──義勇さん…大丈夫かな…
禰豆子が呼びに来て錆兎が部屋に戻ったあと、男3人プラス禰豆子が残った部屋で炭治郎がソワソワしながら言う。
という彼を空気が読めすぎる善逸は全力で止めた。
──ダメっ!行っちゃダメだってっ!ぜぇぇったい邪魔だからっ!!!
と言う善逸の考えていることは当の炭治郎以外はわかっている。
なので宇髄はにやにやと面白がり、禰豆子はそれを口にして良いものかどうか悩んで困ったような笑みを浮かべた。
そんな3人に構わず炭治郎は部屋を飛び出して錆兎と義勇の他のシングルルームよりも少し大きめのツインルームへ。
──義勇さん大丈夫ですか?俺に何か手伝えることがあったら言って下さい。
と、ドアを開ける。
そして固まったのは、うあぁあ~~!!!とそれを追いかけてきた善逸だ。
──ご、ごめんなさいっ!!!
と、叫んで顔を覆って駆け出していく。
きょとんとする残された3人。
そこにさらに禰豆子と共に二人を追ってきた宇髄が真っ赤な顔で駆け出す善逸を見送って、それから室内に目を向けた。
そして
──あ…なるほど…
と察して笑う。
中では義勇を着替えさせようとしつつも女性用の着物に悪戦苦闘中の錆兎と、脱がされるままになっている義勇。
錆兎は善逸が消えた方向に不思議そうな視線を向けていたが、宇髄に気づいてホッとしたようだ。
「宇髄、ちょうどよかった。
義勇を休ませるのに着替えさせてやりたいんだが、女性用の着物はよくわからなくて…」
と手伝うように依頼し、自分はどうしようかと立ちすくむ炭治郎には
「さきほど禰豆子達の上に短剣が降ってきたとかいうのもあったから、一応用心して一人にならない方が良いと思うから、善逸を探してきてもらえるか?」
と、こちらもやって欲しいことを依頼する。
「あ、はい、わかりましたっ。
善逸を捕まえたら戻ってきますね」
と、炭治郎もこちらを手伝いたそうではあったが着物関係となればできることもないし、善逸も心配なので了承して部屋を出て行った。
残る禰豆子は
「じゃあ私は襦袢とかたたみ皴がついたら困る物以外をしまっていきますね。
一応浴衣ならたためるんですけど、この着物すごく高級そうですし…」
と、絶妙な気遣いで申し出る。
確かにかなり高級品のようだし錆兎も扱うのは怖い。
だが宇髄は慣れているのだろう。
「あ~浴衣たためるなら同じでいいぜ?
どうせ今回で着潰すしな。
邪魔にならないようにしまえればいい」
などと恐ろしいことを言って、錆兎と禰豆子を青ざめさせた。
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