結局、遊郭には炭治郎、伊之助、善逸が女装して下働きの少女として潜入することになった。
だがやはり前世と違って上弦の陸の堕姫が化けているのが京極屋の蕨姫花魁ということまできっちりわかっているので、集めなければならない情報と言うのは宇髄の奥方達を含む拉致された女性たちの居場所と、戦闘で他を極力巻き込まないように堕姫の日々の行動の予定を把握することくらいである。
戦闘に関しては宇髄には堕姫を受け持ってもらい、毒のある妓夫太郎の方は錆兎が義勇付きで受け持ち、村田は新人3人と共に助けた女性たちの保護と必要なら戦闘組の補佐という役割分担になった。
宇髄が女衒に扮して女装した新人3人組を京極屋の下働きに売り、錆兎は最初は客に扮して出入りをさせようとしていたが義勇が断固として反対したのでお館様がそのために極秘で買い取った京極屋近くにある揚屋の経営者としてその一室で義勇と共に待機。
村田はその揚屋の番頭として働くことになった。
実業務は元々の持ち主であった女将が仕切っているので安心だ。
実際にそういう体制になってみると遊女達から色々客に漏れた話で怪しまれたりしないかと思ったのだが、揚屋を買い取った詳細については語っていなかったため、遊女達の間では、いかにもお育ちの良さそうな青年である錆兎が目を引くほどに美しい少女の義勇と共にそこにこもっていることについて、どうやら大金持ちで良い家の若様が身分違いの娘と過ごしていることへの隠れ蓑に、まず見つからないであろうと思われるこの揚屋を買い取ったらしいと思われているらしく、広まったのもそんな話なので支障はなかった。
あんな良い男にそこまで惚れられて羨ましい…とはしゃぐ遊女達。
それでも妬まれたりしないのは、百舞子が全力で着飾った義勇の他の追随を許さぬ絶世の美少女っぷりと、それよりなにより、錆兎の遊女のみならず従業員全員に対する細やかな気遣いの賜物だろう。
なにしろ皆不幸な境遇なので、純然たる好意にとても弱い。
もちろんそれには産屋敷家の潤沢な資金の後ろ盾もある。
ともあれ、こちらの状況としては実に順調に進んでいた。
一方で京極屋に潜入中の3人組。
これは百舞子大激怒だったのだが、女装のための化粧などは宇髄が担当した。
それで愛らしく仕上がっていたならまだ百舞子的にも納得したのだろうが、なんとも面白いレベルの不細工な化粧で、若い少年3人の麗しい姿を見られると思っていた百舞子が隠の身でありながら音柱相手に食ってかかるという一件が起きたのである。
しかし宇髄にはこうした化粧を施した理由もちゃんとあった。
3人ともそれなりの化粧をすればそこそこ愛らしく仕上がるだろうし、特に伊之助などは義勇に負けず劣らぬ絶世の美少女になれそうなのだが、そこであまりに愛らしくしすぎると、少しばかり早いが客を取らせようか…という話になりかねない。
産屋敷で購入した錆兎達の揚屋と違い、京極屋ではこちらには人事権など全くないのだから、そうなったらまずい。
なので、そうならぬよう、商品としての価値があがらないような化粧をしたということである。
もちろんそういう理由を聞かされると、それでも不満は消えないがやむを得なしと百舞子も諦めた。
義勇さんの勇姿、楽しみにしています💖
返信削除今回はカッコ可愛さを目指してみました💕
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