村田の人生やり直し中_36_若手の柱のお食事会

──せっかくだし時間があるなら皆で飯食おうぜっ!
と言い出したのは賑やかな事の好きな宇髄だ。

日中なので皆時間があると言えばある。
だが、たまたま遠方の任務がいくつも入っていて、それを受けるなら移動時間があるのでゆっくりもしていられない。
そこで年かさの柱達はこれから長く鬼殺隊で共に過ごすであろう若者達が親しく出来た方が良いだろうと、積極的にその任を請け負ってくれた。

結果、言い出しっぺの宇髄は当然として、村田とカナエ、錆兎と、柱ではないが自分達だけ行くと拗ねるから連れて行っていいか?と錆兎が言いだしたので、産屋敷内の離れで待っている義勇も連れて行くことにした。

本当は煉獄槇寿郎も加わるはずだったが、嫁の体調が宜しくなく、息子二人と嫁の昼を用意しなければならないということだったので、それなら店までは一緒に出向いて弁当にして持って帰ったら?と言うカナエの提案で、店までは一緒に行くことになった。

その旨を伝えるために槇寿郎は鎹烏を自宅に飛ばす。
すると戻ってきた鴉いわく、それなら自分が店まで出向いて3人分の弁当を受け取って帰るから、父はせっかくなのだしそのまま皆と一緒に食事をしてくれという長男である杏寿郎からの返事。

「しっかりとした思いやりのあるご子息ですね」
と錆兎が言えば、
「ああ、親の口から言うのもなんだが、妻に似てとてもしっかりとした思いやりのある子に育ってくれた」
と、槇寿郎は少し照れくさそうに、しかし嬉しそうに頭を掻いた。

(いやいや…煉獄さん、どう見ても父親似でしょっ!
それとも奥さんも煉獄さん達とそっくりなの?)
と、心の中でそっと突っ込みを入れる村田。

仕事の場を離れると槇寿郎以外は年も近いためか一気に親し気になる一同。
意外なことにカナエと義勇がなんだか親し気だったりする。
不思議に思って錆兎に視線を送ると、もうそのあたり付き合いが長いだけあって考えがまるわかりなのだろう。

錆兎は
「胡蝶は穏やかな性格な上に妹がいる姉だからな。
同い年なんだがどこか義勇の姉に似た雰囲気らしくて懐いてる」
と教えてくれた。

ああ、確かに二人を見ていると姉弟に見えなくはない。
義勇は本来はどこまでも弟で、兄や姉タイプの人間と付き合うのが楽しいのだろう。

宇髄のおすすめと言う飯屋はそう遠くはなくて、そんなことを話しているうちにすぐ着いてしまった。

そして…飯屋の前にはどこかで見た顔。
槇寿郎にそっくりな息子、前世での炎柱、煉獄杏寿郎が待っていた。

槇寿郎が息子と口にするのでまだ幼いイメージがあったのだが、考えてみれば彼は錆兎達より1歳下、つまりもう15歳になっていて、すでに隊士になっているようである。
しっかりと鬼殺隊の隊服を身に着けていた。

だが、──父上っ!…と、手を振る姿は村田が知る彼よりも若い…というか、まだ幼さを感じさせる。
彼については前世で炭治郎達から亡くなる時期と状況を聞いているので、錆兎に頼んでそれを回避させることは出来るだろう。

そう考えれば錆兎だけではなく煉獄も無惨戦まで生きていれば随分と戦局が楽になるだろうし、先が楽しみだ。


飯屋の方はもう持ち帰りの弁当の準備はしていてくれていて杏寿郎が受け取ろうとすると、槇寿郎がそれを手に取って
「やはり家内が心配でな。
申し訳ないがやはり先に帰らせてもらっていいだろうか。
代わりに良ければ息子をいれてやってくれ。
いずれ君らの後輩になるかもしれん」
と言う。

「お~!いいぜっ!入れ、入れ」
とその言葉で宇髄が杏寿郎に手招きをし、錆兎に何か言われてすぐ隣の花屋で花を買ってきた義勇が、
「奥方殿のお見舞いだ。
早く良くなるといいな」
と言う錆兎の言葉に合わせて槇寿郎に花を渡す。

それに礼を言って花を受け取ると、3人分の弁当を手に炎柱は風のような速さで帰っていった。

「いつまでも夫婦が仲睦まじくていいことだな」
と目を細める錆兎。

「煉獄さんに本当にそっくりね」
とにこにこと笑顔を杏寿郎に向けるカナエ。

そして宇髄が予約を入れていたらしく店の者に行って全員座敷に案内されて行った。









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