温泉旅行殺人事件クロスオーバー_05

”犯人がギユウを返さないと困る何か”については…なんとなく検討はつく。
和田が何度も聞いて来たあの忘れ物の件だろう。

一番考えられるパターンとしては、あれが犯人のアリバイになる、あるいは逆に誰かに罪をなすりつけるための証拠になるということ。
見つかった場所が露天ということは前者である可能性が高い。

ということは…あれの持ち主が犯人だということか…。


アオイの場合はなんだ?
こちらは検討もつかない。
まあアオイをさらうということは、アオイだけが見ていた何かという事で…

「ユート、きいていいか?」
ずっと腕組みをしたまま考え込んでいた錆兎が突然顔を上げたのに少し驚いて、それでもユートは
「なに?」
と聞く。

「ん、アオイの事なんだが…俺が知ってる限りでアオイが一人になったのは露天の鍵を返し忘れて母屋に返しに行った時くらいなんだが…他にはあるか?」
錆兎がそんな事を聞く真意はわからないものの、ユートはとりあえず当日に思いを馳せる。

「う…ん…ない。かな?」
天井をにらみつけながら考え込んだユートが最終的にそう答えると、錆兎は
「悪い、俺ちょっと母屋で聞きたい事あるから。ぎゆう頼むな」
と立ち上がった。


「ちょ、待った!錆兎!」
あわてて引き止めるユートを錆兎は
「なんだ?」
と見下ろす。
まっすぐ自分を見下ろす視線からちょっと視線をそらすと、ユートは言いにくそうにつぶやいた。

「あの…さ、俺の事信用していいん?
今回姫が誘拐されたのもアオイが帰ってこれなくなったのも俺のポカなわけで…」
「なんだ、そんなことか」
目を合わせられずにいるユートにやっぱりまっすぐな視線を向けて錆兎は笑顔を見せた。

「ユートは…経験の蓄積で学んで行く奴だから。
一度経験した失敗は二度とにしないって事は俺も知ってる。
今回はもう注意しないといけないような失敗は全部したし、そしたらお前ほど安心して姫任せられる奴はいないからな」

意外な錆兎の信頼の仕方に、ユートはちょっと目頭が熱くなった。

「うん…任せろ」
「ああ、任せたっ。じゃ、行ってくるっ!」

こんな状況でこんな自分に世界で一番…自分の命よりも大事な宝を任せてくれるのか…。
本気で…欠片もなくなっていた自信がまた錆兎の言葉で戻ってくる。
ユートはなんだか泣きたいような笑いたいような不思議な気分で走り出す錆兎の背中を見送った。


ユートにギユウを任せて離れを出た錆兎は内庭の…アオイが鍵を返しに行く時に分かれたポイントで時計をチェックし、それから自分にしてはちょっとゆっくり目に母屋へ向かって、フロントで時間を計る。
そしてフロントにいる番頭に声をかけた。

「すみません…」
「はい、なんでございましょうか?」
初老の番頭は錆兎に愛想の良い笑顔を向ける。

「一昨日の事なんですが…俺達と一緒だった佐々木葵という女子高生がこちらに露天風呂の鍵を返しにきたと思うんですが、その時何か変わった様子はありませんでしたか?」
「ああ…今誘拐されていらっしゃるお嬢さんですね。
いえ、あの時は鍵を返しにいらして…ああ、鍵を返して一旦は帰られたんですが、もう一度戻っていらっしゃいましたね。そういえば」

それだっ!

「えと…戻った理由はわかりますか?」
錆兎が聞くと番頭は考え込む様に眉をひそめる。

「いえ、私はそれからすぐ所用が入りまして席を外しましたので…」
「その時に誰かロビーにいませんでしたか?」
「あ~氷川様のご主人が露天にいらっしゃってる間、奥様がラウンジでお茶を飲みながら待っていらっしゃいましたね」

「他には誰も?」
「…と思います」
「ありがとうございました」
錆兎は番頭に礼を言って考え込む。

これで二つの事がわかった。

アオイはたぶんここで氷川澄花と接触している。
そして…ギユウ達のあとに露天に行ったのは氷川雅之。

つまり…アオイを返したくない理由には氷川澄花が、ギユウを返したい理由には氷川雅之がかかわっている!

錆兎は急いでユート達が待つ離れに戻った。


「サビト、何かわかった?」
厳しい表情で部屋に駆け込んで来た錆兎の様子に、ユートが声をかけると、錆兎はうなづいた。

「アオイは一人の時に何か拾って、さらに母屋で氷川澄花と接触。
で、姫が拾った時計の持ち主は氷川雅之だ。
つまり…アオイを返したくなかったのは氷川澄花で姫を返したかったのは氷川雅之」
そこまで言って、錆兎はさらに難しい顔で考え込んだ。

「ってことで犯人の目星はついたんだが…やばいな。
そろそろアオイが拉致られて丸一日になる…。
救出急がないと…。どこに拉致られてるんだろうな……」

ドスンと座り込んで腕組みをする錆兎に、ギユウはスリスリっとすり寄った。
そして、その肩をトントンとつつく。

「なんだ?ぎゆう」
「えっと…氷川夫妻で思い出したんだけど…さっき言おうとしたこと…」
「さっき?」
眉をよせる錆兎にコクコクうなづくギユウ。
「えっとね、お香の話したじゃない。皆さん違うお香がするって」

その言葉に錆兎は
「ああ、したな。ユート待ってる時だな」
と同意する。

「そう、その時。
あの時ね言おうとした事。
私ね、さびとの浴衣の匂いで気付いたんだけど、私が着てた浴衣って本来私達のお部屋のお香の匂いのはずなのに、なぜか氷川夫妻と同じお香の匂いがしたの」

「ほんとかっ!それ!!」
錆兎は身を乗り出してギユウを強く抱きしめた。
「お手柄だっ!ぎゆう!!」


おそらく…一緒にさらったわけだから、閉じ込められていた場所も同じ可能性が高い…。
お香の香りが強く移ってある程度広い場所と言えば…

錆兎は部屋をぐるりとみまわして一点に注目する。

タンスの中…。

身代金を払わないから殺したと言える状況を作ったばかりだ。
早く救出しないと殺される可能性が高い。

一刻の猶予もならない。
かといって…物的証拠があるわけでもないのに普通の高校生が家捜しなどさせてもらえる状況じゃない。

どうする……

夫妻が鍵をかけずにそろって離れをでるような状況…そんな非常事態が簡単に起きるわけが…いや、起きなければ起こせばいいのかっ。

「ぎゆう、この宿って蔦子さんの友人がやってるって言ってたな?」
錆兎はギユウを引き寄せた。

「うん、ママの幼稚舎からの友人の…秋ちゃん」
「ぎゆう、よく聞いてくれ。
一刻も早くアオイを救出しないとアオイの命が危ないんだ。
で、それには母屋で非常ベルを鳴らしてもらって、離れの人間をみんな母屋に集める必要がある。
他には理由を言わずに後で誤報って事にするようその秋ちゃんに頼めないか?」

錆兎の説明が終わるのを待たず、ギユウは自分の携帯のボタンを押している。

「こんばんは~♪秋ちゃん。
非常事態なんだそうで…ちょこっと母屋で非常ベル鳴らして下さい。お願い♪」

あまりに緊張感のない言葉…でもまあ…たぶん冨岡家の女達と親しい相手なのだとしたら、彼女達の言葉がしばしば絶対なわけで…。

準備する間もなくいきなり非常ベルがなった。
一瞬焦った顔をする錆兎だが、まあなったものはしかたない。

「ユート、ぎゆう頼む。俺は風呂入ってて服着てるとでも言っておいてくれ」
同じく一瞬戸惑っていたユートだが、やはりトラブル続きなため気を取り直すのも早い。

「オッケー。ま、サビトなら一人残して来ても平気って思うのも不自然じゃないしな。
行こう、姫」
言ってユートはギユウの腕を取って立ち上がった。

錆兎も立ち上がると一路氷川夫妻の部屋へ。
夫妻がやはり慌てて母屋へ向かうのを確認すると、ソッと中に忍び込んで一直線に目的の場所を目指した。

入って次の間の大きな押し入れのようなタンス。
チラリと下に香炉があるのを確認すると、錆兎は祈る様な気持ちでタンスを開ける。
そして中を見て心底ホッと息をつく。
向こうも同じみたいだ。

「時間ないから、このまま抱えてくぞ。大人しくしてろ」
錆兎は猿ぐつわをされて手足をぐるぐる巻きにされたアオイを肩にかかえあげるとタンスを閉め、一気に離れの外を目指した。

錆兎はそのまま自分達の離れへ戻ると、急いでアオイの猿ぐつわを外して手足を解放し、
「とりあえず説明は後だ、押し入れにでもかくれてろ」
と、アオイに指示をして、服を脱ぎながら風呂場に駆け込む。
そして頭からシャワーをかぶるとバスタオルで軽く水気だけ取り、浴衣を身にまとい、部屋を飛び出した。


母屋にはすでに全員が集まっていて、旅館の人間が謝罪している。

錆兎はそこにタオルで髪を拭きながら走って来て
「ユート、なんだったんだ?」
とちょっと離れた所から声をかけた。

「ああ、誤報だって。
つかなに?錆兎浴衣なんか着ないって言ってなかったっけ?」

振り向いて一瞬錆兎に注目、そしてからかうように言うユート。
役者だなぁ…と心底感心する錆兎。

「仕方ないだろっ、即服でなかったんだから。これが一番早かった。戻ったら着替える」
と、自分もその会話にあわせて口を尖らせてみる。

その二人の会話に周りから笑いが広がった。

「災難だったね、錆兎君」
「あら、でも浴衣似合うわよっ。良い機会だからそのまま着てたらいいじゃない」
と笑顔の氷川夫妻。

この夫妻があの誘拐犯で…おそらく殺人犯なのか…。
好意を持っていただけに複雑な気分になるユートと錆兎。

しかしもちろんそれを表面にはだすことなく、
「いえ、動きにくいから。即着替えます。パジャマも持参してるし」
と苦笑いでそれに返す。

それから錆兎はユートがしっかり護衛しているギユウにかけよって、
「護衛サンキュー。かわるから」
と、ギユウをぎゅ~っと抱き寄せた。

「まあ…何もなくて良かった」
と言うと、錆兎はギユウの髪に顔をうずめる。
『姫…アオイみつかったんだが…いったん誰にもわからないように秋ちゃんにアオイ保護して隠しておいてもらえないか?』
錆兎はそうギユウの耳元で他にわからないようにささやいた。

「大丈夫よっ」
そのささやきに対して答えるギユウの言葉。

他にも聞こえる大きさだが、錆兎のささやきが聞こえない周りには”何もなくて良かった”に対する返答に聞こえる。


「さっさと避難させるか避難遅れても着替えるまで待たせて自分の側で護衛するか究極の選択だったよな」
ユートがちょっと苦笑して言うと、
「あんな事あったあとだと心配ですもんね、やっぱり」
と、それに対して澄花がうなづいた。

「あ、さびと、ちょっと待って。
どうせ今日も眠れないと思うし、軽食お願いしてくるね」

周りがそれぞれ戻りかける中、ギユウがちょっと錆兎から体を離して、謝罪をしていた綺麗に着物を着こなした女性にかけよって何かを話している。
おそらくギユウが言っていた”秋ちゃん”なのだろう。

「ま、そういう面については気が利くよな、姫。普段は不思議ちゃんだけど」
ユートが視線はしっかりギユウから放さずに錆兎に話しかけると、錆兎もやっぱりギユウの姿を視線でしっかり追いながら
「不思議ちゃん言うなっ、失礼なっ!ただ少しばかり…やんごとないだけだっ」
と答えて、さらに周りの笑いを誘った.

「お願いしてきた♪戻ろう?」
ギユウが戻ってくる。
交渉成立らしい。

「とりあえず…まだ風呂途中できたから、ユート、ぎゆうの護衛頼む」
戻りつつ言う錆兎に、ユートは少し苦笑。
「気…使わないでいいよ…」
と、まだショック冷めやらない演出をしてみせる。

錆兎はそれに肩をすくめて
「別に…ホントにまだ体洗ってないし…」
と、同じく演技で少し視線をそらせてみせた。

「ま、そういう事にしておきましょ」
と、ユートは最終的に了承の意志を示してみせ、3人揃って錆兎達の離れに戻る。


中に入って和室にあがりこむと、錆兎はタンスの側に自分の鞄をおいて中を探りつつ、ユートに座る様に指示をする。

「アオイは旅館の秋ちゃんにかくまってもらうから、それまでここから出るな。
部屋にいないと気付いたら氷川夫妻が様子見にくる可能性がある」

外に聞こえるほどではなく、タンスの中のアオイと部屋にいるユートにだけ聞こえるくらいの絶妙な大きさの声で錆兎は言った。

「詳細と状況はアオイにはかくまってもらってから携帯で話す。
ユートとぎゆうにもあとで。
とりあえず何で拉致られたのかわかるまではアオイが救出されてここにいるって知られるのはまずい。
とにかくアオイがいないふりで秋さんからの連絡待つぞ」

錆兎の言葉はもっともだ。しかし…
錆兎の後ろにアオイがいるのだ、無事を確認して抱きしめたい…。
ユートはその強い衝動をじっとこらえて膝の上で拳をにぎりしめる。
ギユウはそんなユートにお茶をいれた。

「少し…お茶でも飲んで一息入れて下さい」
唇を噛み締めて俯くユートをいたわるように、柔らかな笑みと一緒にギユウが手渡してくる湯のみを、ユートは黙って受け取った。

じれったい気持ちと…それ以上に安堵がわきあがってきて、ユートの目から落ちたしずくがぽつりと湯のみにおちる。


そのとき…
「こんばんは」
と声がする。

「来たな…。丁度いい、ユート、お前が出ろ。上手くやれ」
錆兎が油断のない視線を玄関の方へ送り、ユートをうながした。
「おっけぃ」
ユートが湯のみをおいて立ち上がり、部屋を出ると玄関に降りる。

「こんばんは、どうしたんですか?」
涙をぬぐって開けたドアの向こうには雅之が立っていた。
「いや…今日の事聞いてたんで心配になってね…」
言って雅之は少し赤くなっているユートの目をみつめる。

「錆兎君といるの…今日はつらくないかい?
妻とも話したんだが、もしユート君が一人なのがつらいとか錆兎君がユート君を一人にするのが心配とかなら、僕たちの部屋にこないか?」
思いがけない申し出にユートはちょっと驚いて考え込んだ。

「えと…でもそこまでは…」
反射的に答えると、雅之は
「妻も…つらい経験してるからね。他人事とは思えないらしくて。
ホント僕らには全然遠慮する事はないし、良かったらぜひ」
とさらにすすめてくる。

心底心配しているようなその素振りに、真相知らなければほだされそうだなとユートは思った。
目的はアオイが部屋から消えたのでこちらに探りをいれたいのだろう。

それなら…

「ホントに申し訳ないです…。サビトが悪いわけじゃない…。
アオイが誘拐されたのも返してもらえなくなったのも全部俺のせいで…
それでも姫だけでも返してもらえたのはサビトの活躍でだからしかたないんですけど…
そうですね、俺やっぱり今はつらいのかも。
お言葉に甘えていいですか?」
逆にこちらから探ってやる、と、ユートはその誘いにのることにした。

「ちょっと…錆兎にことわってきますね」
と、言っていったん部屋に戻って錆兎に事情を話す。

「だめだっ!断って来いっ!」
当然…錆兎が快く送り出すはずはない。

「大丈夫だって。氷川夫妻の離れに行くのはもう知れ渡ってるんだから返さないってことないだろうし。
俺をどうこうする理由もないでしょ?
それより少しでも情報集めた方がいい。
それにさ、俺が行く事でアオイが移動する間、氷川夫妻の目をそらせるし」
ユートが自分が行った方が良い理由を列挙すると、錆兎は黙り込んだ。

「心配しないで。今度こそ上手くやるから」
そう言って玄関に向かいかけるユートを追い越して、錆兎も玄関に出た。

「こんばんは」
と、雅之に声をかけると、錆兎はお辞儀をする。

「ああ、こんばんは。錆兎君も今回は大変だったね」
雅之がいうのに
「ご心配おかけしてます」
とさらに頭をさげると、錆兎は軽くユートの肩に手をおいた。

「ユートお願いします。
でも…本当に申し訳ないんですが、こいつも今日は一回行方不明になりかけたし、俺が心配なんで…絶対に一人にしないで帰る時もここまで送ってもらえませんか?
俺ちょっと限界で寝てるかも知れないんですけど、必ず起きて引き取りたいので、できればこちらに戻る前に電話頂けるとありがたいです」

錆兎の言葉にユートは
「錆兎~、子供じゃないんだから…」
と苦笑するが、雅之は笑顔で
「もっともな心配だね。大丈夫、僕が責任持って送ってくるから、君もゆっくり休んでね」
とうなづく。

これで…ユートが自分達と分かれてからいなくなったという言い訳はできないし、ユートに手出しはできないだろう。

「じゃあそういうことで。お預かりします」
と言って雅之はユートと共に自分の離れへとむかった。

5分ほどでユートから雅之の部屋の電話で今着いたという連絡がはいる。
それを了承して切ると、錆兎は部屋のカーテンを閉めた。

「夫妻は揃って部屋なのは確認できたから出ていいぞ、アオイ」
と、タンスの中のアオイに声をかけると
「ホント、どうなってるの?」
と涙目なアオイがタンスの中からころがるように出て来た。

「詳細は後でな。簡単にだけ説明する」
時間がないので錆兎は早口に始める。

「昨日この宿で殺人事件が起こった。殺されたのは一人で来てた中年男小澤。
で、アオイ一人で露天の鍵返しにいった時お前ペンダント拾って氷川澄花に見られたか渡すかしただろ。
それがどういう風に関わってるかわからんが殺人事件の立証に関わるものらしい。
で、お前誘拐されて今救出したわけなんだけど、全部状況証拠だけだから相手を拘束できないし、お前を救出するために非合法な手段で氷川夫妻の離れに入ってるんで、それバレるとこちらの行動制限される可能性もあるんでまずい。
でもって、お前がみたものがどう殺人に関わってくるものなのかわからないうちは、またお前が狙われる可能性も出てくる。
でも警察は不確かな情報だけじゃ動かないかもしれない。
という事でな、ここ蔦子さんの友達の旅館だからそのコネでこっそりお前を旅館の方でかくまってもらって、その間に殺人事件の方調べてみることにした。以上」


なんで…また殺人事件なんかに巻き込まれてるんだろう…。
錆兎の話を聞いて惚けるアオイ。

去年の夏から数えてこれで3回目?ありえない。
ああ、そのうち2回ターゲットになって拉致られてるんだ…それで生きてるのもすごい…
と、アオイはさらにユートが以前思ったのと全く同じ事を思う。

「とりあえず…詳しい事はまたメールででも送る。
危険だからな、絶対に暴走せず大人しくかくまわれててくれ」
と、錆兎はそう言いつつ、いつも暴走するアオイを一人で預けるのは不安だが仕方ないとため息をついた。








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