1週間後…
これは自分が同席しないわけにもいかないので、宇髄に頼んで宇髄の嫁達に自宅に来て義勇を見てもらって、錆兎は久々に鱗滝財閥の本社に足を運んだ。
錆兎とてこの1週間なんの対策も講じなかったわけではない。
まず今回の炭治郎の希望の中でどこが一番のネックになるのかと言えば、恋人が同性で炭治郎の跡取りを作れないことだろうと思う。
そこで出来れば自身の家庭の平穏のためにそこは突きたくないところではあるのだが、可能性を探るため、義勇の長兄で冨岡製薬の現社長である慎一に連絡を取った。
要件はもちろん、義勇が施されたのであろう男でも子ができるようになる処置についてである。
当たり前なのだがこれは合法な処置ではない。
医学的には認められていないものでもあるし、義勇の父親の暴走の結果で根回しなど出来ていないものなので、公になれば非常にまずいことになる。
だから義勇については実は父親の秘書が逮捕されたあたりで慎一が出産して生まれる子の出生届時に困るだろうからと、父親の異常な執着から性的な虐待の可能性を考えて男と偽っていたのだということにして裏で色々手を回して戸籍を男から女に変えていた。
だから義勇は子を産んだ男ではなく、普通に子を産んだ女として生きていくことになる。
まあそれに関しては何かあっても錆兎には揉み消せる財力と伝手があるので出来ることで、慎一からも何かあったら気合で揉み消してくれと言われていた。
揉み消せなければ冨岡製薬が終わるし、それは錆兎の可愛い義勇が絶対に望まないので錆兎も気合と根性で揉み消す所存である。
そんな危うい技術なだけに、慎一も早々に広めたくはないので情報開示の依頼はかなり渋られた。
それでもなんとか聞き出したところによると、まず第一条件として完全に大人になってしまう前でないと無理ならしい。
もっと言うなら精通前でないとということだ。
義勇はたまたま遅かったためギリギリセーフだったようだが、炭治郎の恋人と言うのは炭治郎より1歳年上の現在20歳。
これはさすがに無理だ。。
ということで、炭治郎が同性の恋人との間に子どもを設けるというのは事実上不可能となった。
こうなると…さすがに錆兎でも打開案は思いつかない。
お手上げだ。
こうなると落としどころは仕事的には炭治郎が社長業をしながら休みにパン屋を手伝う。
私生活では金で片を付けて炭治郎と籍を入れて人工授精なりなんなりで子を産んでもらうということで女性と契約し、一定の期間を置いて円満に別れて、余生を恋人と…というくらいだろうか。
国内有数の大企業の社長の跡取り相手ということで、女性の側が欲を出して離婚を拒む危険性もあるし、そのリスクを副社長が潔しとすれば…ということになるが…。
自分の時のえげつなさと強引さを考えると、むしろ炭治郎の同性の恋人の方をなんとかしようとする可能性の方が高い気もするし、どう話を持っていくかが悩ましいところだ。
当日に自分があまり口を出し過ぎるとかえって副社長の警戒心をあおって揉めると思うので、前日のうちに炭治郎に方針を聞いておこうと電話をすると、
──大丈夫…。気持ちは固まったから。でも話し合いのあと、兄さんには頼みたいことがあるんだ。
と、どこか穏やかだが疲れたような声音で話す弟。
何かやけになっていなければいいが…と思うものの、錆兎のではなく炭治郎の人生なのでどうするか決めるのは炭治郎自身だ。
錆兎ができることは炭治郎が決めたことを聞きつつ、頼まれたことについて助けてやるくらいしかない。
「ああ。なんでも言え。
出来る限りの協力はしてやるつもりだから」
と答えると、弟は
──ああ、本当に頼むよ、兄さん。
と、それでも切実な様子でそう言った。
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気合と根性が万能過ぎる気がする...^^;
返信削除義勇さん戸籍上女性なら炭治郎の結婚式には女装で出るのかな....と思うとちょっとワクワクしてしまう💖
錆は義のためならなんでもできてしまうのでっ。
削除まあ逆もしかりで義も錆のためなら…ですが😁
一応義が戸籍上女性になったのは副社長は知らないので、残念ながら炭治郎の結婚式は欠席ですね💦