──やはり錆兎はカッコよかったです。
ムフフと笑いながらそう口にする義勇に、その場にいる全員が複雑な表情を浮かべた。
そこにはその任務に参加していたということで、新人3人組と義勇も同席していた。
まずはお館様からねぎらいとお褒めの言葉があったあと、それで…と、実際に上弦と戦ってみて気づいたこと思ったことがあれば、と、尋ねられてピシッと手を挙げた義勇の口から出てきた言葉がそれだった。
これが前世であれば蟲柱だった胡蝶しのぶあたりから笑顔で辛辣な言葉が放たれるところだが、今生では姉の胡蝶カナエが生存しているので、彼女は普通に甲の隊士をやっていて、この場には居ない。
さらに前世ならそれにキツイ罵声を浴びせそうな不死川も今生では弟オーラ満載の義勇にどこか強く出られないところがあって、片手で顔を覆ってため息をつく程度だ。
唯一錆兎がおそらく『そういうことじゃない』と突っ込みをいれようと口を開きかけたのだが、彼が声を発する前に今度は炭治郎が
「それを言うなら義勇さんの方が素敵でしたっ!
あでやかな着物姿で刀を振るう姿はまるでおとぎ話の登場人物のようで…」
と言い出し、同門の兄弟弟子が揃ってあまりにぶっとんだ方向に暴走した発言をするのに、錆兎はとうとう頭を抱えて天を仰いだ。
頑張れ、錆兎っ!諦めるなっ!
…と声援を送りたいところではあるが、今回の上弦戦で疲弊している彼に全てを負わせるのはさすがに気の毒になった村田はフォローに入ることにした。
「えっとね、義勇も炭治郎も、お館様が尋ねられているのはカッコいいとか綺麗とかそういうことじゃなくてね、何故倒せたかとか、どういう戦い方をすれば良いと思うかとか、そういう戦術的な事だと思うよ?」
そう村田が説明を添えると、錆兎を含めた義勇と炭治郎以外の全員がうんうんと頷いている。
「いや、錆兎がカッコいいから皆応援してくれたし、応援があった方が強くなれるだろう?
十分倒せた理由にはなるはずだ!」
と、それに普段は内向的で外には大人しい義勇が飽くまで主張した。
…まあ、ぷくりと頬を膨らませてそう言う様子は主張するというより子どもが拗ねているように見えるのだが……
こうなると理屈で言っても収まらないだろう。
と、村田もどうするかな…と悩んだが、そこは海千山千のお館様は
「うん、そうだね。
義勇の言う通り周りの理解と言うのも確かに大切だ。
それで、誰か他には何かわかったことはあるかい?」
と、義勇の言うことを肯定してやりながらも、上手に話を進めていった。
そんなところは本当に鬼殺隊当主であられる”お館様”だ…と感心する。
これが錆兎の友人である”耀哉”になると何故あんなに無理無茶無謀な人間になるのかが本当に不思議だと村田は思うのだった。
ともあれ、その後錆兎や宇髄から今回は敵についての情報が多く予め対策を取れたため被害も少なかったのだろうなどともう少し実際的な話も出され、特に上弦についてはなるべく情報を共有するということで、無事会議は終了する。
そしてその後、錆兎の家に呼ばれた村田は今の時点で知っている上弦の情報を全て予め教えておいて欲しいと言われて錆兎に知っている限りの上弦の情報を伝えることになった。
もちろんそれを村田の夢で…というわけにはいかないので、まずは錆兎が信頼できる筋からの情報ということでお館様にあげ、お館様から皆に伝えるという形をとることにする。
村田が名を出したいなら…と一応錆兎に聞かれたが、何故知っているのかを聞かれても困るし、絶対に出したくないとぶるんぶるん首を横に振ると、そうだろうな、と、錆兎も笑って言った。
こうしてすでに前世とは色々が変わってしまっているので同じ状況になるかはわからないが、一応前世では遭遇するのがわかっている場所と時期まで伝えたので、このあとは村田が気を付けていないでも錆兎とお館様で管理をしてくれるだろう。
そのことで村田もホッと肩の荷を下ろすことが出来た気がした。
恐らく変換時の修正漏れ?報告です。「柱合わせ会議」➡「柱合会議」ご確認くださいませ(o*。_。)oペコッ
返信削除ご報告ありがとうございます😊
削除修正しました。