人魚島殺人事件_01_始まりは竈門兄妹から

──お兄ちゃん、お願いぃぃ~!!!
──ダメだっ!!お前、この前迷惑かけた事、ぜんっぜん反省していないのかっ!!

ことの発端はまたまた竈門兄妹だった。

この日、兄妹は学校が終わってからとあるマックに居た。
相談したいことがある…と妹に言われて炭治郎がつきあっている。
そして妹から話を聞いて冒頭の言葉になった。

兄もまあまあ整った顔をしているが、それよりも妹が結構際立った美少女なので、その二人がポテトとジュースを挟んで座って声を荒げているとそこそこ目立つ。

何事だろう?と周りの視線を少し集めていることに気づいた兄はコホンと咳払いを一つ。

そして、
「とにかく…声のトーンを下げよう。
他のお客さんの迷惑だ」
と促した。

それについては厳しい両親の元で共に育った妹も異論はないらしい。

飽くまで譲ってくれない兄の態度に不満げに口を尖らせながらも
「…うん、それはそうよね」
と同意する。


しかしながらその話し合いでの互いの意見は平行線だ。

「なんでお前は自分の範囲で出来ないことを引き受けるんだっ。
前回もそれで錆兎に多大な迷惑をかけたよな?」
と、厳しい表情で非難する兄に、妹はウッと口ごもる。

あれは…確かに謝罪で済むレベルの迷惑ではなかった。
本来予定していたことだけなら兄の親しい友人なら許してもらえたかもしれないが、予想外に怪我をさせるは殺人事件まで発生するはでものすごい大騒ぎになったので、そんなことはないとは冗談にも言えない。

「…でも…あれは一生のうちで一度あるかないかのレアケースでしょ。
事件にまで発展するような経験、そうそうあるわけないじゃない」
「そういう問題じゃないっ。
自分の範囲で出来ないことを引き受けてくるなと言うことだっ。
兄ちゃんまでなら迷惑をかけてもいいが、家族以外は勝手に頭数に入れていいものじゃない!」
「でもっ……でも………もう言っちゃったし、聞いてみるだけでも…」
と項垂れる禰豆子。

「ダメだっ!
兄ちゃんが高3てことは、錆兎も同じ受験生だぞっ!」
「…でも…錆兎さん、付属だし…」
「上に行くとは限らないだろっ!
それに付属でも行きたい学部に行けるかどうかは成績順なはずだ!」

ピシっとシャットする兄に禰豆子は涙目である。


そして彼女はまた同じ手を使うことになる。
そう、兄と自分、両方の知り合いの伝手を…。

炭治郎もこの時にその可能性は十分あったのにも関わらず気づかなかったのは、やはり根が素直な性格なせいだろう。

そして帰宅後に電話。

──もしもし、善逸さん?私、禰豆子です。

これが全ての始まりだった。


目次へ  >>> Next




2 件のコメント :

  1. 清く正しい…の頃からちょっと気になってたんですが「シャット」だと閉める。閉鎖する。の意味合いなので、シャットアウトからシャットに表現を変えられた意味があるのかなと(;^ω^)

    返信削除
    返信
    1. え~っと…清く正しい…の方はどの部分かわかりませんが、今回の禰豆子の言い分について炭治郎が…という部分で言うなら、言い分を受け入れずに閉め出している…みたいな意味合いで使っています。
      表現を変えたと言うのはよくわかりませんが……??
      『シャットする』も『シャットアウト』もグーグルで調べると同じ意味のようです。
      なんだか頓珍漢な返答をしていたらごめんなさい💦

      削除