錆兎達が宿に戻ったあと、『錆兎に残れと言われたから残るが早く錆兎の助勢に行きたい』と、義勇も参戦。
そうなると村田だけ観戦しているわけにも行かないので、仕方なく参戦。
そのまま即宿に向かってダッシュする義勇を村田も慌てて追った。
前方の宿は半壊していて、只今絶賛戦闘中らしく、なんだかものすごい土煙が上がっている。
各々言葉をかけあっている錆兎と伊黒と甘露寺の声。
とりあえず全員無事生きていることは確認できて村田はホッとしたが、義勇は錆兎が戦闘中と言うことで青ざめて全力疾走していた。
そこに向こうから錆兎の声。
「村田と義勇かっ?!
そっちに本体が行ったっ!
こちらで4体を抑えているから、本体を頼むっ!」
え?え?本体?!
本体って…とその言葉に村田は焦った。
そして義勇はそれを聞いてなお、
「嫌だっ!俺は錆兎の所に行くっ!!」
と駆け出して、しかしそこで何かを思い切り蹴とばして、しかも蹴とばされて転んだそれを思い切り踏みつけたようで、義勇の足元から
──ぐえぇえ~~!!!!
と哀れな悲鳴が上がった。
あ…もしかして……村田は義勇の足の下のそれを見て思い出す。
本体と言われて焦ってしまったが、そういえば前世の炭治郎から聞いたそれは、確かとても小さいということだった。
そこで村田は
「待ってっ!!義勇っ!!10秒でいいっ!!そのままで居てっ!!」
と、義勇を引き留め、義勇が不思議そうに振り向いた足元に向かって、
──水の呼吸、壱の型…水面斬りっ!!
と、自分にとって一番練度の高い水の呼吸の基本中の基本の技を繰り出す。
小さい割に思いのほか硬い感触。
だが義勇の足でしっかりと固定された小さなそれの首はなんとか落とすことが出来た。
体の大きさのわりにすさまじく大きな悲鳴。
それとは逆に本体が消えたことで分身たちも消えたらしく、急に静かになる前方。
──良かったぁぁ~!!終わったわぁぁ~~!!
と言う甘露寺の脱力した声。
それに混じって伊黒の安堵のため息も小さく聞こえた。
そして…こちらに駆けてくる足音は言うまでもなく錆兎のものである。
彼はガラガラと半壊したあたりからこちらに走り寄ってくると、刀を構えたままの村田を確認。
そして笑顔で言う。
「さすが村田だなっ!
頼んだことは本当にきっちりとこなしてくれる。
頼みついでに申し訳ないが、隠が来るまで早急に処置が必要そうなあたりの被害状況の確認と里長の鉄珍様への報告をお願いしていいか?
俺はお館様への報告をあげねばならんから」
まあいい。
それはいい。
雑務は得意だ。
良くないのはむしろ前半部で…錆兎に褒められたことで義勇が隣で膨れている。
ああ、もう面倒くさいと思いつつ、これを放置すると当分不機嫌になられるので、
「うん。残務処理は任せて。
えっと…前半部は…斬ったのは俺だけど、そもそもが本体見つけて確保していたのは義勇だから…ね…」
と言えば、それで村田が何を言わんとしているかは錆兎もすぐ察して
「ああ、そうだったか。
さすが義勇だ。よくやったな」
と義勇を抱き寄せて頭を撫でる。
それで上弦2体撃破出来て義勇の機嫌も直ってようやく今回は全てめでたしめでたしだ。
誤記報告です。「里長の鉄線様」→「鉄珍様」ですよね^^;ご確認ください。
返信削除ご報告ありがとうございます。修正しました💦💦
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