテーブルに戻して廊下へ飛び出した。



「どうしたんだっ?!!」
と、聞く高田に、大きく目を見開いたまま硬直していた別所が、震える指先でプールサイドへ出るガラスのドアを指さす。

そこで残りの3人がその指先を視線で追うと……

窓から見えるプールの水面に揺らぐ漆黒の髪。
顔は仮面に覆われていて見えない。
「錆兎っ!!人が死んでる!!」
炭治郎はほとんど条件反射で錆兎に電話をかけた。
善逸はその間に宇髄の携帯に電話をしている。
他の4名は一気に酔いが醒めた様子でただ青くなった。

そして…善逸はもう一度プールを凝視する。
女性としては長身で細身の身体…白い手足…そして……少し長めの漆黒の髪……
その特徴を持つのは、ここにいる中ではただ一人……

――…嘘…だよね…?……

善逸はへなへなと力なくその場にしゃがみこんだ。







2 件のコメント :

  1. 人物名の修正漏れ?かと思いますが「それにもフランシスは同意する。
    」「アルフレッドの悲鳴に」それぞれ成田、別所ですかね?ご確認ください(*- -)(*_ _)ペコリ

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    1. ご指摘ありがとうございます。
      修正しました😀

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