人魚島殺人事件_04_会長様とお姫さん

──宇髄…お前は馬鹿か?

こうして善逸と別れて寮に帰ると宇髄は当然のように会長様と生徒会のお姫さん枠に認定された会長様の大切なお姫さんの部屋を訪ねて丁重に別荘旅行へお誘いする。

もちろん、隠してもすぐばれるので理由は添えて。

それに当たり前にため息とともに降ってくる会長様のぞんざいなお言葉。
しかしそれは想定の範囲内だ。

その横で一緒に話を聞いていたお姫さんから絶対にとある言葉が返ってくると予測していたのだが、やっぱり返ってくる。

そう、
──そうだよっ。炭治郎達が困っているのに俺達が断るなんて思っていたのか?
と言う、会長様の意向と予測からはとんでもなくかけ離れたお姫さんのお言葉が……。


こういうのはなんだが、会長様は大変頭が宜しくて物理的事象を読み解いていったりするのは得意だし、なんなら現代に蘇ったシャーロックホームズか?くらいな勢いでこれまでも数々の殺人事件を華麗に解決などしていたが、ちょっと天然の入ったお姫さんの電波な思考──会長様に言わせると電波ではなくやんごとない思考らしいが──を読み取る能力には著しく欠けている。

そのあたりに関しては他人事な宇髄の方が察するのが上手い。

案の定、馬鹿な提案をして来るな!という意味で言った馬鹿と言う言葉を、真逆な方向に捉えられて目をぱちくりする会長様。

しかしそんな風に驚かれていることに全く気付いていない皆のお姫さんに
──そうだよね?俺達がそんなに冷たい人間だと思われていたなんて心外だっ。
などと言われれば、否と言えるはずもない。

──そうだな。友人の妹が困っているのを見捨てるわけにはいかないだろう。
とあっさり手の平を返した。

うん、チョロい。
チョロすぎるぞ、会長。

宇髄は内心そんな風に思ったのをおくびにも出さず、
「ま、一番の目的は嬢ちゃんの先輩のメンツを保つためだが、それを別にしても滞在は楽しめると思うぜ?」
と、島や別荘の写真を見せびらかす。

折しも夏だ。
緑あふれる綺麗な島。
綺麗に整えられたプライベートビーチの傍に建ったまるでホテルのような豪奢な洋館。
すぐそばに海があると言うのにプールまであるという贅沢っぷりだ。

──うわぁ…普通に高級リゾートみたいだ…
と目を輝かせるお姫さんに、会長様も完全に諦めたようだ。

──そうだな。とりあえずやるなら完封を目指すぞ。

と、圧倒的に相手よりも美しい女性に見えるようにして行こうと提案する。

──もちろん…その準備はお前がしろよ?
と、ふられることに関しては宇髄とて異論はない。
むしろその手の美容に関する諸々を考えるのは大好きだ。

──まかせろっ。とりあえず早急に用意するから今日からスキンケアな?
と宣言するとスマホを取り出して基礎化粧品の準備をするよう使用人に申し伝えた。








0 件のコメント :

コメントを投稿