村田の人生やり直し中_75_温泉、温泉

刀鍛冶の里と言えば温泉、温泉と言えば混浴!…というようなことは言える人間はここにはいない。

温泉には入りたいがやはり男女分かれてだろうと最初は思ったわけなのだが、ここで一つ問題が起きた。
元々男だが只今絶賛血鬼術影響中で女性になっている義勇の扱いである。


甘露寺は少しでも大勢一緒の方が楽しいし、義勇とも仲良くしたいので、今女性の体なら自分と一緒に…と言うのだが、伊黒が当然大反対をした。
普段は甘露寺の言うことは全て正しいという男だが、この件ばかりは譲れないらしい。

「ふざけるなっ!冨岡は男なんだぞっ?!
それが甘露寺と一緒に風呂に入るなんて絶対に反対だっ!!」
と何故か村田に食って掛かる。

俺に言われても困るけど…と思いつつも
「まあ確かに諦めてなければこの瞬間にも不死川が他の任務のついでに鬼を追ってるはずだし、鬼が倒されて突然男に戻ったりっていう可能性もなきにしもあらずだしねぇ…」
と同意すると、
「そうだろうっ!
村田、お前は良識のある男だっ」
と、なんだか男には手厳しいことが多い伊黒に褒められてしまった。

「…でもそうすると冨岡さんは誰と入るの?
今は女の子なのよ?
伊黒さんや錆兎さんとは入れないでしょ?」
と、それに気づかわし気な様子を見せる甘露寺の言葉に、なんと炭治郎が
「俺が入りますっ!まだ子どもですからっ!
禰豆子と俺と無一郎君と一緒に入ればいいと思いますっ!」
と、意気揚々と手を挙げて、
「却下だっ!」
と錆兎に即切り捨てられた。

「15の男はもう子どもではない。
昔なら元服して戦いに行っていた年だ。
男女七歳にして席を同じゅうせず。
入るなら炭治郎と無一郎は俺達とで、義勇と禰豆子が入ればいい」
と続ければ、今度は甘露寺が
「え~。それなら私も一人よりもそちらと入りたいわ」
と言い出して最初に戻る。

そうして揉め続けていたので、これは最悪温泉に入れないやつか?と村田が思い始めた時に、義勇がススっと手を挙げて
「湯浴み着を借りてみんなで入ればいいんじゃないか?
昔、家族で温泉に行った時に姉さんや母さんが借りていた」
と、珍しく建設的な意見を述べた。

それに
「なるほどっ!湯浴み着かっ。
ここに居る目的は上弦の肆と伍を待つというものだし、そうなると個々に風呂と言うのも危険だしな」
と、そういえばみんな目の前の温泉に夢中で忘れていた本来の目的を思い出してハッとする。

「そうだよねっ。
じゃあ俺、湯浴み着を人数分借りれないか聞いてくるね」
と、ようやく収まりそうな論争に終止符が打たれたことにホッとして、村田は立ち上がって宿の従業員に聞きに行くことにした。









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