村田の人生やり直し中_58_上弦参登場

あらかじめ敵の情報があったのもあって、そこからは早かった。

禰豆子が全員を起こして炭治郎達と村田と義勇で乗客の安全を確保し始めてすぐくらいに、もう下弦の壱は倒されて列車が止まっていた。

それで村田はここで脱兎のごとく撤退すればもしかして上弦の参に出くわさないですまないだろうか…などと思ったわけなのだが、それは甘かったようである。

なにしろ自分達6人だけではない。
女こどもも含む大勢の乗客を避難させようと思ったら、そんなに速やかに行くはずがない。

そうなると早く倒せたということもメリットではなく、かえってデメリットになった気がする。
そう、上弦の参との対峙時間が長くなってしまったようだ。

何故この時間に来たのかはわからないが、おそらく下弦の壱が倒された時間が登場するタイミングだったらしい。

隠と共に乗客の手当てを手伝っていると、いきなり錆兎が腰の刀に手をかけて、
「悪い。ここは任せた。義勇、行くぞっ!」
と、立ち上がる。

それに対して、いやいや、悪くないよ?
どちらかと言うと、どう考えても自分じゃ足でまといなだけだから危険な方を任せてこちらがごめんねという感じだよ…と、村田は心の中で突っ込みをいれた。

そして
「うん。
俺が行っても瞬殺されるだけだからせめてこっちは任せて。
無理しないで…とは言えないけど、極力時間稼いでくれるとありがたい」
と答えたのだが、そこで

「俺も行きますっ!」
と、前世と違って怪我もなくやる気満々な炭治郎。

「おうっ!やってやるぜぇっ!!」
と、それに刺激される伊之助。

唯一善逸だけが
「無理無理無理っ!!
お前ら馬鹿っ?!
柱の村田さんでも敵わない鬼に俺らが敵うわけないでしょっ!
瞬殺でしょっ?!
てか、足手まといで迷惑でしょっ!!」
と、まともなことを言っている。

「いや、義勇さんだって行くんだから、俺達も…」
などとそれに炭治郎が勢い込んで言うのに義勇はさすがにむぅっとした様子で口を開くので何を言うかと思ったら、
笑・止・千・万っっ!!
俺は錆兎を守ることにかけては世界で誰にも負けはしないっ!!
お前ごときがとって代われると思うなっ!!」
と、明後日の方向へとズレまくった言葉を吐き出した。

「俺が守りたいのは義勇さんですっ!!」
と、そこで炭治郎が修正にかかるが、
「要らんっ!!
俺を守るのも錆兎だけで十分だっ!
錆兎が敵わないならお前が敵うはずはない!!」
と切り捨てられる。

そういう言い方したら…と村田はまだ揉めそうな気配にフォローをいれようと口を開きかけたが、それより早く錆兎のフォローが入った。

「相手は上弦だ。
義勇は防御に長けているから俺一人なら守り切れるが人数が増えれば守り切れない。
それでもとこちらに来たらお前たちは死んで終わりだが、村田と共に残れば身を守る手段を持たない多くの乗客を救うことが出来る。
どちらがより必要で役に立つかはわかるな?
さらに勘違いしないように言っておくが、おそらく上弦相手では俺も勝てん。
俺は単に逃げられない乗客に攻撃が行かない様に時間を稼ぐだけだ」
と、現状だけ伝えると、錆兎は義勇を伴ってものすごい音を立てて前方に着地した上弦の参に向かって走っていった。

そこで村田も
「…そういうわけでね、俺と一緒に乗客を守ろう?
伊之助は親分なんだろ?
親分って言うのは弱い奴をきっちり守ってやるもんじゃない?
炭治郎も協力して乗客を安全なところまで逃がしてくれれば錆兎と義勇も撤退できるよ?」
と言葉を添えれば、伊之助は
「そうだなっ!俺は親分だから弱い子分達を守ってやらねえとなっ!」
とその気になってくれて、炭治郎もおそらく鬼殺隊内でも強さではトップクラスの錆兎が自分でも勝てないから時間を稼ぐだけという言葉と、乗客を早く逃がせば義勇も撤退出来ると言う言葉でしぶしぶ納得したようだ。

「…錆兎が敵わなくて義勇さんが危なくなったら俺も参戦しますから」
と、それでもそんなことを言いながらも乗客の方へ残ることを了承。

もちろん善逸は始めから戦う気は欠片もないので当たり前に乗客の保護組に加わった。


ということで、攻撃の余波が来た時だけは壁になるということで、村田は錆兎達を気にしながらも炭治郎達3人と一緒に隠に混じって乗客の手当てと救助に勤しむことにした。









0 件のコメント :

コメントを投稿