ずっと一緒03_幼稚園時代編

一緒っこ


──やぁだぁ~!いっしょがいい~!!

やあぁぁ~と叫びながら開け放たれたままの隣家との境界のドアを抜けて半泣きの義勇が飛び込んでくる。

普段大人しい隣家の次子の叫び声に、まず反応したのは鱗滝家の長男だ。

幼稚園の制服のベレー帽をしっかり押さえながら駆け寄ってくる幼馴染を
「どした?ぎゆう」
と抱きとめて、それから彼を追ってきた可愛らしい桜色のスーツを身にまとった幼馴染の母親に不思議そうな視線を向ける。

もちろん彼自身の母親も追ってきていて、
「花、義勇ちゃんもどうしたの?」
と、大騒ぎの冨岡家の母子に交互に視線を向けた。

そんな鱗滝家の母子に、冨岡家の母と子は、それぞれ援軍到着とばかりにホッとした顔をする。

「あのね、あのね、つたこおねえちゃといっしょがいいんだよ」
と錆兎に必死の形相で訴える義勇と、
「あのね、あのね、義勇が蔦子と同じ髪型で幼稚園に行くって聞かなくて…」
と、自身の幼馴染でもある鱗滝母に半泣きで訴える冨岡家母。

そう言われてみてみれば、いつもは降ろしている男の子にしては随分と長い義勇の髪は今日は綺麗に編み込まれている。
その鱗滝家の母、悠の視線に気づいて、冨岡家の母、花は、

「蔦子がね、結ってしまって…。
でもさすがに入園式に男の子がこれだと困るでしょう?」
と、綺麗な形の眉を八の字に寄せて、困ったように息子を見下ろす。


「おれだってもうおっきいからっ!
おねえちゃといっしょ!」

普段は伸ばしたままの髪を姉が結ってくれたのが嬉しかったのだろう。
義勇にとっては姉とお揃いの髪型というのは自分が大きい子だと認められた証のようなものに思えたようである。

「あはは。似合うけど困っちゃうよね」
と、苦笑する悠。
そんな大人二人と幼馴染の義勇を見比べて少し考え込む錆兎。

そして叫ぶ。

──ま~こ~も~ねえぇぇ~~~!!!


まだ高い子どもの声ではあるものの、腹の底から出す大きな声は、居間にいる姉の真菰にも届いたらしい。

「はいはい、なによ?」
と、タタタッと軽い足取りで廊下をかけてくる少女。

「真菰~どうすればいいかねぇ?」
「真菰ちゃん、なんとかできないかしら?」
「ぎゆうが嫌じゃないようには、どうしたらいい?」
「いやああぁぁ~~!!おねえちゃといっしょぉぉーーー!!!」

4人にそれぞれ視線を向けられて、みんなの頼れるお姉ちゃんな真菰ちゃんは、はて…と、4人を見回した後、なるほど、と理解する。

そして
「これのこと…かな?」
と、蔦子と比べるとまだまだ短いが同じように編み込まれた義勇の髪をぴょんっ!と指先ではじいた。

それにうんうんと頷く母親たち。

それに、そっかぁと笑うと、少し身をかがめて義勇に視線を合わせた。

「義勇ちゃん、蔦子ちゃんと一緒なんだぁ。
可愛いね、よく似合ってる」
と笑顔で言う真菰にぱぁぁ~っと嬉しそうな顔をする義勇。

「いいなぁ。錆兎は真菰ちゃんとおそろにしてくれないんだよ?」
「そうなの?」
「うん!」
「まこもちゃんもさびとと一緒したい?」
「うん!ね、今日だけね、義勇ちゃんも真菰ちゃんと一緒にしてくれない?
幼稚園から帰ってきたら真菰ちゃんが蔦子ちゃんに頼んでまた蔦子ちゃんと一緒にしてもらうから」

「…?まこもちゃんといっしょ?」
きょとんと丸い目をさらにまんまるにして小首をかしげる義勇に、真菰はうんうんと笑顔で頷いた。

「真菰ちゃんね、錆兎の髪の毛と同じ色のピンクのヘアピンもってるからね、義勇ちゃん、今は髪の毛は解いてそれを真菰ちゃんみたいにつけてみない?
そうしたら錆兎にも義勇ちゃんの髪の毛と同じ色のヘアピンつけてもらうから」

「さびとのかみの毛のいろっ!!!」

ほおおぉぉ~~!!!
と、錆兎の髪と一緒の色という言葉に、義勇のふっくらしたほっぺが赤く色づいて、目がきらきらと嬉しそうに輝く。

「そう、錆兎の色だよ~。
で、錆兎は義勇ちゃんの色付けるから、真菰ちゃんだけじゃなくて錆兎ともお揃いだね~。
初めて会う幼稚園のお友達も、錆兎と義勇ちゃんがお揃いにしてたらすっごく仲がいいんだってわかるよねっ」

「まこもちゃんといっしょするっ!!!」
と、義勇が叫んだところで、真菰は笑顔で頷いて、

「じゃ、ヘアピンとブラシ持ってくるから待っててね」
と、義勇の頭を軽く撫でて立ち上がった。



「…真菰ちゃん…すごい…。
錆兎君も賢い子だけど、真菰ちゃんとぉおおっても頭良くてすごいね、悠ちゃん」

自室に駆け出していく真菰の後姿を見送りながら、息子と同じようにキラキラした目でそういう冨岡母。

さすが悠ちゃんの子どもっ!と、幼い頃から自分のことをさすがさすがと言い続けてきた幼馴染が自分の子ども達にまで尊敬と驚きの視線を向け始めるのに、鱗滝母は苦笑した。

そう言えば彼女も幼い頃は『花ね、おっきくなったら悠ちゃんのお嫁さんになるっ!』と言っていたのを思い出す。
結果、自分とは似ても似つかない穏やかで優しい男性を夫に選んでいるのだから、彼女の息子も今はこうだが大きくなれば可愛らしいタイプのお嬢さんを選ぶのだろうなと悠は思った。


こうしてブラシとヘアピンを手に戻ってきた真菰はその場で義勇の髪をほどいて整えると、ピンク色のヘアピンを2本、バッテンに交差させて止めて、
「ほぉら、可愛い。
義勇ちゃんの髪に錆兎の色だよ~」
と、持ってきた手鏡で義勇に見せてやると、義勇は
「ほんとだぁっ!さびとだっ!」
と、嬉しそうに笑う。

それで義勇の方はもう大丈夫と、真菰は今度は自分の弟を振り返って黒いヘアピンを指先で挟んで見せた。

それに、ゲッと言う顔をする弟。

「次は錆兎の番ね~」
と逃げようとする弟の手首をつかむと、錆兎は
「おれはいらないっ!なんでおれっ?!」
とふるふると首を横にふって抵抗する。

「だ~いじょうぶっ!ヘアピン男子なんて珍しくもないよ?」
「でもおれはいらないっ」

「ん~~、錆兎君、お姉ちゃんとちょっとお話をしよう」
と、そこで真菰は弟をずりずりと階段のところまで連れて行って、階段に座らせた。

その姉の態度に元々聡い鱗滝家の息子はさらに姉の性格も熟知していたので、これは単に真菰が面白がっているわけではないんだな、と、大人しく階段に腰を掛けて話を聞く体制に入る。
その弟の切り替えに、姉も弟の隣に座った。



「あのね、幼稚園って色々な子がいるじゃない?
なかには意地悪な子もいるのね。
だから男の子のみつあみはNG。
ヘアピン男子はさ、おっきいお兄ちゃん達の間では別にそこまでNGってわけでもなくてさ、実際に私の同級生でもおしゃれ感覚でつけてる子もいるし、そもそもが父さんが集めてるDVDのライダーのシリーズの中には変身前の人間の時はヘアピンつけてるキャラがいたりするくらいだからね。
でも幼稚園だしさ、そういうの知らなくてからかう子もいると思うのね。
そういう時にさ、みつあみだとこれは他もやってるオシャレだからって言えないから、今回お姉ちゃんは義勇ちゃんにみつあみよりはってヘアピンつけさせたんだけどさ、からかわれた場合、義勇ちゃん泣くじゃない。
でもあんたも一緒だったらあんたは言い返せるでしょ?」

「…ぎゆうを泣かせるやつがいたら、俺がなぐるから」
「ん~、そうしたらさ、義勇ちゃんは女の子の格好しているだけじゃなくて、錆兎に守ってもらう泣き虫って言われるよ?」

「………」

「錆兎も同じ格好してたらさ、錆兎が相手を殴っても義勇ちゃんのせいじゃなくて錆兎が自分もしている格好をからかわれて怒ったってことになるじゃない?
というか、そもそも錆兎もやってる格好なら義勇ちゃんだっておかしいのは自分たちの格好じゃなくて、からかう相手なんだって思って泣かないんじゃないかな?」

「………」

「…って言うのがお姉ちゃんの考えなわけなんだけどね、いかがかな?」
真菰が顔を覗き込むと、弟は太めの眉を寄せて難しい顔をしている。

「何かご不満?」
と、そんな弟に聞くと、錆兎はこっくりと頷いた。

おや?と小首をかしげる真菰を見上げる弟の顔は明らかに不機嫌な様子だったが、その口から出てくる言葉は

「…たしかに相手をだまらせてもぎゆうを泣かせるのは下策だ」
で、父親が少しばかり古臭い言葉を使うことが多いせいか、幼児らしからぬ言葉を紡ぐ弟がおかしくて、思わず吹き出しそうになってしまう。

しかしそこで噴き出すとさすがに完全に機嫌を損ねると思うので、必死に我慢していると、さらに弟は
「くやしい…」
と続けた。

「ぎゆうはおれのなのに…真菰ねえのほうがちゃんと守れる方法がわかるのがくやしい…」
まだ小さい手をぎゅうっと握り締めてぷくりとした唇をかみしめる弟は、幼児ながらも男なんだなぁと真菰は感心する。

そりゃあ自分の方が7年も長く生きているんだから…と言ってしまうのは簡単だが、たぶん錆兎が今の自分の年になってもきっとこの手のことは自分の方が思いつくんだろうなぁと思うと、そういうごまかし方はしたくはないかな…と思うあたりが、真菰もやや脳筋で筋をきちんと通すことを旨とする鱗滝家の人間である。

「あのさ、錆兎」
と、脳内で考えをまとめながら真菰は口を開いた。

「なにもかも全部自分で出来る人はいないんだよ。
戦隊モノだってさ、5人でなんとなく役割決まってるじゃない?」
「うん…」
「だいたいさ、そのシリーズによって緑とか黄色とか青とか、頭良くて色々思いつくキャラっているじゃない?
でもさ、頭はたぶん一番良くてもそのキャラだけじゃダメって言うか…ピンクとか可愛いキャラがいると和むし、おっきいお兄さん達がお金落としてくれるしね…」
「…おっきいお兄さん?」
と、非常にリアルな姉の言葉が聡いといってもまだ幼児の錆兎はよくわからなくて、首をかしげる。

「あ~、うん、まあそこは大人の事情だから考えなくていいや。
とにかくさ、みんなをまとめるリーダーとか元気なキャラとか可愛い女の子とかさ、みんなそろって初めて戦隊になるんであってさ、頭良いキャラだけいてもダメだし、頭良い系のキャラって頭良くても絶対にリーダーになれないじゃない?
つまりさ、大事なのは誰が頭良くて誰に聞けば良いかってわかってて、ちゃんと相談できるかどうかなんだよ。
だから錆兎はさ、大事で絶対に失敗できないと思ったことは、とりあえずお姉ちゃんとか、考えるのがとても得意な人に相談すればいいと思うよ?
それで意見を聞いて、最後は自分でどうするかを決めればいいんだよ。
さっき錆兎は義勇ちゃんが泣いてるからってお姉ちゃんを呼んだじゃない?
それで義勇ちゃんがちゃんといいようになったんだから、それで良くない?
そうやってわかんないことを何度か経験すれば、自分だけでなんとかできることも増えていくしね」

もちろん自分でもちゃんと考えないとだめだけどね、と、最後にそう付け加える姉の言葉に、錆兎は俯き加減にじっと考え込んで、それから顔をあげて

「真菰ねえ、おれも髪のけ伸ばす!」
と、唐突に言った。

「髪を?」
と一瞬意味がつかめなかった真菰は、しかし、ああ、と頷いて
「そっか。さっそく自分でどうすれば義勇ちゃんが好きにやっても嫌な思いしないかを考えてあげたんだね。
錆兎は強くて優しい子だね。偉いぞ」
と、宍色の弟の頭を撫でて破顔する。

髪の毛を短く切るのは嫌だという義勇と短く切って欲しい冨岡母の攻防を今まではどこか他人事のように見ていた鱗滝姉弟だが、弟はどうやら彼なりに男らしく好ましく思っている格好というものより、大好きな幼馴染が嫌な思いをしないように彼に寄り添うことにきめたらしい。
そんな、格好よりも大切だと思う相手を守ることを優先するあたりが、すごく男らしいなと、真菰は自分の弟ながら錆兎のその漢気に惚れ惚れする想いだった。

「じゃ、そういうことで、これつけていいかな?」
と、姉が二本のヘアピンをかざしてみせるのに、錆兎はこっくり頷いて、ピンをとめたあと母親たちのところに戻る。

そして
「義勇のせいで錆兎君までごめんね」
と、本当に申し訳なさそうに謝る冨岡母に
「大丈夫!ライダーのへんしんまえの人だって、ヘアピンつけてた人はいたからっ!
おれもぎゆうもちゃんとカッコいい!」
と言うと、錆兎は幼馴染の肩に手をまわしてニコリと笑った。

推しが可愛すぎて人生が辛すぎるモブ子の話


幼稚園児、凡人(なみびと)百舞子(もぶこ)には好きな相手がいる。

幼稚園で一緒のクラスの冨岡義勇君だ。

もちろんこの【好き】というのは恋愛的な意味である
ただし…一般ピープルのそれと違うのは、彼に恋愛して欲しい相手は自分ではない。

義勇君は世界で一番綺麗で可愛い。
本当に存在自体が愛おしい。
可愛いは正義だ。
だから彼には世界で一番カッコいい男の子と恋愛して欲しい。

もしモブ子が顔もスタイルも良くて頭も良く運動神経も抜群で強くて包容力満点のイケメンであったなら、自らの手で義勇君を一生お守りして幸せにさせていただく所存だ。

だが残念ながらモブ子は名は体を現すという言葉に限りなく忠実な平々凡々な女児で、容姿が並みなのはまあ良いにしても、オツムも運動神経も平々凡々で、それではそんな能力的なものを全て解決できる金があるかというと、それもない。

そんな女が推しの横に立つなどたとえそれが自分でも許せない。
片腹痛いと思う。

もとい…推しは自分と恋愛をするよりは、素敵な相手にお守りされて愛されて幸せにしているのを、推しの親しい友人として誰よりも近くの特等席で日々眺めていたい派だ。

ということでこの世界で一番愛おしい推しの相手なのだが、これも非常に幸いなことにすぐそばにいる。
こちらも幼稚園で一緒の義勇君の幼馴染の鱗滝錆兎君。

彼はカッコいい。
文句なしにカッコいい。
まず顔が良い。
義勇君が愛らしいとしたら、こちらは精悍で男らしく整っている。
出会った時にはすでに剣道と空手を習っていて、とても強いのに…というか、強いからだろうか、弱者にたいそう優しく親切だ。

しかも彼は実は義勇君と一緒に某子ども服ブランドのモデルをしていて、モブ子はそれを知ってからそのブランドの広告の写真を集めまくった。

彼らに話を聞いたところによると、彼らは赤ちゃんの頃から一緒にいる関係で、錆兎君は男の子の服の、義勇君は女の子の服のモデルを続けて今に至るらしい。


モデルになるくらいだから、義勇君の可愛らしさは際立っていた。
幼稚園の入園式で初めて会った時は女の子かと思ったくらいである。

なにしろモブ子達の幼稚園の制服は上着の下には何を着ても良いということで、女の子でもパンツルックの子もいたので、服装での区別はつかない。

そんな中で、長いまつげに綺麗な青い瞳。
肌は真っ白で唇は桜の花びらのような綺麗な義勇君を初めて見た時には、
──うわぁ…お姫様みたいに可愛い子だぁ
と、可愛いものが大好きだったモブ子は感動した。

性格もおっとりと内気さんで可愛らしく、いつも彼によく似た綺麗というより可愛らしい感じのお母さんの後ろに隠れるようにして登園してきていたものだから、美人親子かぁ…などと、名は体を表すとばかりに平々凡々の自分をよく知っていたモブ子は思ったものだ。

だから幼稚園の自由時間には悪気なく彼をおままごとに誘ったし、モブ子と義勇君はそれぞれ人形を抱きしめて、近所のお母さん同士という設定でおままごと道具を並べた八百屋さんや魚屋さんに買い物に行って、かわりばんこにご飯を作った。

入園1週間くらいはそんな感じで楽しく遊んでいたのだが、やがて幼稚園にも慣れてきた頃、わんぱくな男子達がそんな義勇君を男のくせにおままごとなんてオカマか、お前は~とかからかい始めて、モブ子はその時に初めて彼が男の子だということを知ったのである。

いや、一人称が”ぼく”な時点で気づくべきだったのかもしれないが、世の中には” ボクっ娘”という人種がいて、モブ子が大好きなアニメのキャラにもそういう子がいたので、ぎゆう君もそうだと思っていたのだ。

だって男の子にしては義勇君はあまりに可愛すぎた。

そうやって乱暴な男の子たちがからかう横で、錆兎君のことを好きな女の子たちが意地悪を言ってきたりしたので

「うっせえわっ!こんなに可愛い義勇君に意地悪する自分達の薄汚い心根の方がよっぽど恥ずかしいわっ!恥を知れっ!!」
と、推しをdisられて頭に血が上ったモブ子が思わずキレたら、その勢いに気づいた錆兎君が慌てて駆け寄って来ると、

『義勇をかばってくれてありがとなっ。お前いいやつだな』
と、きらり~ん☆とまばゆいくらいの笑顔で言って、義勇君のお友達枠にいることを許可されたのである。

それ以来、どれだけ周りに人が集まって来ようとも、錆兎君は義勇君の次にモブ子を優先してくれるようになった。
まあ自分のことはどうでも良いのだが、義勇君とその王子様の錆兎君を見続けていられるのは嬉しい。
モブ子はその時の自分の行動に対してモブ子特別賞をあげたい気分になった。

そう、モブ子の人生の目標は、錆兎君が義勇君を幸せにするところを彼らに一番近い場所で見守ることである。

だてに幼稚園で【ぼく、わたしがおおきくなったらなりたいもの】という質問に、『おひめさまのばあやになりたいですっ!』と答えてはいない。

少し大きくなってからは、お姫様である義勇君のばあやになるというのは現実的には無理だとわかったので、現在親友というポジションをキープ中なのである。

錆兎君は女の子のように可愛らしいぎゆう君とは対象的にとても男の子らしいカッコいい顔をしていて、実に派手な宍色の髪をしていて、強くてハキハキしていて、入園一週間にしてすでにみんなの人気者だったため、その錆兎君が間に入った時点で、少なくとも表で意地悪をされたりはしなくなったので、楽しく二人を観察することがモブ子の日課になった。

そうしてモブ子はのちに有名になるこの二人の初めてのファンの地位を確固たるものにしていくのである。






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