ともあれ、自分でやってみた村田からすれば錆兎まで妨害に入ったら少しばかり厳しくない?と思う訓練に最初に突入するのが女の子がたった一人というあたりで悩んでしまった。
そんなことを思って錆兎に少しばかり手加減を検討しないかと相談するも、
──鬼は女子一人だったからと言って加減はしてくれないぞ。
と、却下される。
それはそうなのだが、大丈夫なんだろうか…と、村田は翌日から柱稽古という前日、せめて少しでも心が休まるといいなと思って、夕飯にこっそりとウナギを買ってきて出してやった。
そうして始まった初の柱稽古体験。
村田は可哀そうであまり厳しくは出来なかったが錆兎は少女相手でも容赦がない。
罠にかかりそうになってなんとか避けたところに妨害を仕掛けたりして、カナヲは何度も吹っ飛んだ。
村田的には『ここまでやる?』と言ったところだが、カナヲは村田が思っていたよりも心身ともにタフだったらしい。
黙々とチャレンジを繰り返し、そして1週間後、驚くほどの成長ぶりを見せて課題をクリアした。
そうして次の無一郎の所の高速移動稽古に向かう前、普段はスン…と澄まして表情一つ変えない彼女が
「サラサラさん、稽古は厳しかったけど、その分埋め合わせみたいに食事とか色々気を使ってくれてビックリした。
カナエ姉さんが言ってた通りだった」
と、笑顔を見せてくれて、なんだかこちらがむしろビックリしてしまった。
こうしてほわほわっと最初の突破者を送り出したあと、数日後に炭治郎達第二陣が到着したのだが、同期だけにすでにカナヲの時のことが広まっていたらしい。
「ここに居るとウナギ食べられるんだよねっ?!
稽古辛いけどいいっ!
もう俺ここの子になるっ!!」
と、善逸がいきなり叫んだことで、錆兎にかえって稽古に身が入らなくなると叱られて、次からは普通の食事を出すことになった。
まあ…それを善逸があまりに嘆くので、課題を突破して次に行く前日にだけウナギを出すという形に変えたのだが…。
一緒にこの屋敷で暮らしていた炭治郎が居ないと禰豆子と二人で静かなものだったが、柱稽古が始まってみると慌ただしいが日々賑やかで、不謹慎だが楽しい日々が続くことになった。
しかしながら、その忙しさで村田はまた、救えたかもしれない命を指の間から零れ落としてしまってひどく後悔することになるのだが、それはまたもう少し先の話になる。
救えたかもしれない命って思いつかないです。
返信削除誰でしょう?
柱稽古の時期に亡くなる人です😀
削除84話の冒頭で明らかになっています🌻